Tiktokをきっかけにキャラクターが人気に!? TikTokとキャラクターについて
TikTokからキャラクターの人気が拡大
最近、TikTokをきっかけに「キャラクターが人気になっている」というのをご存じですか? 今回はTikTokとキャラクターについて、ITライターの西崎圭一さんに、SBSアナウンサー原口大輝がお話をうかがいました。原口:以前から西崎さんには“TikTok発○○”という話を伺っていますが、今度はTiktokからキャラクターが人気になっている、というのはどういうことでしょうか?
西崎:TikTokといえば、最初の頃は音楽やダンスなどの印象が強かったと思いますが、昨年はTikTokがきっかけとなって小説やお菓子が売れる現象の「TikTok売れ」というのもありました。次に日本でブームとして来るのが、TikTok発のマスコットキャラクターではないかと言われています。
原口:TikTokから出てきたり、TikTokで人気になるマスコットキャラクターですね。
西崎:はい、いま海外では、企業が自社のPRのために既存のマスコットキャラクターをTikTokで活用したり、オリジナルのキャラクターをTikTok発で誕生させるということが起こっているんです。
原口:広告塔としての認知・PRも兼ねてTikTokでPRしているんですね。海外の中でも特にこの国、というのはあるんですか?
中国で大人気の「ドーロベア」
西崎:先駆けとなっていたのが中国です。中国では5年前頃から、独自のIP(知的財産)を創出する流れというのが活発にありました。もともと人口が14億人いますし、TikTokの発祥の地なので(2016年、中国国内で「抖音」としてサービスを開始。2018年国際版「抖音」として「TikTok」をリリース)、短い動画の文化が進んでいるのも理由のひとつです。代表的な例として、2018年に「抖音(ドウイン)」で生まれた「ドーロベア」というキャラクターがいます。「ドーロベア」は、クマをモチーフにした植物の精霊で、1分間ほどの花などを交えたアニメーションを展開しているのですが、それが癒されると、10~30代の女性を中心に人気を集めてフォロワーが1760万人になっているといわれています。原口:2000万人近くも! とんでもない人気ですね。
西崎:ぬいぐるみやキーホルダーなどグッズも展開していて、ライセンスも50社を超えているといわれています。
原口:もともとは、中国版TikTokで流された1分間ほどのアニメからなんですね。確かに1分弱ですと気軽に見られますね。
西崎:中国は人口が14億人なので、中国国内で人気がでれば制作費も回収できたり、ビジネスでも成功する可能性が生まれやすいと言えます。
原口:そこから人気が出ればグッズを販売したり、もちろんPRにつながったりという流れができるんですね。世界で見るとどうでしょうか?
言語学習アプリのキャラクターが大人気に
西崎:世界で5億人ユーザ―がいる言語学習アプリ「Duolingo(デュオリンゴ)」では、アプリ内に黄緑のフクロウ「Duo(デュオ)」というキャラクターが登場するんですが、TikTokでも大人気なんです。DuolingoのTikTokアカウントでは、巨大なDuoの着ぐるみを着た社員が、アメリカにあるピッツバーグ本社の床に横たわったり、ダンスを披露している動画を投稿しているんです。それがおもしろいといって、世界中のユーザーから愛されています。原口:着ぐるみなんですね。
西崎:中国のドーロベアはアニメーションでしたが、このDuoは着ぐるみを着た実写が人気となって、TikTokで企業のブランド認知を高めています。TikTokのアカウントを開設してから1年間で、300万人以上のフォロワーがいるんですよ!
日本での取り組み
原口:企業自らがキャラクターを作って発信する時代になってきているんですね。日本国内ではこういった取り組みはどうなんですか?西崎:日本のキャラクターでも、すでにYouTubeでは、Duoのようにキャラクターの着ぐるみで人気となるケースや、ドーロベアのようにアニメーションで人気となるキャラクターが見られています。
着ぐるみを着たケースでは、首都圏に40店舗を展開する、有隣堂書店のYouTubeチャンネル『有隣堂しか知らない世界』があります。書籍や文具などを紹介する動画なんですが、その中で着ぐるみをきた「R.B.ブッコロー」というキャラクターが登場して、注目を集め、チャンネル登録者数も約13万人以上の人気です。
アニメーションでも、ゲームやIP事業などを手掛ける株式会社アカツキが制作したキッズ向けYouTubeチャンネル『クマーバ チャンネル』というのがあります。主人公の黄色のクマ「クマーバ」が人気になりました。こちらもチャンネル登録者数が37万人以上で、クマーバのぬいぐるみやスマートフォンケースなどグッズも展開されています。
YouTubeでは人気のキャラクターが生まれていますが、TikTokではまだまだ成功している事例が少ないというのが現状です。
日本で事例が少ない理由
原口:確かにYouTubeではそのような取り組みやキャラクターを見たことがありますが、TikTokではなかなかないんですね。日本だとまだ事例が少ない理由はなんですか?西崎:TikTokが日本で人気となったのが3年前頃からということもあり、どのようなキャラクターが日本で受け入れられるのか、まだ手探りの状況ではないでしょうか。
原口:もちろん海外の事例も参考にするでしょうけど、国内で受け入れられるかは未知数なんですね。
西崎:例えばYouTubeでクマーバを人気にした制作会社のアカツキと、小学館集英社プロダクションが2社共同で、TikTokからキャラクターを作ろうと挑戦しています。「ほっぺポムリス」と「おかしなクマ」という2つのキャラクターをTikTokでアニメで展開していますが、どちらも中・高校生を中心に受け入れられて、どちらも20万以上フォロワーを集め人気になっています。
この2社に話しをうかがうと、TikTokは流行の移り変わりが早いともいわれているので、トレンドに合わせるためアニメの制作をスピーディに行ったり、3分以内の短い時間にどうすればキャラクターの性格などを知ってもらえるか、キャラクターを認知してもらうまでが大変だったと聞きました。
原口:なるほど。短いなりに端的に物語やキャラクターの性格を伝える難しさもありますし、今の動向や流行り廃りを考えるとすぐに作らないといけないんですね。
西崎:そこがYouTubeとの違いなのかなと思います。
日本の企業はどうすれば?
原口:世界の事例を見て、日本でも自分たちの企業でも取り組むとしたら、どんな形が良いんでしょうか?西崎:やはりアニメーションだとコストもかかります。TikTokでブームとなっている曲に合わせて動画を制作しても、公開した時にはブームが終わっているというリスクもあります。ですので、企業が取り組むとしたら、着ぐるみやマスコットのぬいぐるみを使う方法がオススメです。
その方がいろいろなバリエーションの動画を素早く投稿できますし、コストもかかりません。DuolingoのDuoは、TikTok1つの動画でだいたい300万~400万再生される人気動画を生み出していますが、着ぐるみを使って自社で撮影している動画なので、広告費は無料です。ですので、マスコットのぬいぐるみを使って人形劇をするのも、ひとつのアイデアだと思います。日本では、まだそれらの動画はあまり投稿されていないので、目にとまる可能性も十分にあるし、チャンスではないでしょうか。
今回、お話をうかがったのは……西崎圭一さん
川崎市出身。立命館アジア太平洋大学卒。データ分析会社にて、データ分析、企業サイトディレクションなどを行うかたわら、採用コンテンツなどで企業取材・ライターとしても活動。若者文化とSNS、ネットミーム現象などに関する記事を各種メディアにて執筆。Twitter(@Kei_ASMR_TOKYO)でも情報を発信中。
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