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【ラブライブ!と沼津市】アニメ「ラブライブ!サンシャイン!!」が街に浸透するきっかけとなった出来事3選

静岡トピックスを勉強する時間「3時のドリル」。今回のテーマは「アニメ『ラブライブ!サンシャイン!!』と沼津市」。先生役は静岡新聞教育文化部長の橋爪充です。
 ※SBSラジオ・ゴゴボラケのコーナー「3時のドリル」で放送したものを編集しています。

アニメツーリズムの成功例

(橋爪)沼津市が市制100周年を記念して、沼津を舞台にしたアニメ「ラブライブ!サンシャイン!!」のオリジナル化粧箱を採用した特産品詰め合わせをふるさと納税の返礼品に加えました。人気アニメの力を借り寄付増額を狙っています。

(山田)もう沼津と「ラブライブ!」の関係は切っても切り離せないですし、全国的に見ても“聖地”としてすごく良い事例になっていますね。

(橋爪)アニメツーリズムという言葉がありますが、その成功例として挙げられることが多いですね。

SBS静岡放送でもラブライブ!のスピンオフアニメ「幻日のヨハネ-SUNSHINE in the MIRROR-」が7月3日に始まりましたので、沼津市とラブライブ!の幸せな関係について、初期の頃から紐解いていければと思います。

(山田)いつの間にか沼津が聖地になっていました。「ラブライバー」と呼ばれるファンの方たちが沼津に来ていると聞いたことがあります。

(橋爪)そうですね。私も7月1日に沼津に行き、街をウロウロしてきました。やっぱり新しいアニメシリーズが始まるということと、沼津市の市制100周年ということが相まって、街中にラブライブ!関係のイラストやポップが出ていたのがすごく印象的でした。

それにラッピングバスもすごく多いですよね。沼津駅前のターミナルに停まっていたバス4台がすべて、ラブライブ!のラッピングバスでした。

聖地の中の聖地「三の浦総合案内所」

(山田)ラブライブ!が始まったのはいつですか?

(橋爪)2016年の夏から、シーズン1のテレビ放送が始まりました。2017年秋から冬にかけてシーズン2のテレビ放送、2019年の年明けに映画が公開されました。そして今年7月から、久しぶりの映像コンテンツとしてSBS静岡放送でスピンオフが放送されています。

(山田)本当に息が長いですよね。しかも、ずっと沼津が聖地。

(橋爪)そうなんですよ。訪れる人の数も減っていないようです。沼津市の内浦という海沿いのエリアに、「三の浦総合案内所」という、ラブライブ!のファンの方なら誰もが行く聖地中の聖地があります。

いわゆる観光案内所です。2015年の数字を見ると、1ヶ月に平均500〜600人という感じだったのですが、17年、18年は1ヶ月に6500人ぐらい。桁違いの数が集まるようになったんですよね。

それが最盛期。コロナ禍などがあってちょっと数字は落ちてはいたんですが、また2023年に入ってから数字が伸びていて、今年は1ヶ月に2800人ぐらいという平均値が出てるんですよ。

(山田)その観光案内所ではみんな何をするんですか。

(橋爪)ファンが集まって、いろいろなグッズを勝手に置いていったり、パネルの飾り付けを自主的にやったり。観光案内所なんだけれども、もうほとんど博物館みたいになっています。

(山田)アニメの中では、どういった感じで出ているのですか。

(橋爪)あまりそこが拠点になっているという感じではないんですが。通りすがりにそこがちらっと映るとか。

(山田)それでも聖地になるんですね。

ラブライブ!と沼津市の幸せな関係はなぜ築けたか


(橋爪)私は2015年から19年に沼津で勤務していたので、ラブライブ!というものが沼津にどんどん浸透していく姿を自分の目で見ることができました。

今日は、ラブライブ!と沼津市が幸せな関係を築くポイントとなった出来事を、自分が過去に書いた新聞記事をもとに3つほど紹介したいと思います。

1つ目は2016年11月8日付の「公式カフェ きょう開店」という見出しの記事。沼津駅前の、かつて西武百貨店の別館だった場所にラブライブ!の公式カフェができました。今もとても賑わっています。

この記事は何がトピックだったかといえば、沼津市の経済界に一石を投じたということ。有力企業が運営していて、そのつてで、オープンのときも地元の有力な経済人や市役所の経済部局の方々がみんな顔を揃えていました。

これを他の新聞社やテレビ局が一斉に取材したんですよ。ここで認知度が上がったんじゃないかな。ラブライブ!と沼津市の関係性が広く報道されるようになったきっかけかなと思います。

(山田)「アニメは見たことないけれど、名前は知ってる」っていう方。多分これで知ったという方も多いでしょうね。

(橋爪)続いては2017年5月15日付、「聖地沼津でキャラ探し」という見出しの記事。これは沼津商工会議所が、アニメのキャラクターを生かしたスタンプ企画を始めたよ、という話です。スタンプラリーですね。いろんなお店がそれぞれ独自のスタンプを置いて、スタンプ帳も発売しました。

ここで重要なのは、やっぱり商業関係の人たちがいろんなところから集まってきて、行政も絡んで企画を練って、スタートしたってことですね。

最初は9ヶ所のお店だけでしたが、今何種類ぐらいあると思いますか?累計、300種類以上。季節限定スタンプなども含めているので、現在300ヶ所にあるという意味ではありませんが、すごい数です。

(山田)へえー、すごい。沼津を歩いていれば、そこら辺にあるぐらいな感じになってますね。

(橋爪)私の取材した2018年はスタンプ帳が3万冊売れていました。

(山田)ベストセラーじゃないですか。

ラブライバーも清掃活動に参加

(橋爪)もう一つ、最後のポイントとなるのが2017年7月30日付、「沼津夏まつり開幕」の記事。ラブライブ!の声優9人が揃って特設ステージに登場して、盆踊りなどを披露しました。

沼津市によると、まつりの2日間で34万5000人来ていた。2016年と比べると、2日間で2万人増えていた。沼津市の分析では、各日1万人はラブライブ!のファンが来ているんじゃないかと。

2017年沼津夏まつりをきっかけに、これだけの人を引きつける力がラブライブ!にはあるんだってことが認知されました。

また、沼津夏まつりは1日目と2日目の間に、街の人や中学生、高校生らが集まって早朝掃除をするのですが、ここにラブライブ!のファン約40人が加わっていました。

沼津市民にとっては、ラブライブ!のファンというのは、町にお金を落としてくれるだけじゃなくて、この街を愛してくれて、魅力を再発見してくれる存在だと。この時期に、ファンに対する市民の受け止め方が徐々に変わってきたのではと思っています。

(山田)おそらく沼津市民の方たちも最初は、ちょっとオタクっぽい人が急に街に来て、なんかいろいろと見てるけど、っていう不安があったと思うんですよね。

(橋爪)実際そういう声も聞いていました。

(山田)ですよね。でも、クリーン活動とかに参加してくれて、きっと見方が変わっていったんでしょうね。

(橋爪)とても良い循環をしてるなという印象がありました。

(山田)リスナーからも「ラブライブ!好きが高じて沼津市に移住した人がたくさんいる」と。ぜひ皆さん、この後ラブライブ!に注目してみてください。今日の勉強はこれでおしまい!

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