
静岡県伊東市の田久保真紀市長の学歴詐称疑惑を巡り市長が7月2日、記者会見を開き、卒業ではなく除籍になっていたと明らかにしました。議会側は、辞職勧告決議案を出す方針を固めました。
<社会部 寺坂元貴記者>
「午前11時です。田久保市長少し笑みを浮かべながら、これから記者会見に臨みます」
7月2日、報道陣を前に記者会見を開いた伊東市の田久保真紀市長。
<田久保真紀伊東市長>
「卒業は確認ができませんでした。除籍であることが判明しました」
田久保市長は、自身の疑惑について除籍であることが確認されたと明らかにしました。2025年5月の市長選で初当選を果たした田久保市長。しかし、市長選の後、最終学歴としている「東洋大学卒業」を詐称しているのではないかという宛名不明の投書が市議たちに届きます。
<伊東市 杉本一彦議員>
「市長確認させてください。あなたは、東洋大学法学部経営法学科を卒業で間違いありませんね」
<田久保市長>
「私といたしましてはこの件に関してましては、すべて代理人弁護士の方におまかせをしてございますので。私の方からの個人的な発言については控えさせていただきます」
田久保市長は明確な答えを避け、市議ら届いた投書を「怪文書」だと主張していました。6月はじめに田久保市長から「卒業証書」を見せられた青木副議長は…
<伊東市議会 青木敬博副議長>
「(市長が)『はいはい、はいはい』という感じで見せられたんですけど、これが卒業証書だとすると、大体こういう感じで開いて、自分たちが身を前のめりにしたら、閉めてひっこめた感じで、またパッと見せてひっこめちゃうという感じ」
田久保市長が主張してきた1992年に卒業した人の卒業証書と比べると、デザインが異なっていたといいます。
<青木副議長>
Q.今思うと何だった?
「偽物ですよね」
伊東市議会は7月2日午前、代表者会議を開き、田久保市長に対して辞職勧告決議案を出す方針を固めました。
<杉本市議>
「私はもう今嘘つきだと思っていますから。もう本当にそれぐらいにしか、そう思うぐらい怒ってます。嘘つきの涙だと思ってます」
卒業ではなく「除籍」だったことに市民は…
<伊東市民>
「こういう仕事をしている人が不正みたいなことをしちゃまずいでしょ、やっぱり。安心して任せられないですよね」
<伊東市民>
「女性の初の市長ということで、いろんな角度から女性目線であったと思うので残念。」
Q.除籍を知らなかったのは無理がある?
「なんかそこはおかしいんじゃないかな、自分が分からなかったのはあり得ないと思う」
田久保市長は選挙の際、大学を卒業していると公表していないことから公職選挙法違反には当たらないと主張。進退については明言しませんでした。
<田久保市長>
「今もうこのように困難な状況に追い込まれているからといって逃げ出すようなことはするなという風に何人もの方に言っていただいてますので。今の状況を全て投げ出して逃げ出すようなことはしたくない、そのように考えております」
<伊東支局 青島悠記者>
7月2日、報道陣を前に記者会見に臨んだ田久保真紀市長。会見前には笑みを見せる場面もありましたが、報道陣から質問が相次ぐと次第に表情が険しくなり、時折、涙ぐみながら声を詰まらせる場面も見られました。
会見で報道陣から最も多く質問が寄せられたのは、市長が議長らに見せたとする卒業証書についてです。
田久保市長は、自らが議長や副議長に示した証書について「経歴を証明できる書類だと認識していた」と説明しなぜこのような事態になったのかについては「現在、調査中」と述べ、明確な説明を避けました。
一方で、SBSが東洋大学に取材したところ、「除籍者には卒業証書は発行していない」との回答が得られています。田久保市長は会見で、「自ら東洋大学卒業を公表した事実はない」と強調し、今回の件が公職選挙法違反には当たらないと市長選の正当性を主張しました。
ただ、2025年5月の市長選の際には、報道各社に提出した調査票に『東洋大学卒業』と記載していたことも事実です。午後には、市議会の中島議長らが報道陣の取材に応じ、「市政を混乱させ、市全体に影響を及ぼした責任は市長にある」として、強く批判しました。
伊東市議会では、7月4日に開かれる議会運営委員会で、百条委員会の設置を正式に決定する予定です。また、市議会最終日の7月7日に市長に対する辞職勧告決議案を提出する方針で、田久保市長の今後の対応と進退の判断に注目が集まります。