「『打った瞬間!』って当たり」草薙で放った今季第1号 くふうハヤテ鈴木将平が見据える12球団復帰への道

草薙球場のライトスタンドに大きく飛び込む打球。バットを振り抜いた瞬間、鈴木将平選手の表情に確信が浮かびました。「手応え的にも打った瞬間!って当たりだったんですけど、あまり打ち慣れていないんで必死に走りました(笑)」

5月11日、NPBウエスタンリーグ・くふうハヤテベンチャーズ静岡とオリックス・バファローズの一戦で、今季待望の第1号ホームランを放った鈴木選手に話を聞きました。
(SBSアナウンサー 松下晴輝)

シーズン39試合目での待望の一発、地元草薙で輝いた特別な瞬間

2回裏、1点ビハインドの状況から始まった攻撃。篠原玲央選手の適時二塁打で逆転に成功すると、増田将馬選手も適時打で続き、3点目を奪います。打線が連打で勢いづく中で訪れた鈴木選手の打席。

初球を完璧に捉えた打球は、右翼席へと飛び込み、不退転の決意で故郷のチームに帰ってきた26歳にとって、まさに待ちに待った今季第1号となるホームランとなりました。日曜の草薙球場に集まったファンは一気に沸き立ちました。

シーズン開幕から約2か月、39試合目でようやく放った一発について鈴木選手は「もっともっと先を目指して、前を向いてやっているので、気持ち的にも安心しますね。これからも、ああいった大きな当たりを狙っていっていいんだという自信につながりました」と語ります。

思い入れの深い草薙球場、母の日に家族へ届けた特別な一打

この貴重な一発が草薙球場で生まれたことにも意味がありました。
「この球場は甲子園出場を決めた場所でもありますし、何よりも1番使ってきた球場といっても過言ではないので。本当にやりやすいですし、ファンの方もたくさんきてくださって声援を送ってくれるので、ありがたいです」と地元での活躍に喜びを語ります。

さらに、この日は母の日。試合後のヒーローインタビューでは、スタンドで観戦していた母親と祖母にメッセージを送りました。

「お母さんはよく観に来てくれるんですけど、おばあちゃんはなかなか来られないので、今日打てて本当に良かったです。試合終わってすぐに話をしたんですけど、すごく喜んでくれていて、『またすぐに来なきゃいけないね!』って笑顔でした(笑)」

鈴木選手に、お二人が観戦に来ればホームランを打つというジンクスが生まれるかもしれないと伝えると、「さすがにそんなにポンポンと打てたら、ここまで苦労していないので…でも、本当に良い1日になりました」と白い歯がこぼれつつも、喜びを噛み締めます。

「打率3割は絶対ライン」シーズン序盤の苦しみを乗り越えて

開幕前、「打率3割は絶対ライン。その上で長打にも、目を向けていきたい」と意気込みを語っていた鈴木選手。しかし、シーズン序盤では苦戦する場面も見られました。

「球場も、対戦相手も、初めての部分が多くて、正直ちょっと探っているところがあって、難しいなという感じはしてましたけど、1か月、2か月と経っていくにつれて慣れてきたことで、だいぶ戦えるようになってきたなと思います」

キャンプ期間も含めると、チーム加入から3ヶ月以上が経過。くふうハヤテという球団でのプレーについては「とてもやりやすいですね。チームを引っ張っていけるように、中心選手になっていけるように意識してやっています。若いチームだからこそ、背中で見せる立場にならねばとも思いますし、逆にみんなも結構聞いてきてくれるので、僕自身も話しやすいです」と語ります。

立場の変化がもたらした意識改革—「つなぎ役」から「決める選手」へ

2024シーズンは埼玉西武ライオンズの一員として、くふうハヤテと対戦する機会もありました。今季は新たに内側からチームを見ることになり、改めて印象を伺うと、「外から見るよりも、みんな一生懸命やってるんだなって強く感じます。試合中だけでは、うまくいかないところの方が目立ってしまいますが、ミスをしても切り替えて、次こそやろうって意識は浸透してると思うので。そこをもっと見せていかないとダメだなと思います」と分析します。

そして、チーム移籍による自身の変化についても言及しました。「今までは“つなぎ役”の意識があったんですけど、このチームでは“僕が決める”っていう意識が強くなってきています。そこに関してはかなり良い方向につながってるなと思いますね。(走者を)僕が返して、また僕からチャンスを作るという、軸を担うことでアピールしたいですね」

チームの中心選手として責任を持ち、貪欲に結果を残していこうという決意が感じられる一言。「必ず今季のうちにセ・パ12球団へ戻る」という強い意志を胸に、自らと向き合い続けます。

ファンとの距離の近さが生む特別な環境

鈴木選手に一発が飛び出した瞬間、スタンドからは大きな歓声が上がりました。ファンの声援については、「もちろん耳に届いています!今はまだ、セ・パ12球団に比べたら人数も少ない分、僕自身も顔を覚えていたり、『いつも来てくれてる方だな』って思うことも増えているので。近い距離にいてくださる環境なので、盛り上げて欲しいですし、僕達も盛り上げていきたいですね」と、ファンへの思いを語りました。

今季第1号ホームランという大きな一歩を踏み出した静岡のスターの活躍に、今後も県内外から注目が集まります

「あしたを“ちょっと”幸せに ヒントはきょうのニュースから」をコンセプトに、静岡県内でその日起きた出来事を詳しく、わかりやすく、そして、丁寧にお伝えするニュース番組です。月〜金18:15OA

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