
静岡県内企業の2025年夏のボーナス予想が発表され、1人あたりの支給額が2024年より2%アップするとの予測が公表されました。人材不足がボーナスアップを後押しした格好ですが、“あの人”の動向次第で冬以降のボーナスについては、厳しくなることも予想されています。
静岡県内で唐揚げ専門店「元祖からあげ本舗とり若丸」10店舗を経営する「ジップライド」は、夏のボーナスについて大きな決断をしました。
<ジップライド 高塚光明社長>
「昨年よりも(ボーナスを)アップする方向で考えている」
ジップライドでは、8月にボーナスを支給し、社員は2024年より1割から2割アップする予定です。背景にあるのは、飲食業界が直面する深刻な問題です。
<高塚社長>
「人材不足が非常に大きなウエイトになっているので、人材の流出を防ぐことも含めて(ボーナスを)アップしたいと考えている」
いま、飲食業界は、人材の獲得競争が過熱しています。ジップライドでは、従業員の数が一番多い時期と比べ1割ほど減り、社長自ら店頭に立つなどの対応をしています。
<高塚社長>
「物価高、人件費の増額のダブルパンチだが、そこで泣くわけにはいかないので、企業としては前向きにトライしていきたい」
静岡経済研究所が5月23日発表した静岡県内企業の夏のボーナス予想は、2024年に比べて2%アップの39万4000円となりました。人材不足がボーナスを引き上げる要因になっていると指摘します。
<静岡経済研究所 西谷直樹研究員>
「既存の従業員をつなぎとめる目的に従業員への還元が積極化している」
近年は、順調な伸びを示してきたボーナスですが、ここに来て暗雲が立ち込めています。売り上げの半分ほどを自動車部品が占めている浜松市中央区の浜口ウレタン。夏のボーナスについては、据え置くことを決めたといいます。
<浜口ウレタン 浜口弘睦社長>
「先行きは明るくない。そうなると賞与の支給は例年並みか若干少なめになる」
悩みの種となっているのが、いわゆる「トランプ関税」。この関税の影響で1割ほどの売り上げの減少が見込まれていて、経営側も従業員側も我慢の時期になっています。
<従業員>
「食費がどんどん上がっていってしまって、高校生の息子がいっぱい食べるので結構厳しい。物価が下がってくれれば、多少生活が楽にはならないが、家計の圧迫が少なくなる」
<浜口社長>
「(ボーナスの支給額を)上げてあげたいとはいつも思っているが、ただ会社の状況を見ながら考えなければいけない」
静岡経済研究所は、今後のボーナスについてトランプ関税の行方がかなりの影響を及ぼすと見越していて、今後もアメリカ大統領の考え方にわたしたちの暮らしは左右されることになりそうです。