
静岡県伊東市が5月14日、消費期限が迫った防災備蓄用アルファ米と消費期限を既に迎えた保存用飲料水の無償配布をしたところ、開始直後から多くの市民が集まり、わずか1時間ほどで予定数すべてが配布が終了しました。物価高騰の影響を受ける中での実施ということもあり、伊東市によりますと、当初の想定を上回る反響があったということです。
今回配布されたのは、伊東市が災害時の備えとして保管していたアルファ米と保存用飲料水です。
アルファ米は、1食タイプ600食と炊き出しタイプ3150食分の計3750食。保存用飲料水は1万104本が用意され、防災啓発を目的にアルファ米は「試食用として」、保存用飲料水は「生活用水として」の利用を希望した人に配布したということです。
これまで伊東市では、消費期限が近づいたアルファ米や保存用飲料水を防災訓練で使用したり、フードバンクに寄付するなどしてきましたが、余った分は廃棄処分していました。
そこで今回、「市民に配布することで、防災意識の向上につながるのではないか」と考え、初めて無償配布を行ったということです。
伊東市は当初、5月14日から6月30日までを配布期間として設けていました。
14日の午前9時に伊東市の公式LINEやXなどで告知し、配布をスタートしましたが、当初の予想に反して市民の反応は大きく、配布開始からわずか1時間で全数の配布が終了したということです。
無償配布を実施した伊東市危機管理課の担当者によりますと、受け取りに来た市民からは「お米が高くて助かる」などといった声が寄せられたということです。
こうした反響について伊東市は、「最近の物価上昇、とくに米の価格が上がっていることもあり、多くの方にとってタイムリーだったのではないか」と受け止めています。
一方、アルファ米に関しては、普通のお米と勘違いしていた市民もいたことから、伊東市は「アルファ米が保存加工されたお米で、味や調理方法が通常と異なることを理解してもらう良い機会になった」としています。
伊東市では防災備蓄品として、消費期限が5年のアルファ米を10万食、消費期限が7年の保存用飲料水を2万5200本備蓄しており、アルファ米は毎年2万食ずつ、保存用飲料水は消費期限が近づくたびに全数を入れ替えています。今後も消費期限が迫った備蓄品については、市民に無償配布していく方針です。
伊東市危機管理課の担当者は「多くの市民にアルファ米や保存用飲料水の存在、役割を知ってもらえた事は良かった。来年以降は配布方法や対象者の見直しも検討し、市民の防災力向上に繋げていきたい」と話しています。