病気や病み上がりで登園できない子どもたちを預かる「病児保育」で静岡市が新たな仕組みを導入しました。
働きながら子育てをする親にとっては、非常にありがたい仕組みですが、利用方法が簡単とは言えませんでした。そこで、静岡市はスマートフォンなどから24時間予約できるシステムを導入しました。
4月15日、静岡市の病児保育室です。病気や病み上がりなどで登園・登校できない子どもを看護師や保育士が預かる施設です。静岡市内には3つの施設があり、葵区の保育室は定員が4人で午前8時半から午後5時まで利用できます。
<看護師>
「代わりのきかないお仕事を持っていらっしゃる(保護者が)多くいらっしゃいます。そういう方たちに、私どもの病児保育室としては、育児に伴走していきたいと思っています」
共働き家庭などにとってありがたい仕組みですが、課題もありました。
こちらの女性は3歳の息子を育てながら働いています。以前、病児保育を利用しようと思った際に高いハードルを感じたといいます。
<母親>
「書類を揃えて持っていかなきゃいけないところ、その書類を揃えるのに、小児科に予約を入れる。でも、小児科の予約が午前中の早い時間に取れないことが多くて、どうしても大事な仕事があるから休みたいのに、書類を揃えるために半日が終わって、結局は休めない」
病児保育室の利用には主治医の意見書や同意書、利用申込書に加え体調や薬についてなど5枚ほどの書類の記入が必要でした。また、予約は受付時間内に電話で空き状況を確認する方法でした。
<母親>
「利用したいってなった時って、割と切羽詰まっているから、いろいろなところに電話して、空きがないって言われる度に、仕事をすることを諦めなきゃいけないんだという気持ちになってて、空き状況とかネットで見ることができたらいいかなと」
こうした声を受け、静岡市が新たに導入したのがスマホなどから24時間予約できるシステム「あずかるこちゃん」です。主治医の意見書以外はオンライン上で入力できるようになり予約の手間や提出する手書きの書類が大幅に減りました。
<看護師>
「あずかるこちゃんを導入することで、スマホ、自分が持っている端末で事前登録をして、子どものデータベースを入れて、予約したい時には予約するっていうスマホ1台で完結するので、この点では使いやすくなったという意見を聞いています。(子どもが)安心して過ごせる場所でありたいと思いますし、親御さんにとってもそういう場所でいたいと思います」
<LIVEしずおか 松下晴輝キャスター>
働きながら子育てをしたいという方に救われるシステムだなと感じました。
<静岡県政担当 坪内明美記者>
私も利用したいと思って電話した際に、空きがないと言われたことや、主治医の意見書をもらうために小児科に行くのが難しく、利用を断念した経験があります。今回、新たなシステムの導入で、ハードルは下がった部分はありますが、今後、病児保育室の数や受け入れ枠が増えることで救われる保護者がいるはず。
ただ、取材をして実感したのは、保護者側も病児保育室側も「体調不良の時は、家族が子どものそばにいるのがベスト」という点で一致していることです。そうあれる社会になっていくのが最も重要ですね。