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【静岡の名店・鐘庵】実は「さわやか」より多い約40店を展開。成功の裏には働く人への思いやりがあった!!/静岡

誕生から24年。安くておいしい「桜えびそば」

写真提供:望月やすこさん

カメラマンの望月やすこさんが取材中に出合った、身近にあるけど「へ〜〜」な求人情報を紹介する企画「こんな求人見つけてきました」。今回は静岡市清水区にある「株式会社 鐘庵」をご紹介いただきました。聞き手はSBSアナウンサー松下晴輝。

望月:今回は「桜えびのかき揚げ」で静岡県民にはおなじみの、そばのローカルチェーン「株式会社 鐘庵」を紹介します。経営に対する考え方がすごくおもしろい代表取締役会長の大鐘正敏さんに話を聞いてきました。

代表取締役会長の大鐘正敏さん 写真提供:望月やすこさん

望月:鐘庵は静岡や愛知を中心に約40店舗あります。本店は静岡市清水区三保にあり、東京や三重、群馬そして台湾にも出店。「さわやか」が34店舗と考えるとお店の数が想像以上に多いんです。2000年に現会長の大鐘正敏さんが脱サラをして始めました。当時はそばと言えば、職人が出す専門店か茹でた麺を温めて出すファーストフード店しかなかったので、その中間のパートさんでもすぐにそばを出せるお店を作ろうと思って始めたそうです。そのために何をしたかというと...。まだ三保に1店舗しかなかった頃の話だと念頭に置いて、これから話す内容を聴いてくださいね。

松下:はーい!

そばを自動で茹でるオートリフターを考案

望月:今ではいろいろな店に導入されている自動で麺を茹でる機械、オートリフターが当時はなかったそうです。そこで大鐘会長は、オートリフターがあればパートさんでもおいしい茹で加減のそばを出せるんじゃないかと思い、機械の製作所に自ら設計図を書いて「作ってもらえないか?」と相談に行ったそうです。その結果、三保にまだ1店舗しかないそば店にも関わらず、作ってくれたそうです。だからオートリフターの生みの親のような存在です。

松下:へぇ〜!それはすごい。

パートが一斗缶を運ばずに済む油が出る蛇口も開発

望月:鐘庵は「桜えびのかき揚げ」が特に有名ですが、そばに天ぷらって欠かせないですよね〜?

松下:そうですね〜。

望月:当時は油が一斗缶で配達されていました。しかし女性のパートさんが20キロもある一斗缶を持ち上げてジャバジャバと注ぐのは大変。これを何とかしたいと、タンクローリーで油が店に運ばれて、蛇口をひねれば油が出る仕組みが実現できないか考えたそう。

鐘庵だけでなく他のお店でもこの仕組みができれば、油を運ぶドライバーも1人であちこち配達できるのでは?と提案したそうです。今ではいろいろな店舗で採用されています。

松下:鐘庵のために考えたことが結果として多くの店で役に立っているんですね!

誰でもおいしく揚げられる天ぷら粉に改良

望月:桜えびはサクサクに揚げたいので、なるべく薄い衣で作りたい!なおかつ誰が揚げてもおいしくなるものを!とある日大鐘会長は、グルテンが入っていない粉に変えようと思い立ちました。

とうもろこしの皮を使うことを考えて粉屋さんに掛け合い、とうもろこし粉を作ってもらったそうです。天ぷら粉だけでなく麺つゆもプライベートブランド化し、味がブレないようにしています。

これも、まだ三保の1店舗しかない時に「この店を大きくしていくから協力してほしい」と頼んだそうです。本当に、ものすごーい交渉力ですよね!

松下:すごいなぁ〜。

おいしさに必要な要素とは

そんな大鐘会長の名言は「味は舌で味わう前に4段階ある」です。詳しく紹介すると

1.「おいしい」と感じる味の入口は「視覚」から

写真提供:望月やすこさん

望月:「鐘庵」の商品ラインアップは「白・緑・赤」の3色でできているのが多いのですが、会長によると、この配色だと人は「おいしい」と感じるそうです。それで、大根おろしの白、ねぎの緑、桜えびの赤の3色を入れてそばをよりおいしそうに見せています。

松下:なるほど!確かに3色だ!!

2.次に大切なのは「香り」

望月:お店に入った時にふわ〜っと包まれるようなそばつゆの香りや、桜えびの香ばしい香りで「おいしそうだな〜」と思いますよね。当たり前のように見えて実は大事なことなんです。

3.期待がふくらむ「音」

写真提供:望月やすこさん

望月:オープンキッチンになっているのにも理由があって、調理の音をあえてお客様に聞こえるようにしているとのことです。天ぷらが揚がっている音が聞こえると期待がふくらみますよね〜。

4.ここまで3つのプレゼン後に「舌」で味わう

望月:この要素がそろって、「早く食べたいな〜」と思ってきたころにいよいよ、舌で味わうと、おいしいプレゼンをされた後はなので食べた時によりおいしく感じるそうです。

松下:納得です。おいしいお店にはこの4段階がそろっているように感じます。

望月:素材も厳選し、名物の桜えびのかき揚げは駿河湾産、マグロやとろろ、ねぎにもこだわりがあります。

一緒に働く仲間を募集中!民泊サービスも展開

望月:そんな鐘庵では現在一緒に働く仲間を募集中です。正社員幹部候補スタッフは月25万以上、パートは時給1000円以上、お店の商品は3割引きで食べれます。常に働く人のことを考えている会社で一緒に働いてみませんか。

松下:問い合わせの電話は054-336-3635までお願いします。

望月:最後にもう一つ。鐘庵では最近民泊を始めました。三保本店の隣に空きアパートがあり、そこを民泊にしたそうです。1部屋1〜2名利用で6000円。2人で泊まったら1人3000円で利用できます。各部屋に電化製品も付いて快適ですよ。「日本のアパートメントを体験できます」と売り出したところ、外国人観光客が喜んで利用しているそうです。1か月先まで予約が埋まっているそうですよ〜。もう、本当に商売上手!(笑)。

松下:それは賢いな〜。そばと民宿と来て、今後さらにどんな風に広がってていくのか楽しみです。


<DATA>
■株式会社 鐘庵
住所:静岡市清水区殿沢1-3-2
電話:054-336-3635

※2024年6月14日にSBSラジオIPPOで放送したものを編集しています。

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今回、お話をうかがったのは……望月やすこさん
静岡県内を中心に個人の撮影や取材撮影をするフリーカメラマン。撮影歴は20年以上。「人を笑顔にする撮影」と「面白いネタ探し」を得意とする。@Sで「お安い名店保存会」を連載するほか、著書「子連れのタダビバ」シリーズ(静岡新聞社)では執筆も担当。ラジオ・テレビの出演など様々なメディアで活躍。公式ホームページ「フォーシーズン 望月やすこ」、インスタグラムもチェック。

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