「電話を切った直後に『あ、これは詐欺だ』」“スマホ世代”が狙われたワケ 巧妙化する特殊詐欺の手口

被害が相次ぐ特殊詐欺。2024年、静岡県内では383件発生し、被害額は16億円にのぼります。近年、高齢者だけでなく若い世代が被害に遭うケースが増えています。なぜ、若者が狙われるのか。被害者の証言から浮かび上がってきたデジタル社会に伴う手口の巧妙化を取材しました。

<被害女性(40)>
「電話を切った直後に『あ、これは詐欺だ』って気が付いて。それまでは朦朧と『作業』をしている感覚になっていて。番号を打ちこんで、左のボタンを押す」

こう語るのは、静岡県中部に住む40歳の女性です。2025年4月、約85万円をだまし取られる被害に遭いました。女性はある通販サイトで靴を購入。数日後、サイト側から商品が欠品しているため電子マネーで返金すると連絡が来ました。

電子マネーの画面に誘導され、返金のために必要だという数字のコードを何度も入力させられます。しかし、この入力作業、実は犯人への送金作業だったのです。きっかけとなった通販サイトを探してみると…

<社会部 野田栞里記者>
「犯人が詐欺に利用したとみられる通販サイトはまだ残っているようです」

5月27日時点で、まだ、アクセスできる状態でした。女性は不審に思いましたが、犯人に言葉巧みにかわされてしまいます。

<被害女性(40)>
「『(「ボタンを押すと)“送金”ってなってしまいますけど』って言ったら『これは手続き上の番号で設定するためのものなので大丈夫です』って。(電子マネーでの返金について)『もうそういう時代になってんの?』って感じに思ってしまって」

送金後、突然通話を切られ、その後は連絡が取れなくなりました。

<被害女性(40)>
「『どうしよう』って、切れた電話に何度も電話。もちろん出ないんですけど…」

静岡県内の特殊詐欺被害を見てみると、60歳未満の件数は2023年に31件だったものが2024年は、倍以上の73件。若い世代の被害が急増しているのがわかります。

その理由は、世の中のデジタル化に合わせた手口がより巧妙になったからだと専門家は指摘します。

<静岡大学教育学部 塩田真吾准教授>
「AIでチャットしながら、個人情報をある程度引き出したうえで何かアクションを起こしたりとか、本当は存在しない動画や画像を生成してだましてくるとか」

スマホを使った手口だからこそ、犯人にとってスマホが身近な世代の方が都合がよいというのです。

<塩田准教授>
「日常的に使っている方だと抵抗感も少なくなりますし、すべてがスマホで完結できるようになっているので『怪しいな』と思うことが多くないのかもしれない」

警察は、スマホ上でお金が絡むやり取りは一度立ち止まることが大切と注意を呼びかけています。

<静岡県警生活安全企画課 杉山慎一特殊詐欺分析補佐>
「犯人側の連絡を見てその場ですぐに判断するのは非常に難しい。一度電話を切ることが大切です。そして公式サイトや相手が名乗った企業に直接連絡を取って事実確認をしていただく」

スマホは生活を効率的にしますが、見方を変えれば、24時間犯罪に巻き込まれるかもしれない機器を持ち歩いているともいえます。スマホ上の情報を信じ過ぎず、丁寧に確認することが大切です。

「あしたを“ちょっと”幸せに ヒントはきょうのニュースから」をコンセプトに、静岡県内でその日起きた出来事を詳しく、わかりやすく、そして、丁寧にお伝えするニュース番組です。月〜金18:15OA

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