静岡県沼津市は、職員用の端末管理システムを目的外で不正利用し、人事異動情報の画面や特定の女性職員の画面などをのぞき見ていたとして、男性職員4人を地方公務員法に基づき懲戒処分したと4月8日に発表しました。
不正利用をしたのは、通信技術を活用して沼津市役所の効率的な情報システム構築などに取り組む「政策推進部ICT推進課」の男性職員4人です。
4人は、職員のパソコンにトラブルが発生した時に状況確認や端末の遠隔操作を可能にする「職員用端末管理システム」を業務目的外で使用し、人事異動情報の書類を作っている人事課の課長・課長補佐・係長の端末画面をのぞき見たり、特定の女性職員の端末画面をのぞき見たりしていました。
この事案は先月25日、政策推進部長のもとに「ICT推進課のある職員が内示よりも前に人事異動の内容を知っていたという話を聞いた」との通報があり、調査を開始。ICT推進課しか使うことが無い「職員用端末管理システム」の利用履歴を調査すると、業務と関係のない不適切なシステム利用が確認されました。
不適切利用は、履歴をさかのぼることができる2024年8月から2025年3月までの8か月について確認され、回数は4人合わせて2867回に及びます。
4人の懲戒処分は以下の通り。▼システムを680回不適切利用した20代の主事は人事異動情報をのぞき見たほか、閲覧した内容を他の職員に漏洩していたとして、地方公務員法に基づき停職2か月。▼2066回の不適切利用が確認された20代の主事は人事異動情報や、特定の女性職員の画面をのぞき見ていたとして、減給10分の1(6か月)。▼86回の不適切利用が確認された30代の主任は、人事異動情報などをのぞき見ていたとして戒告。▼35回の不適切利用が確認された40代の係長級職員は、人事異動情報や特定の女性職員の画面をのぞき見ていたとして戒告。
また、ICT推進課の50代の課長級職員は管理監督責任を問われ、訓告となりました。
懲戒処分を受けた職員4人は、動機について「興味本位で見てしまった」という趣旨の説明をしているということで、4月8日付でICT推進課とは別の課に異動となりました。
沼津市は今後、ICT推進課での再発防止策として「職員用端末管理システム」の操作前に必ず課長などへ作業内容の報告を義務づけます。抜き打ちでシステム操作の履歴チェックも行うなど管理体制の強化を図り、情報セキュリティポリシーを再徹底するための研修を行うということです。また、全庁的な再発防止策として、コンプライアンス推進計画書の見直しにも取り組む予定です。
臨時の会見を開いた沼津市の頼重秀一市長は「システムの不正適用については、沼津市の情報セキュリティポリシーの重大な違反行為。許されることではございません。今回の不適正利用により閲覧した端末には市民の情報は含まれていませんが、本市職員の行為により、信頼を著しく損ねてしまったことに対しまして、深くお詫び申し上げます」と謝罪しました。