
静岡県高校総体で準優勝した藤枝東にレギュラー獲りに燃えている新鋭たちがいる。この夏、彼らはどこまでスケールアップできるか。シズサカ編集部が注目する1、2年生コンビをピックアップした。
FW森田一颯(1年、藤枝東FC出身)
50メートル5秒9の圧倒的なスピードを武器にする。3年生の絶対的エース木全悠太が故障離脱し、夏のトレーニングマッチで先発の座が巡ってきた。
「このチャンスを生かせれば選手権にもつながる。スタメンを取れるように頑張っていきたいです」
チームから求められているのは、セカンドボールの予測と前線からのプレスだ。「2度追い、3度追いもしなければいけないので体力面も課題です。量の部分でも質の部分でも。暑い中でどれだけ走れるか、どれだけセカンドボールを回収してゴールに直結できるか」。先輩たちの叱咤を背中で受けながら、最前線を駆けずり回っている。
牧之原市相良出身。小学時代は榛南FC、中学時代は藤枝東FCでプレーした。榛南FC時代のコーチが藤枝東高OBだったため、藤枝東が志向するパスサッカーに小学時代から触れてきた。「自分はもう“東”しかないなって。憧れがありました」。毎試合、誇りを持って藤色のユニホームに袖を通している。
7月27日の県中西部サマーフェスでは、藤枝明誠戦でトップチームでの初ゴールを記録した。終了間際にフリーキックのこぼれ球を押し込んで決勝点となるゴールを奪うと、両手を突き上げて喜びに浸った。「そろそろトップチームで決めたいと思っていたので良かったです」
植松弘樹監督が評価するのは、ゴールに向かう姿勢とパンチ力のあるシュート。「木全とはタイプが違うので、チームとして攻撃のオプションが増えていけばいいなと思う」。これからは相手ディフェンスと駆け引きしながら最終ラインを下げさせ、テクニシャンぞろいの中盤にスペースを与える高度な動きも求めていくという。
藤枝東は7月下旬から県中西部サマーフェス、磐田市を拠点に行われる裏インターハイ、石川県の和倉ユース大会、青森県の青森ユースフェスと、びっしりスケジュールが埋まっている。全国をまわり、強豪との戦いで課題をあぶり出すつもりだ。
期待の1年生ストライカーは、県代表として今秋の国民スポーツ大会(旧国体)での活躍も期待されている。「国スポで静岡を勝たせられる選手になりたいです。冬は先輩たちと一緒に全国選手権に行きたいです。木全さんも戻ってくるので、負けないようにゴールで示していきたいです」。日焼けした顔は充実感たっぷりだ。
MF川口太崇(2年、藤枝東FC出身)
162センチの技巧派レフティーが伝統校の司令塔に名乗りを上げている。「この夏が勝負。夏が終わった時にプリンスリーグの先発に食い込んでいられるように、自分磨きをしたいです」
右足首のねんざで5月、6月の県高校総体は一度も出番がなかった。プリンスリーグ東海でもこれまで先発したのは一度だけ。「ベンチで見ていて、悔しくて涙が出てきたこともありました。この夏に、これまで出場できなかった悔しさを晴らして、監督の信頼を得られるように頑張りたいです」と言葉に力を込める。
ほとんどのプレーが左足一本。最終ラインまで落ちてボールを引き取り、左右に散らして前進していく。「監督からは、自分が中心になって試合を作っていくことを求められています」。県中西部サマーフェスでは、最終ラインの背後への絶妙な浮き球パスを何度も通して仲間のサイドアタックを引き出した。
小柄だが、パンチ力のあるキックも印象的だ。キーパーが前に出ていれば、センターサークル付近からでも積極的に左足を振っていく。
小学時代は清水区の「SALFUS oRs」でNTT西日本グループカップ優勝。中学時代は清水区の自宅から藤枝東FCの練習に通い、ナショナルトレセンに呼ばれたことも。大舞台の経験は豊富だ。
「今はチームのために走ることを意識しています。90分間走り切るスタミナをつけたいし、体が小さいのでフィジカルの部分でも負けないようにしていきたいです」
けがで出遅れた分を取り戻そうと、必死にアピールを続けている。