
清水東のMF杉山拓海(左)とMF細川仁之助
高校サッカーで古豪復活を期す清水東。県内屈指の進学校のため、毎年3年生の多くは6月の県高校総体を最後に部活を引退して受験モードに入る。だが、今年は例年よりも多い13人が引退せずに残り、さらに期待の1年生も加わった。
全国高校選手権の出場を目指して夏を過ごす伝統校の中で、シズサカ編集部は細川仁之助(3年、サルファス出身)と杉山拓海(1年、清水エスパルスジュニアユース出身)の両MFをピックアップ。アルビレックス新潟でプレーしたこともある武田直隆監督にもインタビューした。(シズサカ編集部・南部明宏)
MF細川仁之助(3年、サルファス出身)
夏休み明けの新しい「10番」として武田監督から期待されているのが、このレフティーだ。4−1−4−1の布陣の中でインサイドハーフを担い、小気味良くボールを循環させる役割を求められている。
「近くの選手に当てろと常に言われているので、そこで“違い”を出せるように意識しています。自分の良さはワンツーとかで前に運んでいけるところ。シュートを決めきる部分は課題なので、この夏に克服できればと思っています」
最後の夏を迎えてようやく自分の居場所を確保したが、最近までケガに泣かされ続けてきた。新チーム発足直後の県高校新人大会は初戦で左肘を脱臼。県高校総体は左太ももの肉離れで一度も出場することなく終わった。セットプレー一発に泣いた準々決勝の静岡学園戦をスタンドから複雑な思いで見守っていた。
「2年の頃は、3年のインターハイが終わったら100パーセント引退するつもりでした。でも、インハイで1試合も出られずに悔いが残る結果になったので、もうやるしかないと思って」
静岡市葵区出身だが、幼稚園の頃から中学まで清水区のサルファスに所属。サッカーの街、清水での集大成の時が近づいている。
「10番に見合った、チームを勝たせる力はまだ足りない。もう本当にラスト。最高の仲間たちと全国に行って、悔いなく終われるように。自分がチームを勝たせるって気持ちでやっています」
MF杉山拓海(1年、清水エスパルスジュニアユース出身)
“ルーキー”ながら、サイドアタッカーとして先発争いに食い込んでいる。主戦場は中盤左サイド。夏場に入ってからの強化試合ではスタメンに名を連ねることが増え、「違いを作れるように」と必死にアピール中だ。
ディフェンスと対峙した時の縦へのボールの持ち出し方は、日本代表の三笘薫のプレーを想起させる。「スピードというよりは初速に自信があるので、縦に行く時のステップとかタイミングは(三笘選手のプレーを)意識しています」。一瞬の加速で相手を置き去りにしていく。
駿東郡清水町から通学。小学時代は清水エスパルス三島でプレーし、中学時代も県東部から清水エスパルスジュニアユースの練習に通っていた。
「まずは公式戦でゴールを取って結果を残したいです。まずは途中から出ても、違いを作れるようになれば。自分の得意なプレーは相手が分かっていても止められないぐらいになればいいと思います」。一歩ずつ階段を上がっていくつもりだ。
武田直隆監督インタビュー
ーこの夏はどんな狙いを持って過ごしていますか。
最後のゴール前のクオリティのところですね。ゴール前に入る人数や圧力、勢い、シュートの精度…。ある程度はボールを動かして、いいところまではボールを運べるようになってきたので、あとは最後の部分だと思っています。
ー選手からは「テンポ」というワードがよく出てきます。
ボールを持ちすぎちゃうと、相手に構えられてしまう。デュエルをせずにボールを逃がして、ボールを前に進めていくイメージ。個人ではボールを握らず、どんどん離していくサッカーですね。最後の突破は個人で行ければいいが、難しいのであればグループでエリアに入っていくようなことをやっていこうとしています。
ー今年は多くの3年生が夏に引退せずに残ったと聞きました。
残ったのは13人で、例年よりもかなり多いです。大きかったのは、インターハイ予選という舞台で静岡学園と戦って大敗せず、守備である程度戦うことができたこと(結果は0−1)。アイスタ日本平で多くの人に応援してもらって、もう少しやりたい、悔しいという思いがあったのでは。夏の合宿中、選手たちは宿舎で勉強しています(笑)
ー夏の日程は?
1年は韮崎遠征に。2年は横須賀遠征で日大藤沢や桐蔭学園など強豪とやらせてもらう予定です。3年のトップチームは磐田市で開催されるCC杯チャレンジカップに出場した後、8月下旬に御殿場で合宿をして仕上げたいと思っています。
ー夏明けの目標を。
選手権予選ベスト4以上を。常にベスト4にいれば、いつかチャンスは来るのではと思っています。