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スマートシティー鍵握る規制緩和 裾野市、国政に期待 衆院選静岡

 裾野市が、トヨタ自動車が同市で着工した先進技術実証都市「ウーブン・シティ」と連動したまちづくりに乗り出している。「双子のスマートシティー」(高村謙二市長)として、自動運転技術やドローンなどを活用した豊かな暮らしを目指す。実現に向けて立ちはだかるさまざまな規制の壁を打ち破るため、国政への期待を寄せている。

トヨタのジェームス・カフナー取締役(左)が裾野市のスマートシティー整備に協力する意向を示した説明会。右は高村謙二市長=5日、市役所
トヨタのジェームス・カフナー取締役(左)が裾野市のスマートシティー整備に協力する意向を示した説明会。右は高村謙二市長=5日、市役所

 「新しい価値を生み出し、この地域を活性化させたい」。トヨタのジェームス・カフナー取締役は5日、市が主催した市民向け説明会で地域との共存を強調。トヨタが開発した自動運転車「eパレット」や次世代モビリティーなどの技術を、市が進めるJR岩波駅周辺整備事業に提供する方針を示した。
 市は駅周辺をウーブン・シティの玄関口と位置づけ、にぎわいの拠点や交通結節点として再整備する計画を練る。事業費は、国の企業版ふるさと納税制度を活用する方針で、既にトヨタなど数社から計7億3千万円の寄付があった。カフナー氏は「市への投資と考えている」と説明する。
 市はトヨタと連動したスマートシティー化の加速を狙うが、規制が障壁となっている。例えば、自動運転車両は私有地の実証都市内で走行できても、公道走行は道交法で制限される。別の企業から出ている医薬品のドローン配送などのアイデアも、実現には規制を緩和する必要がある。
 市は当初、複数の規制緩和を一括して講じられる国の「スーパーシティ構想」の活用を検討した。市全域の特区指定を目指したが、募集期限直前の今年2月、一転して応募の見送りを決めた。高いハードルになったのは住民の合意形成。「指定区域の住民全員がサービスを利用するのが原則。全市民の賛同を得るのは困難だ」。市幹部は吐露する。個別に規制緩和を国に働き掛けるしかない現状に「スーパーシティに限らず、地域の実情に合わせた柔軟な対応をしてほしい」と求める。
 同市など全国各地のスマートシティー推進を支援するKPMGコンサルティング(東京都)の馬場功一パートナーは「各地の取り組みを見ると、実証実験で終わるケースが多い。課題の一つは社会実装のための資金確保。スマートシティーを軌道に乗せるには、国による財政支援の拡充も必要」と指摘する。
 (東部総局・八木敬介)

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