
哲学者、天文学者のガリレオ・ガリレイの16、17世紀にまたがる生涯を、東京デスロック主宰の多田淳之介さんがベルトルト・ブレヒトの戯曲を基に舞台化。「やりたい放題」の痛快さが横溢していた。
高さ3メートルはあろうかという白い半球に映し出される映像。一部AIを駆使したというテクノ味濃いめの音楽。人類の文明史や宗教史をたどるラップ。アニメ作品キャラのサンプリング。ある場面では太陽系の各惑星の模型とともに登場した地球を模したビーチボール(?)が、客席を行ったり来たり。なんだこれは!
人類が誕生した700万年前から現代までという、途方もなく長い時間が流れている。俳優は舞台中央の白い半球の周囲を右回りで進み、それが時の流れを表す。これぐらい分かりやすくしないと観客が置き去りにされてしまうという計算があったに違いない。
派手派手しい仕掛けや仕立ての中にガリレオの苦悩がポツンと置かれる。この対比が作品のキモである。多田さんはAIとの対話で台本を作ったことを公言しているが、情報過多な現代社会をそのまま舞台上に持ってきた感がある。
NetflixやApple Musicの膨大なコンテンツの中で、たゆたう自我。自分は一体、何に心を寄せていたんだろう。時々分からなくなる。本当の自分がどんどん見えなくなっていく。ローマ教皇庁が正統とする天動説の前で、自らの科学的信念が揺らぐガリレオが、とても他人とは思えない。圧倒的な存在の前で、自分が信じたものを見失う。悲嘆とともに「そんなもんさ」といった諦めもついて回る。
ただ、しょぼくれたガリレオを描いたこの作品自体は、確信に満ちている。多田さんは今回、あえてAIに介入させた制作過程をつまびらかにしているが、これは舞台における「全能の神」としての地位を決して譲るつもりがないというメッセージにほかならない。
AIの提示するあれこれは、アイデアの切れ端でしかないのだ。「選択は僕がする」。アフタートークでぼそっと発した多田さんの一言に、演劇人としての矜持を読み取った。
(は)
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■台本・演出多田淳之介、原作ベルトルト・ブレヒト「ガリレオ~ENDLESS TURN~」
会場:静岡芸術劇場(静岡市駿河区東静岡2-3-1)
開演日時:1月24日(土)、25日(日)、2月 1日(日)、14日(土)、15日(日)、3月 7日(土)の各日午後1時半開演
出演:石井萠水、大内智美、大高浩一、蔭山ひさ枝、春日井一平、加藤幸夫、河村若菜、木内琴子、小長谷勝彦、桜内結う、佐藤ゆず、鈴木真理子、鈴林まり、永井健二、中野真希、牧山祐大、三島景太、吉植荘一郎、渡邊清楓、渡辺敬彦
入場料金: 一般4600円、U-25(25歳以下)と大学生・専門学校生2200円、高校生以下1100円、障がい者割引 3200円
問い合わせ:SPACチケットセンター(054-202-3399)※受付時間は午前10時~午後6時






































































