その正体は「静岡みかんゼリー」の宇宙日本食

食べ方が独特すぎるゼリーの名前は「静岡みかんゼリー」。
実はこの静岡みかんゼリー、地上で食べるものではなく宇宙で食べるおやつとして開発中の「宇宙日本食」なんです。
「宇宙日本食」って何?

小さな頃から宇宙大好きなゆらちゃん
そもそも「宇宙日本食」って何かというと、JAXAによるととのこと。「宇宙日本食は、食品メーカーなどが提案する食品をJAXAが定める宇宙日本食認証基準と照らし、基準を満足している場合に宇宙日本食として認証するものです。ISS(国際宇宙ステーション)に滞在する日本人宇宙飛行士に、日本食の味を楽しんでもらい、長期滞在の際の精神的なストレスを和らげ、ひいてはパフォーマンスの維持・向上につながることを目的として開発したものです。」
要するに、宇宙飛行士だって、長く宇宙に居たら日本食が恋しくなる、日本食を食べれば慣れない宇宙でホッとするよね、ということで開発された食事です。
超有名大手ばかりの難関に静岡在住中学3年生が挑む!

小学生の頃から宇宙食認定を目指しているゆらちゃん
2024年11月時点で「宇宙日本食」として認証されている品目は、29社53品目のみ。認証を受けているのは、誰もが知っている超有名な大手企業ばかりというめちゃ難関なんですが、その難関に挑んでいるのが、静岡市在住の増田結桜(ゆら)ちゃん。なんと小学4年生から開発を始めて現在は中学3年生。ゆらちゃんが宇宙食を作ろうと思ったきっかけは、コロナ禍に受けたオンライン塾の授業。受講した「宇宙編」の授業にハマり、さらには宇宙の本を読み漁るようになりました。
本の中でJAXAの女性が「宇宙食の仕事は、宇宙飛行士に元気と笑顔を与える仕事」と話す記事に感銘を受け、「自分も大好きな若田宇宙飛行士に、静岡食材の宇宙食で元気を与えたい!」という想いに至ったそう。
そして、せっかくなら地元のものを!と、静岡のみかんを使った「静岡みかんゼリー」を考案。既にJAXA宇宙日本食に認定されている企業に交渉をし、クラファンで集めた資金で「静岡みかんゼリー」を作りました(とはいえ資金面の都合で製造は3.500本限定。主にクラファンの返礼品での使用となったため、残念ながら現時点では市販化はありません)。
今回、認証に向けてのリアル商品が出来上がり、しかもその食べ方が独特!「鼻をつまんで食べる!?」と聞いて、途中経過を取材した、というわけです。
鼻をつまむと宇宙飛行士と同じ味が体験できる

だから、あえて「嗅覚を鈍らせる」ために鼻をつまんで食べると「国際宇宙ステーションに居る宇宙飛行士と同じ味を感じられる」というわけなんです。
せっかくなので、実際にトライしてみました。
まずは、普通に食べてみると、「あ! けっこう味が濃い!」。わりとインパクトのある強めの味です。
今度は、鼻をつまんで食べると、「ちょうどいい! 美味しい」。むしろ匂いを感じなくなる分だけフレッシュなみかんの味とゼリーのしっかり目の食感を感じるようになりました。
ちなみに、これはあくまでこのゼリーの食べ方の一つです。鼻をつまんでの飲食は注意が必要なのをご承知おきください。

パウチの中身はこんな感じ
う〜ん。ただ地上にいて、ただゼリーを食べてるだけの私も、宇宙にいるような気分になりきれました。「静岡みかんゼリー」が宇宙に行くまではあと3年くらい?

「チームゆら」のメンバー
小学4年生のときに「宇宙食を作ろう!」と思ったゆらちゃん。5年経過した今もその道のりはまだまだ先があるわけですが、現在はJAXAの宇宙日本食認証取得に向けて一般社団法人として法人化(15歳未満は代表になれないため、母が代表理事でゆらちゃんが理事)。
静岡県立大学の学生と一緒に「チームゆら」も結成し、「あと3年くらいでなんとかしたい!」と頑張り中です。
というわけで今回は、「食べ方が独特すぎる! 鼻をつまむと宇宙気分になれる!? 宇宙食を中学生が開発中」を紹介しました。

適切な粘度を探して「凝固剤」のアガーを何度も工夫
今までのロードマップやこれからの活動に興味のある方は「一般社団法人チームゆら」を検索してみてくださいね。宇宙空間でゼリーが飛び散らないように「凝固剤」を工夫した「開発ストーリー」なんてドラマになりそうなくらいに面白いですよー。
宇宙日本色開発チーム『一般社団法人チームゆら』
instagram:@team__yura