
国際宇宙ステーションで使ってもらおうと、静岡県富士市の企業が開発した香るカプセルが8月24日、ロケットで打ち上げられました。カプセルの新たな可能性を広げることにつながると期待されています。
ISS=国際宇宙ステーションです。このISSに向け物資を運ぶロケットが日本時間の8月24日、アメリカから打ち上げられました。
富士市に本社を置く「三生医薬」です。ISSに送ったのはニトリなどと開発した香るカプセルを組み込んだアイマスクです。
<三生医薬 奈良未沙希さん>
「自然がない状態で長期間働いているので、地球を思い出していただけるような香りをコンセプトに作っています」
フェルト製のシールには真ん中にアロマ精油入りのカプセルが仕込まれています。
<三生医薬 奈良さん>
「入っていた真ん中のカプセルを爪を立てて指で…」
カプセルを潰して香りが出たらアイマスクの鼻についているポケットにセットする仕組みです。
<社会部 寺坂元貴記者>
「アロマがダイレクトに鼻に届いて、つけた瞬間からスーッと爽やかな感じがするんですね」
三生医薬は2022年から奈良さんをリーダーに宇宙で快眠できる方法を模索してきました。ISSでは昼と夜という概念が薄く常に明るい密閉空間で眠らなければなりません。いわば「寝るストレス」が宇宙空間の課題の一つです。
三生医薬はカプセルの製造で国内屈指の技術を誇ります。そんなカプセルに森林浴を感じさせる精油を閉じ込め宇宙空間でリラックスしてもらう。それが今回のプロジェクトの狙いです。
<三生医薬 奈良さん>
「宇宙で安全安心で使いやすいことが証明されれば、今後宇宙で長期間働く人、宇宙で旅行を楽しむ人、宇宙で暮らしていく人に癒やしを提供できるんじゃないか」
そして迎えた打ち上げ当日。静岡県富士宮市にある三生医薬のオフィスではロケットの打ち上げを社員ら約50人が見守りました。
<三生医薬 奈良さん>
「一緒に仕事をしてきたみなさんと見守ることができた。うれしくて貴重な経験ができた」
自社製のカプセルが宇宙に。このプロジェクトで会社のブランド力アップとカプセルの新たな可能性を広げることが期待されています。
<三生医薬 今村朗社長>
「これをきっかけにカプセルは『こんなことにも使えるかもしれない』『あんなことにも使えるかもしれない』というように社内のひとも社外の人も想像力を働かせる、その第一歩にしたい」
宇宙に届けられたしずおか発の小さなカプセル。新たな知恵と技術は大きな可能性を秘めています。