
草薙の剣でこの地を平定したと言われる日本武尊(やまとたけるのみこと)が祀られる草薙神社。
毎年9月、ここでは龍勢花火が打ち上げられます。戦国時代の天文12年(1543年)、火縄銃と共に火薬が伝来した事で、花火も日本全国に広がっていきました。
龍勢は煙や布きれなどで合図を送るのろしとして使われたと言われていますが、花火は東南アジア各地で雨乞いのために打ち上げられており、むしろアジア共通の農村の文化であったとも考えられます。
龍勢花火の作り方や打ち上げ方法は人から人へと、口伝えで受け継がれてきました。安政年間、1854年から1860年に、草薙神社の秋の大祭で打ち上げが始まったとされる記録が残されている伝統行事です。
長さ1メートルほどの竹筒に火薬を詰め込み、長い竹のしっぽをつけて打ち上げられるロケットが大空に駆け上がるその姿は、まさに竜そのものです。同じようなロケット花火は、ここ草薙と、藤枝市の岡部朝比奈地区、埼玉県秩父市、滋賀県米原市、日本全国わずか4か所だけに残る文化です。
県の無形民俗文化財に指定される草薙の龍勢は、保存会の10支部がそれぞれの流派を名乗って競い合い、これからもその伝統を受け継いでいきます。
静岡市歴史めぐり まち噺し 今日のお噺しはこれにて。