
『星屑テレパス』の舞台“静岡市”で灯台のモデルの1つ「清水灯台」の内部が特別公開!星テレファンで“聖地”賑わう

アクリルスタンドを持参し記念撮影するファン
2023年11月11日、「まんがタイムきらら(発行:芳文社)」に連載中の大熊らすこ先生の漫画『星屑テレパス』に登場する灯台のモデルの1つとされる清水灯台(静岡県静岡市清水区三保)が特別公開され、灯台ファンや作品のファンらで賑わいました。『星屑テレパス』効果⁉整理券配布に50人が列
特別公開は、午前と午後に2時間ずつの開催でしたが、定員が80人と定められているため、見学するためには先ず午前9時50分から配布される整理券を入手する必要があります。時間指定制のため、早めに並べばすぐに中に入ることができますが、40人目までに並ばなければ、見学は午後となってしまいます。
定員は80人。貴重な機会を逃すまいと整理券配布には長い列が出来ていた
こうしたこともあって、整理券配布にはおよそ50人が列を作りました。灯台を管理する清水海上保安部の担当者が整理券について説明する際、「『星屑テレパス』の関係で来た人?」と問いかけると、3分の1程の参加者の手が挙がり、担当者を驚かせていました。一部ファンの間で以前から“聖地化”
清水灯台は作中に登場する灯台とは内部も外観も大きく異なるものの、同作の舞台モデルとなっている静岡市に立地していることや、その他に三保地域がモデルとして登場していることなどもあり、以前から一部のファンの間でいわゆる“聖地”としての扱いを受けていました。
清水灯台の内部。モデルになっているわけではないので当然だが、作中の灯台と比べるとかなり狭い
そんな中、10月下旬に大熊らすこ先生がYouTubeの配信で「立地の参考にした」と言及したことで、なかば公認の“聖地”となり、多くのファンが他のモデル地とともに足を運ぶスポットとなっています。参加者ら興奮、眼前で回転するフレネルレンズ
清水灯台は普段は内部はもちろん、敷地内にも立ち入ることができない灯台ですが、今回の特別公開では、管制機室や地上16メートルほどの高さにあるレンズ室も見学することができました。内部は予想以上に狭く螺旋階段も急勾配で、15分に5人のみ、定員80人という見学の制限も頷ける構造です。
海面から約21m、地上からは15~16m程の高さにあるレンズ室。天候が良ければ富士山が臨める
圧巻はやはり上部にある2面のフレネルレンズ。14海里(26km)まで光を届かせる大きなレンズを、点灯している状態で間近で観ることができました。さらに、このレンズ室の外側にある回廊に出て絶景を拝むこともできましたが、足がすくんで動けない参加者もいました。見た目は違ってもファンの間で特別な存在に
なお、原作漫画では外観や内部の構造は国内外の別の灯台を参考にしたことが、上述の作者のWEB配信で明らかになっているため、特別公開で内部が見学できるからといって、いわゆる“カット回収”ができるわけでもありません。
アクリルスタンドと記念撮影する酉褒さん。グッズ持参のファンの姿が多数見られた
また、10月から放送中のアニメでは、灯台は久能海岸と思われる場所に立地しているかのように描かれており、清水灯台と直接的な関係はないはずですが、作中の灯台の雰囲気を“聖地”静岡市で感じられる重要な場所として、背景モデルとはまた違った形で、ファンを楽しませるスポットになっているようです。<酉褒さん(愛知県在住)>
「この灯台が作品の中でモデルの1つになったということを、先日、作者さんのYouTube配信でお聞きしまして、加えて本日、中を見学できるということなので、じゃあこの機会に行ってみようと思ってやってきました。ファン目線というのもあるでしょうけど、“神々しさ”を感じるななんて思いました。」
<作品のファン(京都府在住)>
「趣味として聖地巡礼で色々なところに行っています。今日はもう(静岡市内の『星屑テレパス』の舞台モデルは)ほぼ回ったんですよ。京都から朝一の夜行バスで来て。」
<作品のファン(愛知県在住)>
「実物を目の前にすると、やっぱりいいですよね。きょうはここだけで終わりですが、アニメが終わったら、もう1回来て全部の登場場所を回るつもりです。」
静岡市に住んでいる人は『星屑テレパス』を観てほしい!
レンズ室を外側から見学する参加者。その上にある風見鶏は羽衣伝説に因んで天女がデザインされている
特別公開を機に県外から初めて訪れたというファンが多かった中、これまで幾度も訪れていた場所がモデルとして登場していることに、地元静岡市のファンからは喜びと期待の声が聞かれました。<ももミニさん(静岡市在住)>
「よく灯台の近くにある駐車場に来るんですよ。中に入るのは初めてという感じです。実際にこの灯台かは分からないですけど、こんな狭いところに住めるのかなと思って(笑)同じところに入れたっていうのは、なんか嬉しいですよね。」
<ヒライさん(静岡市在住)>
「地元が舞台になるっていうのは、とっても嬉しいです。静岡市に住んでいる人は、馴染みのある場所がたくさん出てくるんで、『星屑テレパス』観てほしいです!」
作品をきっかけに清水灯台を興味を持ってもらえたら

整理券配布に集まった参加者を出迎える清水海上保安部の職員ら
清水灯台を管理する清水海上保安部も、例年とは客層の違った今回の特別公開に手応えを感じています。<清水海上保安部 深浦勝弘交通課長>
「去年、特別公開をした時はご年配の方が多かったんですが、今回は若い方々が多いなという印象です。『星屑テレパス』をご覧になってお越しになったのかと思います。若い人たちが清水灯台に興味持っていただければ本当に嬉しいことです。」
1世紀以上に亘って駿河湾の安全を守ってきた海の道しるべは、今、漫画・アニメファンを静岡へと誘う明るい光になっているようです。
(文:深夜の天輔星)
静岡新聞SBS有志による、”完全個人発信型コンテンツ”。既存の新聞・テレビ・ラジオでは報道しないネタから、偏愛する◯◯の話まで、ノンジャンルで取り上げます。読んでおくと、いつか何かの役に立つ……かも、しれません。お暇つぶしにどうぞ!