(文・写真/経営戦略室・天野大輔)

2026年4月、静岡市が主たる舞台モデルとなっているアニメ『レプリカだって、恋をする。』の放送がスタートしました。本作は、静岡市出身の作家、榛名丼さんの同名小説が原作で、原作は2023年に「第29回電撃小説大賞」(KADOKAWA主催)や「第11回静岡書店大賞」(実行委主催)の「映像化したい文庫部門」などを受賞している話題作です。
これまでの放送では、主人公の自宅がある設定の用宗地域をはじめ、「静岡大橋」「日本平動物園」など、市民には馴染み深い風景が次々登場しています。また、市内各所へのキャラクターパネルの設置やポスター掲出など、静岡市と大規模なコラボレーションも展開されており、“静岡が聖地”のアニメとして注目を集めています。しかし、2026年4月期の静岡を舞台としたアニメ作品はこれだけではありません。
『スノウボールアース』も県内が舞台の設定
静岡市の鳥坂インター付近
4月3日から全国ネットで放送が開始された『スノウボールアース』も、静岡県を舞台とした作品です。辻次夕日郎さんの同名漫画(小学館「月刊!スピリッツ」連載)を原作とする本作は、地球表面が氷に覆われた「全球凍結(スノーボール・アース)」後の近未来を描くSF冒険譚。作中の地球は分厚い氷に閉ざされ、かつての文明は変わり果てた姿となっていますが、第1話のラストシーンで主人公たちが降り立った場所を上空から捉えた描写は、静岡市の静清バイパス「鳥坂インター」付近を参考に作画したものとみられ、第2話では「静岡」という地名が主人公のセリフの中で登場しました。
変わり果てた世界を舞台としているため、いわゆる「聖地巡礼」ができるような、実在のまち並みがそのまま登場する類の作品ではありませんが、設定上の舞台が静岡であることは間違いありませんし、原作通りであれば、アニメでも当面、静岡県内を舞台に物語が進行するはずです。
『お隣の天使様』2期では主人公の実家がある設定で静岡市が登場
「お隣の天使様」で登場した城北公園の日本庭園と思われる場所
『レプリカだって、恋をする。』や『スノウボールアース』のように静岡を主舞台とした作品がある一方で、物語の一部に静岡が登場し、重要な役割を果たす作品もあります。4月から第2期が放送中のアニメ『お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件』の第3話では、作中で明示こそされないものの、主人公の実家は静岡市にあるという設定とみられ、JR静岡駅や城北公園などがモデルとして描かれました。今後の展開で静岡がどのように関わってくるかは分かりませんが、主人公の「出身地」という設定は、ファンにとっても思い入れの深い大切な要素といえます。
首都圏をメイン舞台としながら、主人公のルーツが静岡にある作品といえば、2013年から翌年にかけて放送された『ゴールデンタイム』が思い出されます。こちらの主人公の出身地は、明言こそされないものの島田市がモデルと目されており、大井川に架かる世界最長の木造歩道橋「蓬莱橋」が物語の重要なスポットとして登場しました。「蓬莱橋」といえば、今ではすっかり『ゆるキャン△ SEASON3』の舞台モデルとしておなじみですが、『ゴールデンタイム』放送当時は、一部のファンが現地を訪れるなどしており、新聞で取り上げられたこともあります。
その他にも静岡関連アニメが続々
『メイドさんは食べるだけ』に登場した治一郎のバウムクーヘン
加えて4月期のアニメでは、『メイドさんは食べるだけ』の1話で、浜松市に本社を置く「治一郎」のバウムクーヘンが登場しました。こちらは商品が取り扱われるだけにとどまる形ではありましたが、静岡ゆかりの味が作品に彩りを添えました。
また、本編には登場しませんが、アニメ化記念の「道の駅コラボ」が実施されている『姫騎士は蛮族の嫁』では、対象となる全国9道府県の一つに静岡県が選ばれています。現在、富士市の「道の駅 富士川楽座」にはキャラクターパネルなどが設置されており、ファンを楽しませています。さらに、既述の作品群のような深夜帯の放送ではありませんが、1990年から放送され続けている国民的アニメ『ちびまる子ちゃん』の舞台も、言わずもがな静岡(現・静岡市清水区)です。
一つ前の2026年1月期も静岡アニメが複数
コラボマップが配布中の『綺麗にしてもらえますか。』
直近の2026年1月期を振り返っても、静岡県はアニメファンの注目を集めていました。熱海市を舞台とした『綺麗にしてもらえますか。』は、現地で「聖地探訪マップ」が配布され、現在も多くのファンが聖地巡礼として熱海へ足を運んでいます。同時期に放送された『MFゴースト 3rd Season』でも、白熱するレースのコースとして同じく熱海市が登場しました。
また、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』も、映画の上映自体は2021年でしたが、地上波で放送されたのはこの2月で、第3村のモデル地の一つとして登場する「天竜浜名湖鉄道 天竜二俣駅(車両基地)」が改めて注目されました。さらに、舞台設定こそ県内ではありませんが、「かぐや姫伝説」ゆかりの地である富士市とコラボを展開中のNetflixのアニメ映画『超かぐや姫!』も、公開がスタートしたのは1月です。
2026年7月期には『ぐらんぶる』の3期が放送
富士山も『超かぐや姫!』の舞台?
すでに多くの作品が話題を振りまく中、2026年7月期には伊東市などが舞台モデルとして登場するとみられる『ぐらんぶる』第3期の放送も控えていますし、『超かぐや姫!』も意外な広がりを見せています。ミュージックビデオに富士山を彷彿とさせる場所が登場したことから、SNS上では「富士山に登頂したい」というファンの声が散見されます。7月の山開き以降、今夏は富士山もまた一つの「巡礼地」として、盛り上がりを見せそうな勢いです。
筆者はそれほど多くのアニメを視聴しているわけではありませんが、それでもこれだけの作品が枚挙にいとまがありません。把握しきれていない微細な描写や他作品での登場を含めれば、静岡ゆかりの作品はさらに多い可能性があります。メイン舞台から、一部の登場、あるいはタイアップ企画まで、2026年のアニメにおいて、静岡県はかつてないほど多角的なスポットライトを浴びています。
2023年から続く静岡舞台アニメ作品フィーバー
官民連携コンソーシアムで「しずおかオシノミクス」について説明する静岡県の担当者
これほど多くのアニメで静岡県が舞台となるのは異例の事態に見えますが、実はここ数年を振り返ると、さほど特異な状況というわけでもありません。2025年こそ一時的に落ち着いたものの、2023年には『夢見る男子は現実主義者(浜松市)』『オーバーテイク!(御殿場市)』『星屑テレパス(静岡市)』『『幻日のヨハネ -SUNSHINE in the MIRROR-(沼津市)』などが相次いで放送されたほか、『キャプテン翼シーズン2 ジュニアユース編』では、主人公の実家がある設定の南葛市の描写として、静岡市内の実在の風景がモデルとして描かれました。翌年の2024年4月期には『ゆるキャン△ SEASON3(県内各地)』『となりの妖怪さん(西部地域)』『リンカイ!(伊東市)』『HIGHSPEED Étoile(富士スピードウェイ)』が同タイミングで放送されるなどもしており、静岡県登場ペースは高水準が続いています。
静岡県は現在、「しずおかオシノミクス」を掲げ、アニメツーリズムによる観光誘客を推進しようとしています。そのためには前提として、「静岡が舞台となるコンテンツ」の供給が不可欠ですし、これだけ豊富な作品が絶え間なく供給されている現状は、県にとって強力な追い風といえるでしょう。“アニメ聖地”としての静岡のさらなる発展に期待が高まります。









































































