静岡県が県内舞台モデル作品を取りまとめた“アニメ聖地マップ”を制作へ 『ゆるキャン△』『ラブライブ!』『エヴァ』『ヒロアカ』など複数作品を収載想定


全国各地の舞台モデルマップ(筆者収集)

静岡県のアニメ“聖地”といえば昨今では県全域が登場する『ゆるキャン△』や沼津市の『ラブライブ!サンシャイン!!』を思い浮かべる方が多いかと思いますが、その他にも多くのアニメの舞台モデルとなっています。この2つのシリーズ作品を除いても、2020年以降だけで『シン・エヴァンゲリオン劇場版(浜松市)』『夢見る男子は現実主義者(浜松市)』『オーバーテイク!(御殿場市・小山町)』『星屑テレパス(静岡市)』『となりの妖怪さん(県西部)』『リンカイ!(伊東市)』など、多くのアニメが放送・上映されています。

全編にわたって舞台というわけではないものの、富士スピードウェイがモデルとして登場した『HIGHSPEED Étoile』や南葛市のモデルとして静岡市の一角が登場した『キャプテン翼シーズン2 ジュニアユース編』、沼津市戸田が背景として描かれた『化け猫あんずちゃん』などもあります。

アニメ旅行の目的地として人気の「静岡県」

イベント会場に設置された県のPRブース

こうした状況を物語るように、2024年10月に発表された「じゃらんリサーチセンター」の『映像コンテンツ コンテンツツーリズム調査(2024年3月調査実施)』において、静岡県は日本のテレビアニメのコンテンツツーリズムの目的地として東京、神奈川に次ぐ3位にランキングされています。

静岡県はアニメコンテンツを活用して、県内にさらに人を呼び込もうと、県内舞台のアニメをとりまとめたマップの制作に向けて動き出しました。所管しているのは静岡県スポーツ・文化観光部で、これまで県と『ゆるキャン△』のコラボなどを担当してきた部署です。2025年5月に『県内を聖地とするアニメ作品と連携した誘客事業に係るPRツール制作業務委託』という事業名で、参加事業者が企画提案を行うプロポーザルが実施されました。

『ヒロアカ』も!?5作品前後をとりまとめたマップに

マップ制作業務の公募要領

仕様書によれば『シン・エヴァンゲリオン劇場版』『僕のヒーローアカデミア』『ゆるキャン△』『ラブライブ!サンシャイン!!』の4作品を含む5作品前後の紙媒体のマップと特設ホームページが制作されることとなっており、2025年度内に公開される想定です。

『僕のヒーローアカデミア』については、静岡県内に具体的な背景モデルがあるわけではありませんが、主人公らの通う「雄英高校」の所在地の設定が静岡とされていることや、2024年に静岡鉄道とのコラボ事業が実施された実績がある中、アニメ第8期に当たる「FINAL SEASON」が 2025年10月から放送されることを念頭に置いたものとみられます。

5作品だとすれば、他にはどんな作品が?

静岡県の民放で放送された県内が舞台モデルのアニメ作品の例

名前が挙げられている4作品は、アニメファンでなくてもタイトル位は聞いたことがあるといった人気作品である中、仕様書通りに5作品だとすれば(※名前が挙がっている4作品を含む5作品前後とされています)、もう1作品は何が選定されることになるでしょうか。誰もが知る国民的な知名度のある作品という意味では、静岡市が舞台の『ちびまる子ちゃん』や架空のまち南葛市が舞台ではあるものの、設定上は静岡県内にある『キャプテン翼』などがあります。

アニメファンに根強い人気がある作品という意味では、ここ数年の作品を除いても『苺ましまろ』や『夏色キセキ』『あまんちゅ!』『ガヴリールドロップアウト』などが挙げられますし、静岡市がメイン舞台で浜松市や富士宮市も登場する『レプリカだって、恋をする。』のように、アニメ化企画が進行中の作品や、今後アニメ化されてもおかしくない県内が舞台モデルの漫画・小説作品も複数ありますので、どのような作品構成になるのか注目されます。

珍しい複数作品同載のマップ、一体どんなものに!?

静岡県がこれまでに配布してきた『ゆるキャン△』とのコラボ制作物(筆者収集)

こうした複数のアニメ作品を1つにまとめてマップにするのはかなり珍しいケースだと思われます。一般に版権元から承諾を得ることのハードルが上がるためです。静岡県内では2024年に『ゆるキャン△』と『ラブライブ!サンシャイン!!』がコラボした「Meets SHIZUOKA〜ゆるキャン△ × ラブライブ!サンシャイン!!〜」というキャンペーンがミライシングス(クオラス)によって展開された実績がありますが、特定作品のコラボではなく、4作品・5作品といったアニメが1つの制作物に同載されるケースは、あまり例がなく、完成すればアニメファンも驚くようなマップになるかもしれません。

仕様書には、制作したマップ1万5000部を県内30箇所程度に配送とあるので、観光案内所や観光施設等で配布されることになるのでしょうか。厳密にはまだ事業の実施が正式決定したというわけではありませんが、仕様書通りに実現したとすると、どういった事業者が制作を担い、どんなマップになるのか、楽しみで仕方ありません。

(文:深夜の天輔星)

静岡新聞SBS有志による、”完全個人発信型コンテンツ”。既存の新聞・テレビ・ラジオでは報道しないネタから、偏愛する◯◯の話まで、ノンジャンルで取り上げます。読んでおくと、いつか何かの役に立つ……かも、しれません。お暇つぶしにどうぞ!

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