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山梨県身延町の『ゆるキャン△』モデル地で3回目の「本栖高校文化祭」開催 ファンも地域住民も楽しめるイベントに

2024年5月11日(土)・12日(日)の2日間、『ゆるキャン△』のモデル地となっている山梨県身延町の旧身延町立下部小中学校で、身延町を中心に周辺の市町の文化や特産品・グルメなどを楽しめるイベント「本栖高校文化祭2024」が開催され、地域住民や作品のファン、親子連れらで賑わいました。

旧身延町立下部小中学校は、アニメ版『ゆるキャン△』で、主人公・各務原なでしこらの通う高校が立地する場所のモデルとなっていて、その学校名が「本栖高校」であることがイベント名「本栖高校文化祭」の由来になっています。原作漫画でも周辺が登場しており、実写ドラマ版では校舎がロケ地として使用されました。

校舎・校庭・体育館がフル活用された“文化祭”

物販・飲食ブースの奥には同時開催の校庭キャンプ参加者のテントが並ぶ

3年目3回目となることしの本栖高校文化祭は、実写ドラマ版『ゆるキャン△』のロケが行われた旧下部中学校の「校舎」の一般公開、身延町ほか周辺市町等の物販・飲食ブースが並ぶ「校庭」、地元の高校や有志団体が演劇や演奏、ダンス等を披露した「体育館」の3つの場所・要素で構成されました(※体育館は1日目のみ)。

まさに“文化祭”の名にふさわしいイベント内容で『ゆるキャン△』のファンであるかどうかに関わらず、地域のお祭りとして、子どもから大人まで楽しめる内容となっていました。

校舎の一般公開、ロケセットにファンの列途切れず

うなぎの寝床のような「野外活動サークル」の部室

作品のファンからすると、一番の目玉になっていたのは、やはり普段は入れない実写ドラマ版の『ゆるキャン△』のロケが行われた旧下部中学校の校舎の一般公開でしょう。

『ゆるキャン△』の名を冠したイベントとしては去年の本栖高校文化祭以来1年ぶりの一般公開となり(※清掃活動で校舎内に入れるイベント等は別途実施実績あり)、主人公らが所属する野外活動サークルの部室や、図書委員会に属する志摩リンの象徴的な居場所である図書室のロケセットが人気を集めていました。

家庭科室には貴重なポスターやグッズが

家庭科室の広いテーブルを活かした展示

もちろん、校舎内での楽しみはこれだけではありません。2階にある家庭科室には『ゆるキャン△』と山梨県の自治体や企業・団体等がコラボした際に作成されたポスターやグッズ等が展示されました。

ほとんどが非売品であり、山梨県内の一部地域でしか掲示されていなかったようなものも多いため、こんなポスターもあったのかと、驚かさせるものもありました。

新キャラパネルにアニメ台本展示も

キャラクターのスタンドパネルはアニメ3期の放送を前に新しくなった

さらに、野外活動サークルの部室のロケセット近くの教室にはアニメの台本やキャラクターパネルが展示され、ファンらが熱心に写真に収めていました。

現在放送中の『ゆるキャン△ SEASON3』のプロモーションビデオも上映され、築40年を超えるノスタルジックな校舎の雰囲気の中で、参加者たちは『ゆるキャン△』の世界に浸っていました。

本栖高校に“きぐりん”降臨!

数十人のファンに囲まれる“きぐりん”

『ゆるキャン△』ファンを楽しませる仕掛けはこれだけではありません。ことしは志摩リンの着ぐるみ“きぐりん”が来場。大きな髪のお団子と三等身のかわいらしい姿が来場者の人気を集め、登場する度、周辺には人だかりができました。

校舎の中や校庭などに突如現れる神出鬼没な“きぐりん”でしたが、記念撮影に応じたり、シチュエーションや要望に合わせて仕草をアドリブで対応し、ファンの心をしっかりと掴んでいました。

校庭には2日間で延べ30以上のブース 静岡県からも参戦!

サスナカ長澤水産といなば肉店のスタッフ

地域のグルメや物販のブースが並んだ校庭でも『ゆるキャン△』グッズを販売する店や作品ゆかりの店が並びました。『ゆるキャン△』といえば静岡県にも作中に登場するの店がいくつもありますが、ことしも去年に引き続き、作中に店の看板商品“伊東のみそ漬け”(※作中では“伊豆の味噌漬”)が登場した伊東市の「いなば肉店」が出店していました。

また『ラブライブ!サンシャイン!』のファンにはおなじみの沼津市の「サスナカ長澤水産」も静岡県からの出店。チーム静岡で文化祭を訪れるアニメファンを盛り上げましたが、何よりスタッフがこの文化祭への出店を楽しんでいました。

『ゆるキャン△』ファンもそうでない人も

cap チラシには“子ども大歓迎!”の文字

作品の舞台モデル地という特別な場所で、観て、聴いて、食べて、全身で『ゆるキャン』を楽しむことができる本栖高校文化祭ですが、『ゆるキャン△』ファンだけが楽しめるイベントというわけではありません。

会場に並ぶ特産品やグルメの大半は『ゆるキャン△』の作品そのものとは無縁の地域の文化や味ですし、チラシに掲げられた「子ども大歓迎!」の言葉の通り、射的やワークショップのような体験型プログラムも設けられており、地域住民や子どもたちも楽しめるように企画されています。

「今まで知らなかった身延町を知ってほしい」

Fine-F∞dsの金岡さんご夫妻

<Fine-F∞ds 金岡義朝代表>
「『ゆるキャン△』ファンの方が多いですが、内覧会とか高校生の演劇とかも入っているので、そういう方も多いかなって思います。今まで知らなかった身延町の美味しさとか楽しさとか、観光含めてお伝えできればなと思っています。自分たちも楽しみながら、お客さんとコミュニケーションを取りながらやっていくっていうのが、一番大事かなと思っています」

去年に引き続き出店したFine-F∞dsはあけぼの大豆をはじめとした身延町の特産品を使ったフード等を扱っています。身延町の人口減少などの地域課題のために何かできないかと金岡さん夫婦が2年程前に始めました。地域の人にも『ゆるキャン△』ファンにも、こういった機会に身延町の良い部分を知ってもらえたらと話します。

高校生も参加「新しい挑戦、取り組みが楽しくて嬉しい」

青洲高校商業研究部のメンバー

身延町の特産品「西嶋和紙」の紙漉き体験のブースには西嶋和紙とのコラボレーション商品をつくるなどしている山梨県立青洲高校商業研究部の部員たちが手伝いに来ていました。

<青洲高等学校商業研究部 部員>
「新しい挑戦、取り組みとして来れているのが楽しくて嬉しいです。地域の伝統産業を活性化するために、少しでも広まってくれるといいなって思ってます」

主催者である五条ヶ丘活性化推進協議会の依田貴司事務局長は、このイベントを通して、地域の人たちがこの地域に住んでいることを誇りに思ってもらえたらと話していましたが、まさにそうした想いが形になってきています。

今回初実施、体育館を使った「南山梨伝統文化芸術発表会」

体育館に太鼓の音が響き渡った古関観音太鼓同好会の演奏

地域に誇りを持ってもらい、この地域を愛するきっかけになれば。そんな主催者の想いが今回最も体現された企画が、3回目の開催にして初めての試みとなる「南山梨伝統文化芸術発表会」です。体育館では身延山高校・身延高校・甲府第一高校の3つの高校の部活や有志団体の演奏や演劇、ダンス等が披露されました。

<古関観音太鼓同好会 渡辺将樹代表>
「地元で自分たちのPRっていうか、こう、やってますよ!ってことを知ってもらういい機会。地域の人が観てくれればそれが一番うれしい。もちろんゆるキャン△を一生懸命楽しんでもらえればいいんだけど、こういうのもあるよってのを観てもらえれば嬉しいね」

「本栖高校文化祭」は今後も開催予定

1日目の運営にあたった五条ヶ丘活性化推進協議会のメンバー

閉校してしまった学校跡地を活用して地域を活性化しようと、地元の有志らでつくる「五条ヶ丘活性化推進協議会」が始めた様々な取り組みの内の1つが、この「本栖高校文化祭」の開催です。

舞台モデル地での開催ということもあって『ゆるキャン△』という文脈でだけで語られがちですが、それだけに留まらない地域への想いがたくさん詰まった手づくりのイベントした。「本栖高校文化祭」は定期的に開催されている校庭キャンプとともに継続的な開催を予定しているということです。


文:深夜の天輔星

静岡新聞SBS有志による、”完全個人発信型コンテンツ”。既存の新聞・テレビ・ラジオでは報道しないネタから、偏愛する◯◯の話まで、ノンジャンルで取り上げます。読んでおくと、いつか何かの役に立つ……かも、しれません。お暇つぶしにどうぞ!

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