【ギャラリー悠の稲垣有里さん個展】天然染料「貝紫」の魅力

静岡新聞教育文化部が200字でお届けする「県内アートさんぽ」。今回は、天然染料「貝紫」による創作を続ける染織家、稲垣有里さんの個展。11月1日まで、静岡市葵区鷹匠の「ギャラリー悠」で開催中。

貝紫は紀元前、古代エジプトなどの遺跡からも発掘された染料色素の一つ。稲垣さんは、アカニシ貝のパープル腺と呼ばれる毒部分を採取し染料を作るという。絹の光沢と相まってその紫色は華やか。縞模様の着物は、細やかなグラデーションで織り上げられている。色の違いは染料の量とのこと。だんだん薄くなると「紫でも銀でも青でもない色」に。貝の毒からという過程に驚くが、美しい濃淡こそ、人の手による工芸品と実感する。(お)

静岡県内の音楽、美術、文学、演劇、パフォーミングアーツなど、さまざまな表現活動を追いかけます。教育分野の動きもフォロー。最新情報は公式X(旧Twitter)で。

あなたにおすすめの記事

人気記事ランキング

ライターから記事を探す

エリアの記事を探す

stat_1