【高校野球座談会・注目選手】常葉大菊川の捕手鈴木叶が“プロ注”の一番手!記者のオススメ選手も紹介

7月8日から始まった第105回全国高校野球静岡大会。静岡新聞運動部の高校野球歴代担当記者が「注目選手」をテーマに座談会を行いました。

プロ注目の鈴木(常葉大菊川)は強肩とフットワークが武器

鈴木叶(常葉大菊川)


ー今年はプロ注目の選手はいますか。

(吉沢)常葉大菊川(常菊)の捕手鈴木叶の評価が高いです。一番の武器は肩の強さだと思います。元々内野手だったのでフットワークがよく、取ってからも早い。かつコントロールもいい。スラッとした体格で、キャッチング技術もセンスあるなあと思います。

ーどんな経歴ですか。

(吉沢)浜松南シニア、掛川東中出身です。中学1年の冬から捕手になり、高校入学後に石岡諒哉監督から捕手像についてより深く学んでいったようです。右打者で2年生から4番を打つ打撃も魅力です。ホームランは通算20本以上。秋は警戒された中で苦しんでいた印象でしたが、この春は1試合に2安打ずつぐらいの感じでアベレージも残し、着実にレベルアップしているようです。

ードラフト指名は確実そうですか。

(吉沢)高校生キャッチャーでは報徳学園(兵庫県)の堀柊那が全国ナンバーワンと評されていますが、スカウトによればそれ以上じゃないかという声もあります。高校ナンバーワン捕手を争うレベルであることに間違いないです。

加藤学園の太田侑希は「センスの塊」

(吉沢)あとは加藤学園の太田侑希ですね。甲子園の交流試合のときに1年生で出て活躍した太田圭哉さん(駒大)の弟で、1番センター。本当に走攻守のバランスがよくて、広角に打つことができて、センスの塊のよう。

太田侑希(加藤学園)


(結城)春は彼が離脱していながら、加藤学園は優勝したんだよね。

(吉沢)疲労骨折してたんですよね。キャプテンらしいキャプテンで、ぜひ見てほしい選手ですね。

個人的には、日大三島の永野陽大と綱島健太にも注目しています。永野は本職は内野で、今は外野も投手もやってます。今大会は投手としても重要な役割を担うのではないかという期待もあります。

2人ともコンスタントに率を残せるバッティングが良いと思います。ともに右打者でタイプは似ていて、鋭く野手の間を抜く。

(結城)綱島は守備もいいよね。

(吉沢)綱島は1年の夏にセカンドで夏の甲子園に出ています。今はショートです。

永野陽大(日大三島)

落合(掛川西)、藤田(静岡)、今久留主(聖隷)…

(結城)ほかには、掛川西の落合倭吹輝。春先の練習試合解禁日の練習試合を見たときに、木製バットで満塁ホームランを打っていました。元々はキャッチャーをやってたんですが、今はファーストで打撃中心。練習試合解禁後の春だけで15本以上ホームランを打ってます。春の県大会はあまり調子が良くなかったけれど、夏は注目選手ですね。

ー静高にはいますか。

(結城)3年生だと藤田駿斗かな。下級生のころから主力。アベレージの高い打者かと思っていたら、先日の静岡商業との定期戦では故障明けの代打ながら焼津球場で場外ホームランを打っていました。長打力もあります。

聖隷クリストファーのエース今久留主倭も気になりますね。コントロールよくゴロを打たせる。剛速球を投げるより、ああいうタイプの投手が夏は勝つことが多い気がします。4強入りした昨夏のエースで、経験も豊富。

今久留主倭(聖隷クリストファー)

球数制限もポイント

(名倉)ただ、夏は球数制限があるんですよね。

(結城)1週間で500球。日程がつまると…。どのチームもそういう状況に備えて、今は何枚か投手を育てる流れになっています。大エースだけではなかなか勝ち上がるのが難しい時代になっています。

3、4回戦あたりで別のピッチャーに投げさせることができるかどうか。常にきわどい試合をしていると、エースが消耗してしまうので。

ー浜松開誠館の近藤愛斗は?

(吉沢)県内屈指の好投手と言っていいと思います。長身ではないのですが、下半身ががっちりしていて、馬力があるっていう感じのタイプかな。かといって、真っ直ぐだけでもなく、変化球でもストライクが取れて、ウイニングショットもある。

ー左投手はいかがですか。

(吉沢)全体的に左投手は速球派というよりは、バランス良く投げるピッチャーが多い気がします。常葉大菊川の久保綾哉、加藤学園の吉川慧、浜松開誠館の広崎蓮。

日大三島2年生の関野巧真も緩急で勝負し、直球が速く見えるタイプの投手だと思います。秋はベンチ外でしたが、春は1番をつけていました。コントロールよく打たせて取るのが持ち味ですね。

広崎蓮(浜松開誠館)


<座談会参加記者の略歴>
▼吉沢光隆 2022年春から高校野球担当。静岡裾野リトルシニア出身。桐蔭学園高(神奈川県)ー法政大で内野手。
▼結城啓子 2004年夏〜2005年夏、2014年秋〜2022年春担当。現在は運動部長としてデスク業務をこなしながら中学野球からプロまで幅広く野球取材に関わる。
▼名倉正和 2006年夏〜2008年春担当。常葉菊川高のセンバツ優勝をキャップとして取材した。現在はサッカーのジュビロ磐田担当。
▼山本一真 2012年夏〜2014年夏担当。浜松西高野球部、千葉大野球部出身。ポジションは外野手。現在はパリ五輪担当。

静岡新聞運動部の高校野球担当、吉沢光隆記者

静岡新聞社編集局運動部がサッカーや野球、バスケットボール、ラグビー、バレーボールなど、さまざまなスポーツの話題をお届けします。紙面では紹介しきれない選手たちの表情や、ちょっとしたこぼれ話をお楽しみに。最新情報は運動部の公式X(旧Twitter)でチェックを!

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