
「元高校球児がアナウンスしている番組なら、『トロアニ』か『ツンリゼ』」/おすすめアニメ4選

SBSラジオ「TOROアニメーション総研」のイチオシコーナー、人気アニメ評論家の藤津さんが語る『藤津亮太のアニメラボ』。今回は1月のおすすめアニメをご紹介いただきました。※以下語り、藤津亮太さん
痛快系時代劇アクション『REVENGER』
一つ目は『REVENGER』。「忍たま乱太郎」シリーズで知られる藤森雅也監督の作品で、ニトロプラスの虚淵玄さんが脚本・シリーズを構成しています。江戸時代の長崎を舞台に、お金で人の恨みを晴らす集団「利便事屋」のお話で、「リベンジ」を「利便事」と当て字で書いたところがミソです。かつてあった時代劇の『必殺』シリーズを思い出す方もいると思いますが、それぞれの特技を持った凄腕の者たちがお金をもらって悪人を殺すというお話です。
主人公は薩摩の元藩士で刀が強い繰馬雷蔵(くりま・らいぞう)というキャラクターですが、インパクトがあるのは蒔絵師の碓水幽烟(うすい・ゆうえん)です。梅原裕一郎さんが声をあてているキャラクターなんですけど、金箔を顔に貼って窒息死させるという殺し方をするんです。こういうキャラたちが戦っていく話なので面白いですよ。アニメで時代劇、しかも痛快系となると意外に少なくて、珍しい作品なんですよね。
不朽の名作の新生版『TRIGUN STAMPEDE』
二つ目は『TRIGUN STAMPEDE』。90年代の代表的なSFアクション漫画『TRIGUN』を3DCGを使った新たなビジュアルイメージでアニメ化。これはまず単純にビジュアルがかっこいい!から入ってもらえれば。それが最終的には主人公のヴァッシュと、兄弟キャラであるミリオンズ・ナイヴズの2人の確執の話になっていきます。第3話くらいでミリオンズ・ナイヴズが出てきてものすごい能力を見せるので、展開を見守っていただければ。原作を知っている方も、旧アニメを知っている方も楽しめる感じになっています。
人気連載中の熱いスポコンアニメ『もういっぽん!』
三つ目は『もういっぽん!』。『週刊少年チャンピオン』で連載している漫画のアニメ化で、女子柔道の話なんですけど、特に第1話が丁寧に演出されていました。主人公が高校生になってもう一度柔道をやる決意をする過程を映像で見事に語っていました。柔道シーンの見せ方も含め、アニメーション的な魅力がある作品です。ライトノベル原作のコメディ『ツンリゼ』
そして最後が『ツンデレ悪役令嬢リーゼロッテと実況の遠藤くんと解説の小林さん』。放送部の高校生の遠藤君と小林さんが乙女ゲームをしていると、突然ゲームのキャラクターに声が届くようになり、神の声として乙女ゲームのキャラクターに干渉する、それを私達が見ているという二重構造になっています。なぜこれを紹介しようと思ったかというと、遠藤君は実は高校野球をやっていたんです。ところが肩を壊して挫折し放送部にいる。そしてゲーム実況をしている……どこかで聞いたようなプロフィールで(笑)、これはトロアニで取り上げないと面白さが伝わらないんじゃないかと。※『TOROアニメーション総研』の原口アナは元高校球児で、YouTubeでゲーム実況もしています。
遠藤君は野球ができなくなって結構落ち込んでいたんですよね。そんなときに球技大会の出場者を決めることになり、クラスメイトから「野球部やめたからソフトボールに出てもらったら勝てるんじゃないの?」と言われて。かえってつらい気持ちになる。そこに小林さんが、遠藤君は放送部で実況の仕事があるから球技大会は無理だと言って助けてくれるんです。ここから2人の関係が始まり、実況の練習になるからゲーム実況をやったら?となっていきます。
また小林さんが遠藤君を励ますセリフがいいんですよ。「選手やめたって全てが失われたわけじゃないでしょ。コーチになっちゃってマッサージの人になったって、それこそアナウンサーになって実況するのだって遠藤くんが積み重ねてきた努力と経験はきっとどこかでいかせるよ」って言うんです。というわけで、元高校球児がアナウンスしている番組なら、『トロアニ』か『ツンリゼ』ですよ、というお話でした。(2023年1月30日放送)
SBSラジオTOROアニメーション総研(毎週月曜日19:00~20:30 生放送・毎週日曜日15:00~16:30 再放送)全国のアニメ好きが集まるラジオの社交場。ニッポンのアニメ文化・経済をキュレーションするラジオ番組。番組公式X(旧Twitter) もぜひチェックを!
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