キーワードで読み解く、2023年「食のトレンド」
2022年(昨年)のトレンドは「完全食(完全栄養食)」「米粉食」
原口:まずは、2022年の「年間食トレンド大賞」について教えてください。伊藤:『おうちごはん』編集部が選出したのは「完全食(完全栄養食)」と「米粉食」です。完全食は、ひとつの食品にいろいろな栄養素が含まれていて、それだけ食べれば一日に必要な栄養が取れる食事のことです。2021年に完全食のヒット商品があり、世間に広まって手に取る人がすごく増えました。レトルト食品やパスタ、ほかにもいろいろな完全食があります。
原口:カップ麺の完全食もありますよね。油そばのカップ麺に完全食って書いてあって驚きました。油そばと完全食、相反するものじゃないかなと思っていました。
続いて「米粉食」についても教えてください。
伊藤:ウクライナ情勢や円安で小麦粉の値段が上昇し、代替品として米粉が使われるようになりました。小麦粉から米粉に変えても、食べる側としてはそんなに違和感がないことや、お好み焼きとか唐揚げに米粉をつけても特に味が変わらないこともあって、手軽に安く買える米粉が注目された年だったと思います。
2023年(今年)の「食」にまつわるキーワード
原口:WEBメディア『おうちごはん』では、2023年注目したい食にまつわるキーワードを4つ発表していますね。1.ラム酒
伊藤:2022年に「クラフトジン」が日本で流行したので、洋酒がまた来るんじゃないでしょうか。ラムレーズン好きな女性が多かったり、カヌレを作る際にラム酒を入れたり、身近なお酒なんです。ジンのような形で、ご自宅でラム酒を楽しまれる方が増えるんじゃないかなと思います。東京ではラム酒専門のお店もわりとありますよ。2.ベトナムコーヒー
伊藤:アメリカ西海岸あたりでもベトナムコーヒー専門店ができたり、食の雑誌で取り上げられたりしています。日本はアジアのものを取り入れる傾向が強いので、2019年ごろに韓国から日本に入ってきた「ダルゴナコーヒー」のように、ベトナムコーヒーも来るんじゃないかなと思っています。原口:ベトナムコーヒーとは、どんなものですか?
伊藤:牛乳や豆乳などを入れて飲むコーヒーではなく、コンデンスミルク(練乳)を入れた高カロリーなコーヒーです。
原口:スイーツのようなものでしょうか。
伊藤:そうですね。そういった感覚で楽しむ人も。甘いのが苦手な人もいますが、コンデンスミルクをたっぷり使ったコーヒーは癖になるという女性もたくさんいらっしゃいます。
原口:タピオカのように、ベトナムコーヒーも人気が出てくるんじゃないかなと思います。
3.ムードフード
伊藤:「ムードフード」は聞きなれないかもしれないですね。食事によって、気分とか気持ちを変えていくようなイメージのものです。以前から、ストレスを緩和するといわれるGABA(ギャバ)が入ったチョコレートがあります。昨年は「飲むと質の良い睡眠が取れる」と話題になった人気商品もありました。
原口:あの乳酸菌飲料ですね。
伊藤:これまでムードフードといえばチョコレートや飲料でしたが、お菓子など口に入れるものが新しい形で出てくるんじゃないかなということで取り上げました。
4.家庭でフードロス対策
伊藤:フードロス対策は、SDGsのひとつでもあります。物価高騰によって、消費者の中に「食材を無駄にできない」という気持ちが高まってきました。野菜の切れ端までしっかり使う人や、食材とレシピがセットになった「ミールキット」を使う人が増えたという印象があります。買い物の仕方も、スーパーに行く前に作るものを決めず、特売品を見て買おうという風に変わってきたかなと思います。原口:2022年は野菜の値段などが上がっていましたし、節約やフードロス削減の意識が高まっているんですね。
伊藤:『おうちごはん』でもフードロスに関する記事は人気が高いんです。みなさんの意識が変わってきているのを実感しています。「野菜のここ、捨てちゃっていいんだっけ?」って気になりますよね。
原口:キャベツでいうと、芯だけは捨てちゃいます。なかなか自分の知識だけでは上手に使えないですよね。もっと詳しく食の情報を知りたい方は、何をチェックしたらよいですか?
伊藤:『おうちごはん』のWEBメディアで紹介しています。Instagramでも食にまつわる情報を発信してますし、ベトナムコーヒーの楽しみ方も紹介しています。
原口:食に関する情報は見ていて楽しいし、飽きないですよね。ありがとうございました。
今回お話をうかがったのは……伊藤慈子さん
食卓アレンジメディア『おうちごはん』のプロジェクトマネージャー。おいしいごはんはもちろん、日本中にあるお酒を求めて旅行したり、お取り寄せするのが大好物。ちなみに、この世で一番好きな食べ物はエビフライ(と、ちくわぶ)。
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