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意外と知らない「頭痛」の新常識を医師が解説!頭痛薬を飲んでもいい頻度は?

日常生活にも支障をきたす頭痛……

頭痛は、だれもが一度は経験したことがある症状ですが、なかには、慢性的な頭痛に悩んでいる人もいるかと思います。今回は、そんな「頭痛」について、静岡赤十字病院・脳神経内科の今井昇先生にお話をうかがいます。
※10月21日にSBSラジオIPPOで放送したものを編集しています。
頭痛
牧野アナ:頭痛は、どんなときになりやすいのか、なりやすい人というのはいるのでしょうか?

今井先生:頭痛は寝不足やストレスがあると、どなたでも起こりやすいですが、なりやすい体質という人はいます。特に片頭痛のある人は、ちょっとしたストレスや寝不足で頭痛が悪化することが分かっています。

牧野アナ:私の周りにも片頭痛の人は多いです。いろんな痛みの種類があると思いますが、片頭痛はどのような痛みなんですか?

今井先生:片頭痛は、「片側の痛み」という名ですけど、実際には重たいような痛みや両側の痛みになることもあります。痛みのレベルは中等度から重度、寝込んでしまったり、ときには吐いてしまうことも。普段気にならない音や光がとても不愉快に感じる、といったことが特徴といわれています。

頭痛のなかで最も多い、緊張型頭痛

牧野アナ:そのほか主な頭痛というと、どんなものがありますか?

今井先生:頭痛のなかで最も多いのは緊張型頭痛で、頭のまわりや肩・首が凝ってきて痛くなるようなイメージの頭痛になります。ただこの頭痛は、痛み自体は軽めで、病院にかかるまでもないことが多いです。

牧野アナ:これは名前の通り、緊張した場面で起こりやすいんですか?

今井先生:もともとはストレスや肩の凝り、筋肉の緊張が原因だといわれていました。しかし、いろいろな原因があるようなので、今は片頭痛とは異なる軽い頭痛が緊張型片頭痛と考えられています。

牧野アナ:静岡赤十字病院では、頭痛で受診される人はどのくらいいますか?

今井先生:年間150~200人ぐらいの初診患者さんがいます。

牧野アナ:その人数は、多いですよね。

今井先生:脳神経内科の外来で、頭痛は最も多い訴えのひとつになっています。

それぞれの頭痛に特化した外来が

牧野アナ:また、「薬剤の使用過多による頭痛外来」というのもあるそうですね。

今井先生:そうなんです、静岡赤十字病院には普通の頭痛外来ではなく、もう少し特化した「片頭痛発作の発症抑制外来」や「群発頭痛外来」、そして「薬剤の使用過多による頭痛外来」があります。

牧野アナ:一番多い症状はどういったものですか?

今井先生:やはり、片頭痛の患者が圧倒的に多いです。私のところに来る場合にはかなり重度な人で、嘔いてしまう、寝込んでしまって普段の生活にかなり困っている人が多いです。

牧野アナ:そんななかで、先ほどお話くださった薬剤を使い過ぎることによって頭痛がでてる人もいるんですか?

今井先生:そうですね。普段、頭痛が起きるたびに市販の頭痛薬を飲んでみて、それが結局、使い過ぎになってしまって……という人がいらっしゃいます。

牧野アナ:そういうことがあるので、頭痛が起きたときに薬を飲んだ方がいいのかどうか迷う人が多いと思います。薬を飲む判断基準はありますか?

今井先生:薬を飲む回数が大事になってきますね。週1~2回のペースであれば飲みすぎにはならないのですが、週3~4回になれば、飲みすぎになってきます。もし、たくさん飲まないと頭痛がよくならない人は、医療機関を受診して相談した方がいいと思います。

頭痛が起こりやすい季節

牧野アナ:あとは、頭痛が起こりやすい季節はありますか?

今井先生:梅雨のときや、雨が降る前がよくないので、台風シーズンなんかはよくないですね。

牧野アナ:これは気圧の変化が影響するのでしょうか?

​今井先生:そういうふうに言われています。人によっては台風が遠くで発生したら頭が痛くなる人もいます。

重大な病気につながる? 気をつけるべき頭痛は

牧野アナ:天気予報以上に精度の高い人もいますからね。そして気をつけて欲しいのが、重大な疾患につながる頭痛です。「こういう頭痛が来たら気をつけて!」という症状はありますか?

今井先生:普段頭痛がある人が、今までに経験をしたことのないような頭痛、突然痛くなるような頭痛ですと、クモ膜下出血などの重篤な病気の恐れがあります。そうしたときは、すぐに救急外来を受診して相談されたほうが安全です。救急外来でも、救急の担当医か脳神経外科医、脳神経内科医が担当します。

牧野アナ:3年に一回MRIを受けているリスナーさんが、受診の際に「脳も体重管理が大事ですよ」と言われたそうです。これはどういう意味なんでしょうか?

今井先生:おそらく頭痛というより、体重が多いと血圧や血糖が上がって、ゆくゆくは脳卒中になりやすいので注意してください、という意味ではないかと思います。

牧野アナ:今井先生、今日はありがとうございました!

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免責事項
今回お話をうかがったのは……今井昇さん
日本頭痛学会理事・専門医・指導医、国際頭痛学会認定Headache Masterで、2021年11月19日から21日までグランシップで開催された第49回日本頭痛学会総会の会長。2002年に「片頭痛、群発頭痛外来」を開設。その後も頭痛疾患に特化した数々の外来を開設。頭痛医療連携にも積極的に取り組んでいて、県内の様々な医療機関から難治性頭痛の紹介を受けている。静岡赤十字病院・脳神経内科部長

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