「今いらっしゃる既存のお客様にずっと醤油を届け続ける」掛川・栄醤油醸造「木桶の引っ越し」で100年の伝統を後世に伝える職人の執念【現場から、】

静岡県掛川市の醤油醸造の老舗が社運をかけた一大プロジェクトに乗り出しています。

100年以上使い続けた巨大な「木桶」の引っ越し。その裏には、途絶えゆく技術を継承してでも未来へ生き残るという、職人の執念がありました。

■人気ラーメン店の味を支える「栄醤油」

透き通った地鶏だしの醤油スープを使ったラーメン。

掛川市の「麺屋さすけ」は、昼間は行列ができるほどの人気店です。看板メニューの透き通ったスープ、その味の決め手は「醤油」にあります。

<麺屋さすけ 佐々木優介店主>
「こちら栄醤油さんの醤油をブレンドしたかえしです。旨味の厚みが食べ比べてみると一目瞭然というか、今のところ欠かせない」

醤油を造るのは、同じ掛川市内にある1795年創業の老舗「栄醤油醸造」です。

■100年使い続けた32本の巨大木桶を移動

歴史ある醤油蔵で、社運をかけた木桶の「引っ越し」が始まりました。蔵の建て替えに合わせ、100年以上使い続けてきた32本もの巨大な大桶を、新しい蔵へと据え直します。

<栄醤油醸造 深谷允八代目>
「今ここが100年以上経った木桶が並んでまして、それを(新しい蔵へ)移動しています」

100年が経ち、長年の醤油がたっぷりと染み込んだ巨大な木桶。少しの歪みも出さずに移動させるのは至難の業です。それでも「木桶の引っ越し」にこだわるのには、理由があります。

■「栄醤油の味、香り、色は栄醤油の蔵でしか作れない」

<栄醤油醸造 深谷允八代目>
「木の桶にうち独自の菌がすみついているんです。醤油の味、香り、色を作ってくれているのが菌なんですね。栄醤油の味、香り、色は栄醤油の蔵でしか作れないっていうのが強みです」

しかし今、国内で昔ながらの木桶で造られる醤油は1%ほど。醸造業界では、香川県の小豆島を中心に「木桶職人復活プロジェクト」が発足するなど、全国で技術を守る動きが広がっています。

■技術を繋ぐ職人の挑戦

静岡県内でも技術の継承に挑む職人がいます。藤枝市にある「青島桶店」の三代目、青島和人さんです。

<青島桶店 青島和人三代目>
「大桶をつくっている方が日本に1軒しかない桶屋さんが大阪にあるということを目にしまして」

国内唯一の大桶職人の元へ飛び込み、青島さんは大桶造りの技術を学びました。大桶をつくることができるまで約5年はかかると言います。

■「栄醤油のを後世に残していく」

<青島桶店 青島和人三代目>
「青島桶店が残っていくのが理想ですけど、その需要と供給のバランスを上手に取って長く続く状況が続けばいいなと思っています」

今回の栄醤油のプロジェクトでは、青島さんの「新桶」も迎え入れられました。

<栄醤油醸造 深谷允八代目>
「木桶仕込み醤油ないし栄醤油のを後世に残していく、今いらっしゃる既存のお客様にずっと醤油を届け続ける事を一番に念頭に入れてます」

職人が繋いだ技術が、これからも、掛け替えのない「ふるさとの味」を守り続けます。

「あしたを“ちょっと”幸せに ヒントはきょうのニュースから」をコンセプトに、静岡県内でその日起きた出来事を詳しく、わかりやすく、そして、丁寧にお伝えするニュース番組です。月〜金18:15OA

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