もはや“運、不運”の次元の話か…「100%防ぐのは難しい」車の「飛び石」被害が春先に増えるワケ 保険の補償対象も“事故認定”にとてつもないハードルが

高速道路を走行中、突然「ビシッ」という大きな音。車を降りて確認すると、フロントガラスに丸い傷が…。こんな経験をしたことはないでしょうか。実は春先の季節、いわゆる「飛び石」の被害が増える時期だといわれます。そのワケとは。

「車線変更してきたと思ったら『ピン』と飛んできた」

東名高速に新東名、国道1号線と、まさに“日本の大動脈”が通る浜松市。富士屋ガラス店浜松店では、いまの季節、修理の依頼が相次いでいるといいます。

「東名を走っていた時です。前方にワゴン車がすっと車線変更してきたと思ったら、『ピン』と飛んできた。これはどうしようもないなぁと」

修理で店を訪れた男性は苦笑いしながら、当時の状況を話してくれました。母親の見舞いのため、東名高速を走っていた時に飛び石にあったといいます。男性が被害に遭うのは、これで実に3回目。いずれも東名での出来事でした。「もうこりごりだ」と、この日も走行車線を、法定速度を守って走っていましたが、それでも防ぐことができませんでした。

「うちの店だと、1か月に100台ぐらいの依頼があります」

富士屋ガラス店浜松店の牧田振多郎店長によると、店には1年を通じてひっきりになしに修理を求めて、ドライバーが訪れるといいます。その数も年々増えていると感じるそうです。では、そもそも、なぜ、飛び石は起きるのでしょうか。

スタッドレスタイヤの“罠”

JAF静岡支部の菊地一啓さんによると、飛び石とは「走行中に、前方の車や周りの車が巻き上げた小石や異物が車体やフロントガラスに当たる」現象のこと。その原因となるのが、路上に落ちている小石です。高速道路や幹線道路など、二車線以上の道の場合、車線と車線の間に小石が溜まりやすいことから、それを誤って飛ばしてしまうケースも多いといいます。

さらに、高速道路や自動車専用道では、車の速度が上がるため、飛び石の勢いも強くなり、結果として、フロントガラスに当たった際、ひび割れや破損につながりやすいのです。

タイヤの種類によっても違いがあるといいます。

「ゴムが硬く、溝の少ないノーマルタイヤに比べ、スタッドレスタイヤは雪道や氷上での走行性能を高めるため、構造的に溝が細かく切ってあり、さらにゴムも柔らかいため、小石が挟まりやすく、これが何らかのきっかけで外れることで飛び石につながるケースが多い」(菊地さん)とのこと。このため、スタッドレスタイヤを履く冬から春にかけて、飛び石が増えるというわけです。

あくまで「応急処置」です

では、飛び石を受けてしまった場合、どうすればいいのでしょうか。とにかく、一刻も早く修理工場やディーラーなど、専門業者にみてもらうことが重要です。「傷を放置しておくと、ひびが広がって修理では対応できなくなるケースもある」(牧田店長)からです。

多くが「リペア」と呼ばれる補修で対処します。傷の全体が500円玉サイズ内で収まるかが、ひとつの基準。傷の部分に入った空気を抜き、硬化剤を流し込んで破損箇所を目立たなくします。費用は、店によってまちまちですが、だいたい1万円台から2万円台が相場だといわれています。

傷ひとつとっても、実にさまざまです。牛の目の形に似ている「ブルズアイ」といった比較的リペアできれいになる傾向のものもあれば、星形にひびが伸びている「スターブレイク」や複雑な割れ方が特徴的な「コンビネーションブレイク」など、大至急の作業が必要なものもあります。また、フロントガラスは、中央部分は比較的強度がありますが、端ほど飛び石に弱い構造だといいます。

さらに、このリペアはあくまで「応急処置」。牧田店長によると、「ガラスは割れ物なので、リペアを行ったからといってもひびが伸びないというわけではない」というのです。

もし、ガラスの交換となると、費用は補修のおよそ10倍。かなりの金銭的負担を覚悟しなければいけません。「最近のフロントガラスはドライブレコーダーをはじめ、カーナビなどのアンテナが取り付けてあるものが多いので、その脱着作業も一苦労」(修理業者)だといいます。

事故認定が“ほぼ不可能”なワケ

いわば「もらい事故」のような飛び石被害。その多くが車両保険の補償対象となりますが、飛び石を「事故」と認定してもらうには、とてつもないハードルがあるのです。

警察によると、必要な証拠は「被害に遭った車」「石を飛ばした車」そして、「飛んできた石」の3点です。

ただ、飛び石の原因のほとんどが小石のため、発見することはほぼ不可能と言わざるを得ません。そのため、“被害者”にも関わらず、自分の保険で支払わざるを得ないのが実情です。

こうなると、是が非でも、飛び石だけは避けたいところですが、関係者は異口同音に「どんな対策をとったとしても被害を100%防ぐのは難しい」というのです。ここまでくると、もはや「運がいいか、悪いか」の世界ともいえます。

「被害者」そして「加害車」にならないためには

それでも、と語るのはJAFの菊地さん。「高速道路などでは車間距離をしっかり取り、さらに適切なスピードで運転することでリスクが軽減できる」といいます。警察は「走行が難しい場合は路肩に停めて、小さな傷の場合でもためらわずに通報してほしい」としています。

最後にもうひとつ。雪の心配がなくなるこれからの季節、なるべく早くスタッドレスタイヤからノーマルタイヤに履き替えたり、タイヤの溝に挟まっている小石を取り除いたり、“加害車”にならないようにすることも、ひとつの「ドライバーズエチケット」なのかもしれません。

「あしたを“ちょっと”幸せに ヒントはきょうのニュースから」をコンセプトに、静岡県内でその日起きた出来事を詳しく、わかりやすく、そして、丁寧にお伝えするニュース番組です。月〜金18:15OA

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