「制服か私服か」生徒に判断委ねる“特別な2週間” 厳格な校則から一転、富士宮北高の挑戦 【現場から、】

制服で登校するという当たり前の学校生活に、静岡県富士宮市の高校が新たな挑戦をしています。「決まり」を外し、生徒に判断をゆだねる特別な2週間。「服装を選ぶ」という小さな選択に生徒たちが向き合っています。

「暖かさ重視」「部活の服」…それぞれの選択

「ここを流したくて。うまくできないから一番難しい」

高校2年生の鈴木彩礼さん。登校前の自宅での様子です。髪を整え、次に選んだのは、制服ではありません。

<鈴木彩礼さん>
「暖かさ重視で、パーカーにカーディガンを合わせて、下も普段はスカートなので裏起毛のスウェットを選んで暖かさ重視で選びました」

12月上旬から富士宮北高校で始まった期間限定の取り組み「マイコーデウィーク」。この期間、生徒は制服か私服かを自分で選んで登校します。

校内では、「冬なので暖かい格好ができる」「もこもこの服を着て暖かくしようと思いました」と、季節に合わせた服装を選ぶ生徒の姿が見られました。

生徒自身がTPOを考える

<田島かのん記者>
「校内では服装について書かれた校則が掲示されています。項目はずらりと並んでいて、スカートは膝頭下から膝頭中心までと細かく書かれています」

厳格な校則を定めてきたこの学校が2025年から始めた新しい取り組み。目的は、生徒自身がTPO(時・場所・場合)を考え、自分にふさわしい服装を選ぶという「主体性」を育むことです。

<制服を選んだ女子生徒>
「高校生で今しか制服が着れないので制服を選びました。富士宮でセーターが白いのが宮北だけなのでこれがかわいいと思って」

<部活着の男子生徒>
「これは自分の部活(ソフトテニス部)の服です。登校前に朝練があるので、この格好だと楽」

<私服の男子生徒>
「沖縄で買って着た服で、スタジャン(スタジアムジャンパー)で個性を表した」

校内では、それぞれが自分なりの理由で服装を選んでいました。

「8割が制服」自由だからこその悩みも

<生徒課の教諭>
「あくまでも今回の趣旨は自ら考える、自ら責任を持つ。『なんでそういう服装できたの』とか『ちょっと色派手すぎない?』『先生が古いんだよ』なんて言われながら。そういう会話そのものがこの事業の趣旨」

一方で、自由だからこそ難しい一面も。初日、約8割の生徒が制服を選びました。

<制服を選んだ男子生徒>
「初日なのでみんなの様子を伺いたいと思って(制服で来た)」

<グループの男子生徒>
Q. 昨日の夜に連絡を取り合った?
「しました。『俺は私服だよ』って返信したらみんな無視、様子見してました」

生徒からは「何を着ればいいか分からない」という声も寄せられたといいます。

「受動的」からの脱却へ

<県立富士宮北高校 小谷和之校長>
「いまの子どもたち、学校という空間は受動な場面が多いかなと思うので、富士宮の生徒たちにも自分たちのことを決めていくということを、目指してほしい」

服装は社会と向き合う入り口のひとつ。現場では「選択する自由」をきっかけに、自ら考える力を育む生徒たちの姿がありました。

期間が進むにつれて生徒自身の選択にも変化がありました。先週はブレザーを着た生徒が多い印象ですが、16日はクラスのほとんどが私服を選択していました。

自ら考え責任を持つ」。この取り組みを学校側も継続して行い、生徒たちの変化を見ていきたいとしています。

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