
<杉本真子アナウンサー>
「厳しい夏の日差しがとっても柔らかな光に変わりました。涼しげな感じがします。実はこれ、静岡生まれの日傘なんです」
最大の特徴はしずおかの伝統技術が詰まっているんです。生み出したのは静岡市の藤田屋、1919年から続く、雨具の専門店です。
<杉本アナウンサー>
「柄の部分は木でできているんですね。持ってみるとすごく手に馴染みますよ」
<藤田屋 藤田仁子さん>
「静岡の伝統工芸品で挽き物というのがあって」
滑らかな曲線のサクラやヒノキの柄は挽き物の技術です。静岡市では江戸時代から受け継がれています。回転させた木材に刃を当てながら削る。繊細な力加減が求められ、柄の中にある玉のような細工も刃を巧みに動かして作りました。
<白鳥工房 白鳥博之さん>
「刃物を当てた時に堅い、柔らかいが手に伝わってきて。木によって刃のあて方、角度を変えて。滑らかに木の特性を活かした形で削っていきたい」
<杉本アナウンサー>
「華やか、明るいですよ。見上げると華やかで気分があがりますね」
傘の生地も静岡生まれ、浴衣に使われる優しい肌触りの素材です。さらに、浜松市で大正の時代から始まった注染染めの技術で染めました。何層にも重ねた生地の上に染料をかけますが、「一気に色をつける」のが特徴です。
<二橋染工場 二橋智浩さん>
「レバーを引くことによって、一気に空気を吸い込むことで上から下まで、染料が一気に吸われて染まれていく」
表と裏、むらなく染まるだけでなく、別の大きなメリットがあります。
<二橋さん>
「プリントだと生地にのってしまうので、糸の隙間がなくなってしまう。注染染めだと糸を染めているので、遮るものがないので、そのままの風が通っていく」
<藤田さん>
「UVカットや遮光率では(最新の商品には)全然勝てないが、持っていて楽しくなる意味で作っている」
藤田さんの店のまわりでは戦後、傘づくりが盛んに行われてました。
<藤田さん>
「ここの通りに製造した和傘を干していた」
<杉本アナウンサー>
「これが和傘。本当ですね、和傘が干してあって」
職人が多くいましたが、海外の安い傘に押されてしまいました。
<藤田さん>
「だんだん職人が絶えていってしまって、誰も作らなくなってしまうのはもったいない。なんとか伝承していきたい」
今回の開発にあたり、藤田さんは県外の職人のもとで技術を身に付けました。
<藤田さん>
「昔から使っていた型。たぶん昭和30年代だと思います」
藤田さんはこの日傘を通して静岡の伝統技術を伝えていきたいと考えています。
<藤田さん>
「むしろ若い方にも傘をさして、良さを分かって頂き、伝統工芸に携わる方を増えてもらえればいいかなと」
この日傘は両面きれいに染め上がるので、傘をさして上をのぞいてもきれいなのが特徴です。価格は2万8600円から3万6300円で、通販でも取り扱っています。