
7月20日に投開票を迎える参院選の主な争点について、シリーズでお伝えしています。3回目は「浜岡原発の再稼働問題について」です。
<地球環境産業技術研究機構 秋元圭吾主席研究員>
「(原発は)再稼働が増えてきており、14機が再稼働している。設置変更許可が3基、審査中が9基。安全が最優先であるのは間違いないわけでございますが、電力需要が増えてくる可能性がある」
7月9日、静岡県御前崎市で開かれた原発がある街の地域振興を考えるワークショップです。
<柳沢重夫 元御前崎市長>
「発電所の建設により、街の財政力は大きく変わりました。国からの交付金や税収の増加で、財政の豊かな街になりました」
御前崎市は浜岡原発の誘致により市の財源が、静岡県内でもトップクラスに。しかし、東日本大震災の影響で全ての原子炉の停止を余儀なくされ豊富な“原発マネー”に頼ることはできなくなりました。
現在、廃炉が決まった1、2号機は解体作業が進む一方、3、4号機は再稼働に向けて、原子力規制委員会の審査を受けています。
<中部電力 林欣吾社長>
「最終的にこの新基準への適合性確認をいただけるように全力で取り組む」
一方、再稼働に向けて課題となっているのが、避難計画についてです。福島第一原発事故を受け、御前崎市は最悪の事態を想定した避難計画を策定しました。
<浜松総局 伊豆川洋輔記者>
「浜岡原発からほど近い池新田地域です。この地域に住む人たちは、地震や津波などに、原発事故が加わった複合災害があった場合、ここから200キロ以上離れた塩尻市に避難する計画です」
浜岡原発が「複合災害」に陥った場合、池新田地区に住む7933人の多くは、長野県塩尻市に避難することになりました。
しかし、政府は7月1日、南海トラフの最新の被害想定に基づき震度6弱以上の激しい揺れのおそれがある「防災対策推進地域」にこの塩尻市を追加したのです。
<御前崎市 下村勝市長>
「御前崎市、相手側の自治体、静岡県、長野県その4者が調整しながら進めていく必要がある。どのルートを通って避難するのか、より現実的にとらえていく必要があり、そういった部分を国と相談しながら進めていく必要がある」
避難先は原則として「防災対策推進地域」を避けなければならず、見直しが必要になりました。住民からは、そもそも避難自体ができるのか、不安の声が聞かれます。
<池新田地区の住民>
「バスでみんなで行くならペットも乗せて行けない。不安の方が多いし、ピンとこない」
Q.現実的に避難を考えたことは
「あんまりないです。そこまで行きたくないよね。行かなければいけなくなったら行くしかない」
14年にわたって止まったままの浜岡原発。地方自治体だけでは解決できない多くの課題は未だ山積しています。
原発再稼働の動きが加速する中で迎えた参議院選挙。静岡選挙区に立候補している7人はどのように考えているのでしょうか。
まず、国民民主党の現職・榛葉賀津也さんは「安価で安定的な電力供給に原発再稼働は不可欠。原発も再エネもフル活用し日本の産業と暮らしを支えるのは国の責務だ」としています。
無所属の新人・村上猛さんは「原発は廃止。再生可能エネルギーに全力集中した方が新たな企業を生み出し技術発展が望める」と話します。
諸派・NHK党の新人、福原志瑠美さんは「原発は廃止。自然エネルギーを基盤とした持続可能な循環型経済を目指す」と述べています。
参政党の新人・松下友樹さんは「エネルギー価格の高騰を抑えるため原発は短期的に再稼働。中長期的には廃炉に向かい、再エネの研究開発に積極的に投資をする」としています。
共産党の新人・鈴木千佳さんは「原発は廃止。福島事故や能登半島地震の経験から放射能災害はコントロールできず避難計画も役に立たないことは明らか」と話します。
自民党の現職・牧野京夫さんは「再稼働には科学的見地から安全性と立地の検証、周辺自治体などの同意が必要。現時点で浜岡原発の再稼働は何とも言いようがない」と述べています。
諸派・無所属連合の新人、山口香苗さんは「再稼働は反対。日本全体で原発からの脱却を希望する。日本の科学技術があれば、フリーエネルギーの獲得が可能だと思う」としています。