
国の文化審議会は、静岡市の「浮月楼庭園」を国の「登録記念物」に登録し、静岡県伊豆の国市の「韮山城跡」を国の史跡に指定するよう文部科学大臣に答申しました。歴史的価値の普及や観光客の増加に期待がかかります。
<静岡県政担当 植田麻瑚記者>
「JR静岡駅から徒歩3分の場所にある浮月楼です。街中にありながら、一歩門をくぐると、東海の名園と謳われた別世界が広がっています」
静岡市葵区紺屋町にある料亭「浮月楼」は、最後の将軍・徳川慶喜が大政奉還後の1869年(明治2)から20年余りを過ごした屋敷跡です。慶喜が京都から呼び寄せた庭師・小川治兵衛が築いたのがこの庭園。現在はお祝いの席や接待など、さまざまな場面で利用されています。
<浮月楼 久保田耕平社長>
「季節によって見どころが変わるのが日本庭園の良さだと思う。ちょうど、今の季節は『半夏生』という花があるが、大正天皇の奥様・貞明皇后がここに来られた時にお手植えされたと伝えられている」
1940年の静岡大火や1945年の静岡大空襲などに遭いながらも継承されてきた庭園は、造園文化の発展に寄与した意義深い事例であるとして国の文化審議会は6月20日、国の「登録記念物」に登録するよう文部科学省に答申しました。
<久保田社長>
「歴史のバックストーリーや自然を愛でていただいたり、1つのスポットとしていろいろな方にお越しいただけることを願っている」
正式に登録されれば、静岡市内で初めての登録記念物となり、観光客の増加も期待されます。
<東部総局 金原一隆記者>
「韮山高校のすぐ東側にある小高い山に、戦国時代の城郭跡があります。戦国武将・北条早雲が築いた『韮山城』の跡です」
静岡県伊豆の国市韮山にある「韮山城」は、戦国時代の武将・北条早雲が15世紀末ころ、「伊豆国」を治める拠点として築城しました。国の文化審議会は「韮山城跡」などを「国の史跡」として指定するよう文部科学大臣に答申しました。
韮山城の本丸があった「龍城山」、敵を寄せ付けない険しい地形の「天ヶ岳」。さらに豊臣秀吉軍が韮山城を攻めた際に、周囲の山に築いた陣地「付城跡」を含む、広さ約54万平方メートルの広大な城跡を保護するのが望ましいと判断されました。
<伊豆の国市文化財課 島田章広学芸員>
「市民の方々にお城の状況というものをよく知ってもらいながら登れるように、そして価値が広く分かりやすいような整備を心がけていくようにしていきたいと思っている」