リニアの水問題議論“終結”も…静岡市長「ここまでかかったのはJR東海の対応姿勢が原因のひとつ」愛知県知事は「一歩前進」と評価

リニア工事に関する議論がひとつの節目を迎えました。6月3日に開かれた静岡県の専門部会で10年以上にわたり続いてきた水資源に関する議論がすべて終結しました。早期開業を求める沿線自治体のトップからは、「一歩前進」と評価する声があがっています。

<静岡県 平木省副知事>
「水資源に関しての専門部会としての対話が終了したというのは、これは非常に大きなこと。1つ1つ、対話の終了に向けて歩んでいるということ」

3日開かれた、リニア工事に伴う影響や対策を議論する静岡県の専門部会。新たに2つの対話項目が了承され、静岡県がJR東海に示していた水資源への影響に対する6つの対話項目がすべて完了しました。

10年以上にわたり議論が続けられた大井川の水問題。JR東海は2013年、トンネル工事で何も対策をしなかった場合、大井川の水量が毎秒2トン減少すると試算しました。

<静岡県 川勝平太前知事>
「工事によってメリットもない。すべてデメリットしかない。この工事を静岡県下ですることに対し断固猛省を求めたい。考え直せということ」

川勝前知事は、対策を明示しないJR東海に猛反発し、水の「全量戻し」を求めました。その後、JR東海は田代ダムの取水を抑えて大井川の水量を確保する、いわゆる「田代ダム案」を提案するなど、国も巻き込みながら協議に長い時間を費やしてきました。

水の議論に終止符が打たれたことについて沿線自治体のトップは「一歩前進」と評価します。

<愛知県 大村秀章知事>
「次なる課題も専門家に科学的な知見をもって分析・検証して解決策を作っていただいて、着実に前進をしていただきたいと思っている」

愛知県春日井市では3日、市街地の下を通る区間で、開業に向け、本格的なトンネルの掘削工事が始まりました。

<大村知事>
「特に東京~名古屋間を1日も早い早期開業に持っていって、多くの皆さんに活用していただき、それを大阪まで1日も早くつなげていく。その必要性を工事現場を拝見して実感した」

また、副知事時代にリニア問題を担当していた静岡市の難波喬司市長は関係者に敬意を述べたうえで、「対話がここまで長くかかったのは当初、環境リスクに関するJR東海の対応姿勢に問題があったことが原因の1つと認識しています。今後もJR東海には真摯に取り組んでくださるようお願い申し上げます」などとコメントしています。

残る対話項目は、生態系への影響や発生土置き場についてなど18項目。未着手の項目はなくなったものの、静岡工区着工の時期はいまだ見通せず、今後も議論が続けられます。

「あしたを“ちょっと”幸せに ヒントはきょうのニュースから」をコンセプトに、静岡県内でその日起きた出来事を詳しく、わかりやすく、そして、丁寧にお伝えするニュース番組です。月〜金18:15OA

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