
加茂荘花鳥園は1957年、加茂花菖蒲園として開園した。庭園植栽向けアジサイの品種改良でも評価が高く、「加茂セレクション」と銘打った多彩なオリジナル品種がそろう。庄屋屋敷は京都アニメーションの人気アニメ「氷菓」の舞台にもなり、市内外のファンが訪れる観光スポットだが、新型コロナウイルス感染拡大以降の来園者数の減少や気候変動に伴う植物管理の複雑化から経営難に陥り、運営会社は破産手続きが進んでいる。
運営会社が経営していた2花鳥園のうち、富士花鳥園(富士宮市根原)は札幌市の「サクセス観光」に譲渡された後、同社と地元との間で結んだ土地の賃貸借契約が解除されて再開は難しい情勢。一方の加茂荘花鳥園は、都内の精神科医で創業家の加茂園主が個人事業主として引き継ぎ、運営の方策を探っている。
加茂園主は「貴重な資産があり続けたい気持ちは強いが、これだけ広いと手が回りにくい。植物をきれいに維持するのは相当大変で、人手も必要」と話す。持続的な開園に向けては、資金面に加えて、気候変動の影響を心配する。多くの来園者が見込めるゴールデンウイークや「母の日」に開花時期が合わなくなったほか、亜熱帯化でハナショウブの生育が難しくなるなどの懸念があるという。
開園は6月22日まで。加茂荘花鳥園によると、園内のハナショウブは現在、二分咲き程度で、早咲き品種から順次、開花する見込み。アジサイも5月下旬には見頃を迎えそう。