掛川の加茂荘花鳥園 開花に合わせ営業再開 今季で「中締め」、来季継続は不透明

早咲きの一部が開花したハナショウブ=11日午前、掛川市原里の加茂荘菖蒲園 資金繰りの悪化などを理由に2024年12月から休園していた掛川市原里の加茂荘花鳥園が11日までに、営業を再開した。江戸中期の庄屋屋敷とアジサイを中心とした展示温室、広大なハナショウブ園が人気を博してきたが「いったん『中締め』にして今後を考えたい」(加茂登志子園主)と、来季以降の継続は不透明。閉園の可能性も残る中、園内のハナショウブはつぼみが膨らみ、屋内外のアジサイも色づき始めている。
 加茂荘花鳥園は1957年、加茂花菖蒲園として開園した。庭園植栽向けアジサイの品種改良でも評価が高く、「加茂セレクション」と銘打った多彩なオリジナル品種がそろう。庄屋屋敷は京都アニメーションの人気アニメ「氷菓」の舞台にもなり、市内外のファンが訪れる観光スポットだが、新型コロナウイルス感染拡大以降の来園者数の減少や気候変動に伴う植物管理の複雑化から経営難に陥り、運営会社は破産手続きが進んでいる。
 運営会社が経営していた2花鳥園のうち、富士花鳥園(富士宮市根原)は札幌市の「サクセス観光」に譲渡された後、同社と地元との間で結んだ土地の賃貸借契約が解除されて再開は難しい情勢。一方の加茂荘花鳥園は、都内の精神科医で創業家の加茂園主が個人事業主として引き継ぎ、運営の方策を探っている。
 加茂園主は「貴重な資産があり続けたい気持ちは強いが、これだけ広いと手が回りにくい。植物をきれいに維持するのは相当大変で、人手も必要」と話す。持続的な開園に向けては、資金面に加えて、気候変動の影響を心配する。多くの来園者が見込めるゴールデンウイークや「母の日」に開花時期が合わなくなったほか、亜熱帯化でハナショウブの生育が難しくなるなどの懸念があるという。
 開園は6月22日まで。加茂荘花鳥園によると、園内のハナショウブは現在、二分咲き程度で、早咲き品種から順次、開花する見込み。アジサイも5月下旬には見頃を迎えそう。

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