
ケリのひなはふ化してすぐに歩くことができる。好奇心あふれるひなは、田んぼを自由にトコトコ歩き回り、地上の昆虫やミミズなどの餌を探し、親鳥はひなを見渡せる場所で目を光らせて見守っていた。親鳥が時折、合図するように鳴いてひなを呼び寄せ、おなかの下に誘導する様子も見られた。まだ産毛のひなを温めて休憩させたり、周囲に危険が迫ったりした際の行動とみられる。
繁殖期のケリは普段に増して気性が激しい。ひなの近くにカラスなどの外敵はもちろん、散歩の人が近づいても激しく鳴きながら空中に飛び立ち、急降下して相手を威嚇する。羽に傷があるかのようにだらんと下げる「擬傷(ぎしょう)行動」を見せ、外敵の注意を自分に引きつけてひなを守ることもある。全長は約36センチで雌雄同色。鳴き声が名前の由来とされる。