静岡県内のSDGsの取り組みを紹介するシリーズ。今回は、お気に入りの服を長く愛用してもらうために洋服ブランドが始めた取り組みです。
<大石勝博ディレクター>
「浜松市です。おだやかな空気が流れている場所ですが、実は全国へ服を売り出しているブランドがあります」
普段着をメインに販売する浜松市の「ハウス」です。
<HUIS松下昌樹さん>
「浜松のショールームにあるのは100種類、年間で4万着の商品を作っています」
地元・浜松で細い糸を昔ながらの織機で緻密に縫った生地で服を作っています。
<松下さん>
「見てもらうとわかるが、高密度に織った生地は綿100%でも輝くような上品な光沢が出ます」
ただ、着る機会が増えると…。
<松下さん>
「白っぽく、洗濯を重ねると出てくる」
色によっては、黄ばみが出ることもあります。
<松下さん>
「タンスの奥にしまわれることは、せつなさもある。いい気分でまた、着られるようになると、こんなにうれしいことはない」
そこで挑戦したのが、「服の再生」です。手を組んだのは大正時代から続く名古屋の染物会社。
<松下さん>
「こんにちは」
"廃棄する服"を蘇らせる取り組みを2025年から始めました。
<山勝染工 中村剛大さん>
「黒い染料を僕たちの特別なレシピで作った」
「どんな黒?」
「黒いです」
中村さんの会社は紋以外をきれいに黒く染める江戸時代からの手法を続けています。黒色の服を染料につけてみると深みのある黒に…。
<松下さん>
「(他の会社にお願いしたら)染めムラになったり、移染といって、洗濯したら色が落ちたとか、問題が起こって。見事にきれいに真っ黒く染めムラなく染まって、色落ちも全然しない」
繊細な生地を損なうことなく色を取り戻すことができました。
<中村さん>
「染める作業は約3時間、洗う時間で約3時間」
今回、染め直しを依頼した和久田さんです。
「すごいね。ちょっとびっくりするぐらい」
「黒いね」
「別物ですね、びっくりしました」
「お気に入りの洋服を長く着れたら」
<松下さん>
「洋服を売るだけではく、日本の産業、技術を伝えたいと思ってやってきているので、そういうのをどんどん知ってもらえるきっかけとなればいいですよね」