静岡で楽しむ 世界の演劇 SPAC、春の祭典 駿府城公園を「テーマパークに」

開幕作品となる「〈不可能〉の限りで」(c) Magal iDougados 静岡県舞台芸術センター(SPAC)が主催し世界各国の優れた作品を静岡市に招く「SHIZUOKAせかい演劇祭」が26日、日本初演のスイス作品「<不可能>の限りで」を皮切りにスタートする。世界一流の演劇やダンスなど4作品を市内各地で楽しめるほか、5月6日までの開催期間を「PLAY! ウィーク」と題して関連イベントを同時開催し、春の大型連休中の静岡を演劇芸術で染め上げる。
 開幕を飾る「<不可能>の限りで」はスイスの劇団コメディ・ドゥ・ジュネーヴ制作の話題作。実在の赤十字国際委員会や国境なき医師団(MSF)メンバーへのインタビューを基にいくつもの個々の証言やエピソードを積み重ね、人道支援従事者が直面する世界を描く。4人の俳優が証言者を次々に演じ分け「その言葉によって物語が立ち上がるという演劇の神髄を楽しめる」(SPAC担当者)という。4月29日まで静岡芸術劇場(同市駿河区)で上演し、観劇は中学生以上推奨。

■華やかさの裏側
 5月4~6日に静岡芸術劇場を舞台に上演するのはストラスブール国立劇場(フランス)制作の「ラクリマ、涙~オートクチュールの燦[きら]めき~」。ダイアナ元英国皇太子妃のドレス制作から着想を得た物語が展開する。華やかな世界の裏側で名もなき職人たちの間に潜む暴力や支配の構造を表現する。
 フラメンコ界のレジェンド小島章司作・構成・演出・出演の新作ダンス「叫び」は5月2日にグランシップ(同市駿河区)中ホールで披露する。ムンク作の同名有名作「叫び」との対面を経て作り上げたという、芸術家のたどる苦悩や日常の違和感、不条理を全身で叫ぶ同演劇祭のためのスペシャルステージ。

■ダンスを間近に
 静岡市駿河区の舞台芸術公園野外劇場「有度」では4月26、27の両日、ダンス作品「マミ・ワタと大きな瓢箪[ひょうたん]」を楽しめる。カメルーン生まれの仏人気ダンサー、メルラン・ニヤカムがアフリカ神話に基づく不思議な世界を表現し、観客の想像力を刺激する。2024年の演劇祭で幅広い世代から好評を博し再演が決まったという。小学生以下の子連れから優先的に入場でき、パフォーマンスを間近で観劇できる「ファミリー席」も用意されている。
 「ふじのくに野外芸術フェスタ」としてはSPACの新作で宮城聰芸術総監督が構成・演出する「ラーマーヤナ物語」を駿府城公園(同市葵区)内の特設会場で上演。同公園は「PLAY!PLAY!PLAY!ガーデン」として大型連休後半は「ストレンジシード静岡」の各種パフォーマンスの舞台となったり、SPAC俳優が来場者をもてなすグリーティングが行われたりとイベント多数。静岡の地元食材を使った食事を集めた「ガストロノミー広場」やパーソナルモビリティの試乗体験会場なども設けて「演劇のテーマパーク」に変身する。

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