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【演劇の都・静岡】芸術の秋は演劇を観に行こう!SPAC、ラウドヒル計画、劇団渡辺…。充実のラインナップが静岡で

静岡トピックスを勉強する時間「3時のドリル」。今回のテーマは「演劇の都・静岡」。先生役は静岡新聞教育文化部長の橋爪充が務めます。 (SBSラジオ・ゴゴボラケのコーナー「3時のドリル」 2023年9月13日放送)

全国唯一の専用劇場を持つ公立劇団「SPAC」

(山田)今日は静岡と演劇の話題ですね。

(橋爪)静岡県がこのほど県内の劇団の2023年度公演などを一覧にしたパンフレット「演劇の都SHIZUOKAラインナップ」を作成しました。

また、掛川市出身の劇作家で演出家の宮沢章夫さんの命日が9月12日でした。宮沢さんは、全国的に名前を知られている静岡を代表する演劇関係者でした。昨年亡くなられた宮沢さんへのオマージュの意味も含めてこのテーマを選んでみました。

(山田)僕も演劇が好きで大阪芸術大学に進学しました。演劇をやれる学校は少ないんですよ。当時は琉球大学、日本大学芸術学部、大阪芸大ぐらいしかなかったんですよ。

(橋爪)藪から棒ですけど、静岡県は演劇の都なんですよ。県が2021年7月に策定した「演劇の都」構想というのがあります。県内の舞台芸術を振興して文化力を向上し、教育や人材育成、ひいては観光振興にも生かしていこうという内容。その前提となるのが静岡県舞台芸術センター、通称SPAC(スパック)です。

SPACは1995年に設立されているので、もうあるのが普通になっていますが、全国的に見ても稀有な団体なんです。何が珍しいかというと、全国で唯一、県が100%出資した財団法人で、専用の劇場を持った公立劇団という点です。

(山田)なんかヨーロッパのようですね。

(橋爪)SPACはお客さんを入れて演劇作品を見せる公演が活動の主たる目的になっていますが、実はそれだけじゃないんです。

(山田)どういうことですか。

(橋爪)県の演劇の都構想に基づく部分でもあるんですが、演劇のファンのために公演をするだけではなく、教育や人材育成に貢献しています。その1つが中高生鑑賞事業。2009年度から本格的に始めていますが、平日の公演に中高生を招待するというものです。おそらくこれまでに20万人以上が鑑賞しています。

(山田)すごいですね。

(橋爪)リスナーの方でも静岡芸術劇場というグランシップの中の劇場でSPACのお芝居を見たことがある人が結構いるんじゃないですかね。

SPACシアタースクールという事業も2007年からやっています。主に体の使い方とか、声の使い方を学ぶ夏休み期間の2ヵ月弱のプログラムです。

(山田)もう演劇のワークショップじゃないですか。

(橋爪)まさにそうですね。

(山田)僕らが本当に大阪芸大で最初にやった内容ですよ。

(橋爪)講師は専門家が担当するので、中高校生が対象とはいえ内容はかなり本格的なものだと聞いてます。ほかにも、「スパカンファン」というダンスがメインになってるプロジェクトもあります。

1番新しいものだと、2021年にスタートした高校生対象のSPAC演劇アカデミーがあります。これは1年間を通した演劇学校です。演技だけではなくて、演劇というものを理解するための教養も学びます。英語、古典や戯曲の読み方などを含めて学びながら、自分たちなりの作品を制作し、最後に発表会を行います。

(山田)僕の友人が戯曲の読み方を知らなくて、ギリシャ神話をやったときにポセイドンが「われは海の神」と語るセリフがあったんですけど、友人は「ポセイドン」という自分の役名まで読んでしまったんです。読み方を知らないとそうなっちゃうんですよね。

(橋爪)まず「ポセイドン」が人の名前だということを理解しなければならないということですね。

(山田)そうなんです。本当の基礎ですけれども(笑)

2024年度には清水南高に演劇専攻誕生


(橋爪)ここまでSPACの取り組みについて紹介しましたが、2024年度からは県内の公立高校に初めて演劇専攻が設置されます。

(山田)どこですか。

(橋爪)清水南高校です。元々芸術科がありまして、その中に定員10人で演劇専攻を設けます。

(山田)演劇部じゃなくて演劇専攻ですよね。高校から学ぶというのはどうなんですか。普通に高校生活を送っていたほうが将来、俳優になるにはいいのではないかと思ってしまうのですが。

(橋爪)自分が俳優になるにしろ裏方をやるにしろ、ある一つの世界を作るっていうことにおいては、絵画や書道、文学と一緒で、表現のスキルを身につけることは、ないよりあったほうがいいと思います。

(山田)確かにそうですね。

(橋爪)もう1つは演劇で学んだことが将来、役に立つことがものすごくあると言われています。専攻の設置を検討してきた策定委員会でもかなり討議されたようで、そこはかなり強調されてます。

(山田)すごく広い言い方をすると、演劇を通して人生を豊かにするという意味ですね。
(橋爪)そうです。人とのやり取りにおいて演劇から学ぶことはすごくありますし、多くの人に何かを発表するっていうときもそうですよね。一つ一つのコミュニケーションのあり方というのを演劇を通じて学んでいくことが主眼だと。それが清水南高校で始まる演劇専攻だと私は理解しています。

(山田)なるほど。

秋は注目公演が目白押し

(橋爪)そんな演劇の都・静岡ですけども、秋には注目の公演がたくさんあります。SPACだけではなく、いろいろな劇団がさまざまな公演を行います。冒頭で紹介した「演劇の都SHIZUOKAラインナップ」は一覧になっていて見やすいので、ぜひ皆さんにも手に入れていただきたいなと思います。

SPACは10月7日から11月19日まで「伊豆の踊子」を上演します。映像を交えた観光演劇という打ち出しをしているので、これまでとは違ったものを見せてもらえるんじゃないかと期待をしています。

(山田)そして、ラウドヒル計画もありますね。SBSテレビの近江由佳アナウンサーも挑戦するということで楽しみです。

(橋爪)SBSラジオで以前放送していた「らぶらじ」という番組でパーソナリティーを務めていた勝山康晴さんがプロデューサーと脚本を務め、今回は徳川家康がテーマだと聞いています。公演は10月21、22の両日に静岡市民文化会館で行われます。

もう一つ紹介すると、先日の静岡新聞にインタビューを掲載した蔭山ひさ枝さんが看板俳優として活躍している劇団渡辺。来年で創立20周年で、かなりファンも多い劇団です。ここが運営してる静岡市葵区の人宿町やどりぎ座という劇場が開場5周年になります。それを記念して「不思議の国のアリス」を上演します。われわれが思い描いている「不思議な国のアリス」とは若干違うものになるのではないかと思います。上演期間は9月28日から10月15日までです。

(山田)ぜひ皆さんご覧なってください。静岡にもこういった演劇があるんだと、“ジャケ買い”するような感覚で行っても面白いかもしれないですね。今日の勉強はこれでおしまい!

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