
山間部の本殿から海岸近くの下宮に向け、ゆっくりと石階段を下りる「みこし下り」を披露した後、土石流で大きな被害が出た岸谷地区の逢初(あいぞめ)川沿いにみこしを運んだ。白装束姿の男衆が「わっしょい、わっしょい」と気勢を上げると、沿道からは「頑張れ」と声援が上がった。
逢初川沿いは本来、みこしの主要ルートの一つ。土石流の発生後は遺族や住民の感情を踏まえ、被災地を運行ルートから外していたが、「伝統を絶やしたくない」「まちに活気を」との思いで再開にこぎ着けた。逢初川と両岸道路の復旧復興工事が続き、通行止め区間もあるため、被災地の一部での運行にとどめた。
神社総代会長の大舘節生さんは「ようやく本来の例大祭に戻りつつある」と感慨深げに語り、「祭りを通じて伊豆山を盛り上げ、住民の絆を取り戻していきたい」と声に力を込めた。