
長田さんは春野福祉センター(同区春野町)で、高齢者向けに行われている「元気はつらつ教室」でスタッフとして働く。毎週、音楽に合わせて軽く体操し、みんなで雑談。「自宅の畑にシカよけの柵を設けても、やすやすと跳び越えられる」「旦那が最近、家事をたくさんやってくれるようになった」。笑い声を響かせながら、桜の切り絵を作っていく。
同教室は市社会福祉協議会が、高齢者の孤立解消や自立支援のために行っている。20年以上継続して事業に携わる長田さんは「皆で語り合って古い曲を歌う場があるだけで、心身に良く介護予防になる」と話す。
長田さんは30代の時、天竜厚生会で勤務を始め、58歳で介護福祉士の国家試験に合格。夜勤の介護職員や、はつらつ教室のスタッフとして働き続けてきた。
2020年には天竜区二俣町鹿島に設立された介護事業所てんまるっと(鈴木久美子代表)に参加し、80歳を過ぎて初めて訪問介護に挑戦した。毎日数十キロを運転して利用者宅を訪ね、入浴や着替えの介助、掃除などをこなす。1日の訪問先が5軒を超える日は珍しくない。100歳近い利用者が亡くなる直前まで向き合うこともある。
休みは不定期で、肉体的にも楽な仕事ではないが「人生の終盤を迎えている人の話を聞いて多くを学ばせてもらえ、ご家族にも感謝される。家でテレビを見てじっとはしていられない」。週5日以上、生きがいとなった仕事をして地域の介護現場を支えている。