南海トラフ地震 静岡県内死者最大10万3千人 新被害想定公表 全国は29万8千人

 内閣府は31日、南海トラフ巨大地震の新たな被害想定を公表した。最も条件の厳しいケースでは、死者数は全国で29万8千人に上った。静岡県は最多の10万3千人。検討に当たった有識者ワーキンググループ(WG)は同日国に提出した報告書で、迅速な津波避難をすれば被害を大幅に減らせると指摘。早期避難意識の醸成や家屋の耐震化、避難路整備などを求めた。
■「10年で8割減」遠く 津波迅速避難で被害減
 2012年の前回想定に基づく最大死者数は約33万2千人(県内約10万9千人)だった。国はその後の10年間で8割減らす目標を立てていた。地盤や地形データなどの前提条件が前回と一部異なるために一概には比較できないが、達成できなかった。
 新想定では、強い揺れや津波を引き起こす断層モデルを前回から踏襲し、早期避難率も同じ20%に設定した。想定津波が防潮堤が超えるような場合の減殺効果は含めなかった。こうした結果、前回と大きく変わらない数値となった。
 ただ、早期避難率を70%に設定すると、各地に整備された津波避難タワーなどの効果もあり死者数は17万7千人にまで減るとした。早期避難の重要性を改めて示す格好となった。静岡県が23年に公表した対策の進捗(しんちょく)では、県内の死者数8割減を達成したとした。この際の早期避難率は81%と見積もった。
 新想定での県内各地の最大震度は6弱~7。津波高も従来とほぼ同じで下田市が最大31メートル(前回33メートル)と最も高かった。南伊豆町25メートル(同26メートル)、御前崎市19メートル(同19メートル)と続いた。静岡市清水区や焼津市は1メートル以上の津波が最短2分で到達するなど、引き続き厳しい値が示された。県内の浸水区域は3%広がった。

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