
「アピタは私の青春そのもの」「屋上から見た安倍川の花火は忘れない」―。
2005年11月に、当時静岡市内最大の商業施設「セントラルスクエア静岡」の中核店舗としてオープンしたアピタ静岡店(同市駿河区)が30日に閉店を迎える。店内に設けられたメッセージボードには、19年間にわたり、近隣住民のみならず広範囲の商圏で利用者の衣食住のニーズを満たしてきた同店の閉店を惜しむ利用者の思いがあふれ出ている。
縦約2メートル、横約9メートルに及ぶメッセージボードは計3面に及び、付箋を貼るスペースが見当たらないほどの思い出で埋め尽くされた。「認知症の母は歩いてアピタに来ることが何よりの楽しみだった」「デートの定番コースで愛用した」など、幅広い年代の利用者が記憶をたどって書き記したメッセージには、地域を支えた“心のよりどころ”に対する愛情がにじみ出る。
中には「ここで働けて幸せでした」(元アルバイトスタッフ)や「子どもが泣いたとき、親切に対応してもらった」など従業員への感謝のコメントも。娘、孫と親子3世代でメッセージを書きに訪れた同区の60代パート女性は「何でもそろうので、ほぼ毎日来ていた。家族の歴史のすぐそばにあった存在。なくなってしまうのが寂しすぎる」と肩を落とした。