3月20日は「世界幸福デー」です。「ウェルビーイング」は一般的には「からだやこころ、社会的なつながりが満たされた状態」のことを言います。静岡県内でも行政や企業などがこの考え方を取り入れて幸せな生活を続けることを目指しています。
<30代自営業>
「最近子どもができたので家にいる時ですね。赤ちゃんなので、かわいいので」
<20代会社員>
「推しのライブとかイベントとに行っている時ですかね」
<子ども>
「水曜日に友達の家に行くから、その時に遊んだりするのが幸せ」
<母親>
「この子たちが寝た後にちょっとのんびりする時間。好きなテレビ見たりお酒飲んだり」
<50代自営業>
「3食食べられて屋根とか壁とかドアがある家に住めて、蛇口をひねれば水が出てなど、日常がありがたい」
日常生活の中で人が感じるその時々の幸せ。いま、こうした「一時的な幸せ=ハピネス」から「より持続的な幸せ=ウェルビーイング」を目指そうといった流れが広まっています。
「幸福度日本一の県」を目標に掲げる静岡県の鈴木知事は、2025年度の県政運営に「ウェルビーイング」を取り入れる方針を打ち出しました。
<鈴木康友 静岡県知事>
「『ポストSDGsはウェルビーイングである』という流れが出来つつある。世界の国や都市もこのウェルビーイングの活用がかなり今急速に進み始めている。これからこれは大きな流れになると思いますし世界的な潮流になっていくと思います」

そこで県が導入を決めたのが、デジタル庁が主導する「ウェルビーイング指標」です。人々が感じる「幸福実感」や住んでいる街の「暮らしやすさ」を可視化したグラフで、「子育て」や「自然景観」など24のカテゴリーを主観データと客観データで比較することが出来ます。
<鈴木知事>
「今までは客観的な指標だけで(政策評価をすると)、上手くいってたんじゃないかなという思い違いがあったりする部分は往々にしてあると思うので、そういうところを主観的な指標によって補っていくということが私は大事だと思っている」
県はデータを分析し県民の満足度をアップする政策をつくっていきたい考えです。
ウェルビーイングの考え方は企業の中でも広がりつつあります。静岡鉄道は、若手が中心となってより良い会社の姿を目指す、「みんなの100日プロジェクト」を2021年に立ち上げました。この日は、社内の立場に関係なく安心して発言できる「心理的安全性」をテーマに話し合いました。
<社員>
「自分は今まで通りフラットな気持ちで話しているけど、実はだんだんポジション上がってきていて、年下は気を遣っているみたいなこともあるのかなと思うので、自分は距離を近くいきすぎないようにいきたいなと思っている」
<社員>
「自由に発言していいんだとか、会社としてそういう雰囲気があるというのをこのチームから学んで自分の業務に持ち帰ったりしているので、この取り組みがあることによって働きやすさは増しているのかなと思う」
そのほか、社内システムで社員のプロフィールを公開するなど社員同士のコミュニケーションを増やす取り組みを実施。プロジェクトを始めてから、社員の満足度は向上し課題であった退職者が大幅に減りました。
<静岡鉄道人事部人材採用課 住吉昂太課長>
「人間は働く時間が人生の中でも長いと思うので、そこが楽しいかどうかとか、やりがいも持てるかどうかは、その人の人生全体の幸福度に影響すると思っている。社員みんながこの会社で働いてよかったと思ってもらうためにも、ウェルビーイングの観点は大事だと思っている」
デジタル庁のウェルビーイング指標の生みの親、南雲岳彦さんは、今後のウェルビーイングの浸透に必要なのは、教育の充実だと話します。
<ウェルビーイング指標の生みの親 南雲岳彦氏>
「小学校や中学校の教育くらいから、『幸せってなんだろう』と考える授業があってもいいと思うし、街づくりの当事者であるというような教育が出てくる、メディアの皆さんが支援する、そういう活動を広めていくっていうことが出てくると、良い循環ができていって、パラダイム(=考え方)が出来てくる気がする」
ウェルビーイング指標ですが、県は新たに5000人にアンケートを送付してデータの分析を進める予定です。幸せを感じる部分は人それぞれ違います。自分らしく、幸せに生きるために、自分にとってのウェルビーイングを一度考えてみるのはいかがでしょうか。