静岡県議会 3氏が代表質問・一般質問 医療ケア児支援/医師の偏在解消/中小企業補助金/「富士山山梨空港」発言

 静岡県議会12月定例会は7日、公明党県議団の蓮池章平氏(沼津市)が代表質問を、自民改革会議の木内満氏(富士宮市)、無所属の桜井勝郎氏(島田市・川根本町)が一般質問を行った。

医療ケア児に訪問看護師 独自支援制度を検討
 池上重弘教育長は、医療的ケア児の就学支援と保護者負担軽減のため、人工呼吸器を装用する児童生徒らが就学時に訪問看護師の派遣を受けられる県独自の支援制度の導入を検討していると明らかにした。蓮池氏への答弁。
 特別支援教育課によると、22年度に県立特別支援学校に在籍する医療的ケア児は22校197人で、県教委は看護師68人と看護師資格を持つ教諭4人を配置している。ただ、人工呼吸器の管理など一部のケアは原則として看護師が行えないため、児童生徒のうち人工呼吸器を装用するなどしている十数人は、保護者の付き添いを必要としている。
 県は2015年、難病患者を介護する家族の支援事業に就学支援を組み込み、こうした児童生徒に対応できる訪問看護師の派遣費用を補助してきた。ただ、同制度は小中学生のみが対象で、費用の1割が保護者負担になるため日常的に利用できないなどの課題があった。
 県教委が検討する新制度は、保護者負担を伴わず、県が訪問看護師と委託契約を結んで派遣する想定。県立特別支援学校在籍者として高校生まで対象を広げる予定で、23年度の導入を目指して調整中という。22年度は、人工呼吸器管理の研修を受けた看護師を学校に配置するモデル事業にも取り組んでいる。
 池上教育長は答弁で「医療的ケアの必要な子どもの学びの機会を保障すると共に保護者負担を軽減し、誰一人取り残さない共生社会を実現する」と意欲を示した。

医学生向け支援コーディネーターを配置
 川勝平太知事は県内の医師の偏在解消に向け、地域医療に貢献する医師を目指す学生らのキャリア形成を支援するコーディネーターを本年度から新たに配置したと明らかにした。木内氏への答弁。
 キャリアコーディネーターは県や浜松医科大、静岡社会健康医学大学院大、県立総合病院の担当者計9人が務める。県内外の大学で地域医療に関する実習や講義などを行い、医師少数区域の医療に対する関心を醸成する。地域の医師偏在の状況と学生らの希望などを踏まえ、就業先の調整も担う。
 川勝知事は「一人でも多くの医師が、できるだけ早期に医師少数区域の医療の担い手となるよう取り組む」と述べた。医学生向け奨学金「医学修学研修資金」を毎年120人に新規貸与し、65人の地域枠入学者に少なくとも4年間、医師少数区域への勤務を義務付けていることも説明した。

中小企業補助金 月内に申請再開
 増田始己経済産業部長は、システムの不具合で受付初日に停止した中小企業対象の物価高騰対策補助金の申請について、12月中に受け付けを再開し、予算も追加で確保する見通しを示した。蓮池氏への答弁。
 同補助金の申請受け付けは11月28日に開始し、1時間半で予算額上限の8億円を超えた。他社の申請内容が閲覧できる不具合が発覚して一時停止するまでの間、申請数は約2700件で10億円に達した。県は県議会に提出済みの12月補正予算案で同事業に10億円を盛り込み、今後さらに予算を追加するとみられる。
 蓮池氏は、全ての申請者に補助金の交付を求めた。増田部長は「事業者の要望に応えられるよう十分な予算の確保に努める。受け付け体制の強化を含め万全の準備を進める」と述べた。システム停止前の申請分と、再開後の申請分を公平に扱う方針も示した。
 再開時期については「おおむね今月の中下旬には再開できる」とし、決定次第、速やかに情報発信すると述べた。

知事「富士山山梨空港」発言を弁明
 川勝知事は、11月29日の定例記者会見で、静岡空港について「富士山山梨空港」と発言したことの真意を問われ、「山梨県の皆さんに富士山静岡空港を自分たちの空港と感じ、積極的に利用することで利用者拡大に結びつけたいとの思いに基づく」と弁明した。桜井氏への答弁。
 知事は会見で国際線再開の見通しを質問された際に、「富士山山梨空港と言っている人もいるので、富士山空港という言い方を共有したい」と発言した。
 発言の根拠や山梨県民の利用割合を尋ねた桜井氏に対し、知事は2020年3月のアンケートで搭乗者に占める山梨県居住者は0・5%だったが、中部横断自動車道開通によるアクセス向上や連携事業で増加しているとの所感を述べ、「空港を持たない隣接県である山梨県民の利用は大いに期待できる」とビジネス利用の促進策や教育旅行の実績を説明。「両県が共有する世界遺産富士山のごとく、親しみのある空港と認識されることで、利用につなげたい」とした。

代表質問・一般質問要旨
 公明・蓮池氏 昨年9月施行の医療的ケア児支援法に、学校設置者が医療的ケア児に適切な支援を行うことが明記された。従来の県の難病患者介護家族リフレッシュ事業の就学支援ではなく、県教委が学校設置者として速やかに制度設計を行い、医療的ケア児の通学を支援するべきだ。今後の方向性は。
 ケア児に対応する特別支援学校の看護師は会計年度任用職員で、勤務時間の制限や雇用の不安定さなどの課題がある。看護師確保にどう取り組むか。
 自民・木内氏 県は医学修学研修資金制度などの事業を通じて医師不足と医師の偏在解消に取り組んでいるが、現時点では十分な効果が出ているとは言いがたい。制度の在り方を含め大幅に見直すべき時期に来ているのではないか。貸与者の勤務地の地域偏在解消に向け、制度の運用をどう改善するか。
 無所属・桜井氏 川勝知事は記者会見で、利用者が増えているので富士山静岡空港の名前を富士山山梨空港に変えてもいいと発言したそうだ。税金を使い、土地を強制収用し、大井川流域住民の努力と協力で建設された空港の名前を簡単に変えるという軽い発言だ。山梨県の乗客の割合と、発言の根拠は。

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