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あおり運転はなぜ減らない?無意識にやってしまう「あおられ運転」とは

自分の運転が、あおり運転を誘発している!?

毎朝、運転しながらIPPOを聞いてくださっているドライバーの方も多いと思います。車のトラブルで度々ニュースにもなり、問題となっている「あおり運転」。できることなら「あおり運転」の被害には遭いたくないですが、なかには自分でも無意識のうちに、あおり運転を誘発してしまっていることもあるようです。今回は、無意識にやってしまっている……かもしれない「あおられ運転」について、モータージャーナリストで日本自動車ジャーナリスト協会・会長の菰田潔さんにお話をうかがいました。
※9月9日にSBSラジオIPPOで放送したものを編集しています。
あおり運転
岡村アナ:まず、現在の法律で「あおり運転」をすると、どのような罰則があるのか教えて下さい。

菰田さん:俗にあおり運転と呼ばれる妨害運転は、2020年6月の道路法改正で「妨害運転罪」が創設され厳罰化されるようになりました。

厳しいものを紹介すると、「著しい交通の危険を生じさせた悪質なケース」では5年以下の懲役または100万円以下の罰金、違反点数35点、運転免許の取り消し(欠格期間3年、前歴や累積点数により最大10年)など非常に厳しい罰則が適用されることになったんです。

厳しい罰則ができたのに、あおり運転が減らないのはどうして?

菰田さん:ドライブレコーダーの映像であおり運転の状況が見えるようになり、加害者だけがクローズアップされているケースが多いですが、多くの加害者は誰にでもあおり運転をしているわけではありません。たまたま出あった人に対してというより、あおり運転を誘発しているドライバーが被害者になっている可能性もあるといえます。

岡村アナ:結果的に誘発してしまった側の人も、決して誘発しようと思ったわけではなくて、もしかしたら気がつかないうちに誘発するような運転をしてしまったのかもしれない……。

あおりを誘発する、「あおられ運転」とはどんな運転?

菰田さん:ひとつに、正義感をもって制限速度を守り、追い越し車線を走り続けるドライバーはあおられる人です。スピード違反はしていませんが、追い越し車線は追い越しが終わったら走行車線に戻らなくてはならないと法律で決まっています。

それから、車線変更時の対応。例えば、車の前にすぐ入ってしまうとか、何かがあった時にホーン(クラクション・警笛)をやたらに鳴らすとか。ホーンは事故を防ぐために鳴らすものであって、威嚇のため、憂さ晴らしのため、「何やってるんだ、早く行け」という意思表示に使ってはいけません。お礼のホーンも誤解を招くことがあるので、なるべく鳴らさないことです。

岡村アナ:信号が赤になって前の車に教えてあげる時や道を譲ってもらったお礼などで、なんとなく鳴らしてしまいますね。

菰田さん:あとは、車間距離ですね。前方車に誤解されない正しい車間距離の測り方というのがあり、自分ではあおっているつもりがないのに前の車に近寄ってしまい、前の車があおられていると勘違いする車間距離があります。車間距離は通常2秒以上取るのが世界の常識ですが、それが1秒になると前の車はあおられていると感じてしまいます。道路標識の影を目印に、先行車がそこを通過したら「ゼロ、イチ、ニ」と2秒をカウントして安全な車間距離を確認するなど、2秒の車間距離をいつも意識して走るようにするといいでしょう。

また、ウインカーを早く出すのも大切です。ハンドルを切るタイミングでウインカーを出す人もいますが、なるべく早くウインカーを出して合図してあげましょう。

それから、左折時は左に寄ってから曲がるだとか、根本的なところをおさえて迷惑をかけない運転を心がけるとあおられないと思います。

あおり運転をしない、されないためには?

岡村アナ:すべて自動車教習所で教えてもらったはずのことなんですが、もう一度再確認するというのも大事なことかもしれません。リスナーからも、「追越車線をダラダラ走る運転は逆に危ないですよね」、「時速制限以下でかなりゆっくり走っていた車にイライラしたことがあり、流れに沿って走ることも大切ですよね」などのメッセージが来ています。

菰田さん:そうですね、流れに乗ることはとても大事だと思います。

岡村アナ:改めて、あおり運転をしない・されないためにはどのようなことが大切か教えてください。

菰田さん:あおられないために、迷惑をかけずに走ることが大原則です。あおる運転手を刺激しないことを念頭においておく。まずは邪魔にならないように前を走らないこと。あなたは間違っているという正義感を振りかざしてもトラブルに巻き込まれるだけなので、ルール違反のドライバーに遭遇しても相手にしないことが大事なポイントです。

そして、あおらないためにはどうするか。「あおり運転」をするドライバーは中途半端に運転が上手くて、自分は自由自在にクルマを操れると勘違いしているドライバーなんです。私は「上手いドライバー」というのは、他のドライバーを助けてあげられる運転ができるドライバーだと思います。ぜひそのあたりを意識して他のドライバーを助けられる余裕があるぞ、というところを見せてほしいなと思います。

岡村アナ:まさに、思いやりのある運転ができる人が上手いドライバーですね。あとは、車に乗ると性格が変わる人もいます。ハンドルを握った時の怒りなどアンガーマネジメントも意識するといいのかなと思いました。

菰田さん:怒る前に5秒我慢することがポイントですね。

岡村アナ:今回はためになる話をありがとうございました。
 
今回、お話をうかがったのは……菰田 潔さん
1950年、神奈川県生まれ。モータージャーナリストで日本自動車ジャーナリスト協会会長、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員を務める。ほかBMW Driving Experienceチーフインストラクター、BOSCH認定CDRアナリストの資格を持つ。近著に「クルマの運転術」(ナツメ社)、「あおり運転 被害者、加害者にならないためのパーフェクトガイド」(彩流社)がある。
 

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