​【田宮俊作理事長のいない初の『静岡ホビーショー』】跡を継いだ青嶋理事長が語った前理事長への敬意とこれからの「模型のまち静岡」

静岡県のアートやカルチャーに関するコラム。今回は、5月13日に静岡市で開幕した国内最大級の模型の展示会「静岡ホビーショー」を題材に。
(文・写真/経営戦略室・天野大輔)

2026年5月13日、静岡市駿河区のツインメッセ静岡で、国内のホビーメーカーなどが新商品を発表する国内最大級の模型の展示会「静岡ホビーショー」が開幕しました。5日間の会期のうち、初日と2日目は模型店や問屋を対象とした「業者招待日」、3日目は県内の児童生徒を招く「小中高校生招待日」となっており、一般公開は16、17日の2日間です。

多くのメディアが取材に訪れる「業者招待日」の初日には、主催の静岡模型教材協同組合による記者会見が行われます。例年の流れでは、まず新聞や雑誌など紙媒体向けに、組合の理事が並んで共同記者会見を行い、その後に理事長がテレビなど動画メディア向けの囲み取材に応じる形となっています。

理事長が交代してから初めてのホビーショー

昨年まで囲み取材はタミヤブースの一角で行われていた


今回の会見が例年と大きく異なるのは、理事長の交代です。長年にわたり静岡模型教材協同組合の理事長を務め、タミヤの会長でもあった田宮俊作氏が2025年7月に逝去。これを受け、青島文化教材社の青嶋大輔社長が新理事長に就任しました。今回のホビーショーは、新体制となって初めて迎える開催となります。

1994年の理事長就任以来、30年以上の長きにわたって静岡の模型業界を牽引してきた俊作氏。かつてのホビーショーでは、タミヤブースの傍らでメディアに囲まれ、記者の質問に答えるのが恒例の光景でした。80歳を過ぎても衰えることはなく、歯に衣着せぬ「俊作節」で、業界の課題や未来を時に厳しく、時に熱く語る姿は、多くのメディアや関係者、そして模型ファンの胸に深く刻まれています。

俊作氏からバトンを受け取った青嶋理事長

青嶋理事長の囲み取材はアオシマブースの一角で行われた


2023年には椅子に座って取材に応じていた俊作理事長でしたが、翌2024年には89歳という高齢ながら、再び立ち姿でインタビューに臨む健在ぶりを示しました。そして2025年、俊作理事長が最後に出席したホビーショーでは、単独ではなく組合の理事であるハセガワの長谷川社長、青島文化教材社の青嶋社長(当時)の3名が並んでカメラの前に立ち、次代への継承を感じさせる対応を行いました。

そして迎えた今年、囲み取材の舞台はこれまでのタミヤブースから、新理事長が率いるアオシマのブースへと移りました。青嶋氏は理事長として初めて記者からの質問に応じましたが、その回答の端々には前任者への言及があり、亡き俊作氏への深い敬意と想いが滲みました。

「俊作前理事長の功績をさらに加速させる」

鈴木俊夫インタビュアーの質問に答える青嶋理事長


Q.これからどんなかたちに「模型のまち静岡」をもっていきたいか?

<静岡模型教材協同組合 青嶋大輔理事長(青島文化教材社代表取締役社長)>
これは非常に熱く思うところがございまして、俊作前理事長が、田宮前理事長がつくってきてくれたこの「ホビーショー」もそうですし、業界もそうなんですけど、非常にたくさんのファンの方がいる状況にしてくれた。その功績をさらに加速させて、「ものづくりのまち・静岡」ということを、模型を中心に、もっともっとアピールできたらいいと考えておりまして、昨今は行政と連携して子どもの教育に携わったりですとか、まちのプラモニュメントであったりですとか、まちづくりの 一つとしてプラモデルを取り入れることを積極的に行っております。こういったことを静岡を発信(拠点)に、日本が世界に誇っていけるような、そんなコンテンツにしていければと考えています。


静岡の模型文化を単なる「趣味の世界」に留めず、行政と連携した「まちづくり」や「教育現場への活用」といった新たな形へと昇華させようとする青嶋理事長。その言葉からは、偉大な前理事長の足跡をたどるだけでなく、自らの手で新たな一歩を踏み出そうとする強い思いが感じられました。

「今まで変えられなかったものをアップデートしたい」

初日午前11時過ぎの会場の様子


Q.今後、個人としてこうしていきたいという抱負は?

<静岡模型教材協同組合 青嶋大輔理事長(青島文化教材社代表取締役社長)>
俊作会長の功績は偉大過ぎて、それを継承するというのは、なかなか荷が重いというか、すごく緊張する部分ではあります。ただ、今まで変えられなかったもの、時代の変化とともに動かなければいけなかったことを含め、少しずつ改善、アップデートしていければいいと考えております。一般入場に関しては、「見たい」という方が見られない、そんな非常に申し訳ない状況になっておりますので、開催の仕方を、より多くの方に楽しんでいただけるよういろいろアップデートできればと思っています。


コロナ禍以降、土日の一般公開は事前予約制となっていますが、今回は申し込み開始からわずか30時間で規定数に達し、受付が締め切られました。以前から会場のキャパシティー不足も指摘されており、高まる需要に対して「より多くのファンに楽しんでもらうための次の一手」をどう打ち出すか。その変化に、期待と注目が集まります。

現在50歳の若きリーダー

青嶋理事長は現在50歳。俊作氏より10歳ほど若い年齢で理事長に就任した


長きにわたり静岡の模型業界を牽引し、「ホビーショーの顔」でもあった田宮俊作前理事長。その存在があまりに巨大であったからこそ、理事長の交代は、一つの時代の終焉と新たな時代の幕開けを象徴するものとなりました。青嶋理事長は、「模型の世界首都」の礎を築いた先代の功績を称えつつ、その視線をさらに先の未来へと向けています。

先代の功績を大切に守りながら、静岡を「ものづくりの聖地」へ。若きリーダーが描く展望は、静岡の模型文化をさらなる高みへと押し上げるはずです。

静岡県に関係する文化芸術、ポップカルチャーをキュレーション。ショートレビュー、表現者へのインタビューを通じて、アートを巡る対話の糸口をつくります。

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