
禅僧の修行僧のための食事である「精進料理」。その教えには、私たちの生活にも取り入れられる考え方があります。食を通じて1年を大切に過ごしませんか。
精進料理について教えてくれたのは、大森山全福寺(静岡市葵区)の住職であり、料理人でもある轟義敬さん。

出家前は、京都妙心寺御用達の精進料理店「阿じろ」で13年間料理人を務め、阿じろ創業者の勧めで出家をしました。静岡市の臨済寺で9年間修業後、2008年に全福寺の18代目・住職となり、同寺で精進料理を提供しています。
寺内を開放し、精進料理を提供しています。
精進料理とは?

精進料理は鎌倉時代、中国に留学した僧侶によって禅宗とともに広がりました。臨済宗の開祖栄西、曹洞宗の開祖道元が発展させたと言われています。
精進料理では仏教の「不殺生戒」という教えに基づき肉、魚、卵などの動物性食材が禁止されています。だし汁には鰹節を使わず、昆布やシイタケを使用。また、野菜の中でも香りが強いネギ、ニラ、ニンニクなどは使いません。

「精進する」とは悟りに向かって懸命に修行することを意味します。修行僧にとって食事を作り、食べることも修行の一つ。食材に感謝し、素材を無駄なく生かし、真心込めて作ります。
「皆さんに喜んでほしい一心で作っています」と笑顔を見せる轟さん。轟さんが提供するのは「精進会席」と呼ばれる料理。修行僧の食事は、ご飯と一汁一菜が基本ですが、精進会席は品数が多く、見た目の美しさも大切にしています。
写真は秋の料理。季節によって違う料理が楽しめます。
下ごしらえに深夜までかかることもあるそうですが、「食べる人が喜ぶ顔を見ると料理を作る力になります」と嬉しそうに語ってくれました。旬を食べ、体を整える
精進料理では「医食同源」の考えのもと、旬の食材が健康な心身を作ると考えています。「私たちの体は季節の食べ物で作られています」と説明する轟さん。春は苦みのある新芽で毒を出し、夏はキュウリ、トマトなど水分の多い食材で体を冷やします。秋は「恵」の季節。果物や木の実で栄養を蓄え、冬は根菜類で体を温めます。
調理の基本は「五味五色五法」。五味は「甘味・酸味・塩味・苦味・旨味」、五色は「赤・黄・青・白・黒」、五法は「生・煮る・焼く・蒸す・揚げる」を意味します。
春の新芽から始まり、夏と秋は地上に伸びた作物を食べ、冬は土の下に埋まった根菜類を食べる。旬の食材はまるで円を描くように季節を巡ります。
メニューの最後に提供されたデザート。轟さんは常に新しいメニューを探求しています。
日本は春と秋が短くなり「二季化」していると言われています。昔と比べ、四季を感じるのは難しい時代かもしれません。だからこそ、改めて食の旬を通じて「春夏秋冬」を意識し、1年を大切に過ごしたいものですね。
境内では季節の花々や佇むお地蔵さんの姿に心を惹かれます。
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大森山全福寺「精進料理とどろき」
住所:静岡市葵区渡4(バス停「上渡」から約徒歩2分)
問合先:054-298-2136
営業時間:11:00~15:00
定休日:不定休
完全予約制※2名様から承ります。1週間前までにご予約ください。
駐車場:有り
※シミズ毎日2025年12月28日号掲載記事を一部編集して掲載しています。内容は取材時点のものです。最新情報、メニューの詳細はホームページ等でご確認ください。






































































