
象徴的だったのがNTT東日本との準決勝だ。先発の梅田健太郎投手(横浜隼人高―立正大)が「ヤマハの打線はどこからでも1発がある。1、2点なら取り返してくれると思った」と話すように、2点を追う五回に3番相羽寛太選手(静岡高)が同点2ラン。八回に追い付かれた直後の九回2死二、三塁の場面は4番網谷圭将選手(千葉英和高―DeNA)が勝ち越しの3ランを左中間スタンドにぶち込んだ。
一貫して「振る」
思い切りのいいフルスイングこそ、ヤマハ打線の真骨頂。けん引してきたのが35歳のベテランでコーチ兼任の矢幡勇人選手(相洋高―専大)だ。日本生命との決勝でも五回1死満塁の場面で先制の2点適時打を放った。

「最後は2(ストライク)3(ボール)だったんで、フォアボールも考えたんですけど、そこでフォアボールを考えてたら振れないなと思って食らいついた感じです。ボール球でしたよね。(疲労で)だんだん振れなくなってきていたんですけど、振るという意識は変えずにいきました。自分の結果より、一番(年)上の人が振っているという風に(若手が)思ってくれれば、それだけでいいかなと思ってやってきました」
何でもできる9番
もう一人、思い切りの良さを引き出したキーマンが入部6年目の28歳、9番永浜晃汰選手(明秀日立高―東北福祉大)だ。走攻守そろった内野手で、決勝は2安打1四球で打線のつなぎ役となった。
相手に「こんな9番打者は嫌だ」と思わせる、あらゆる要素を備えている。
時には四球を選んでチャンスを演出し、犠打やケースに応じたつなぎの打撃もできる。JR東海との2回戦では七回に低めの球を巧みなバットコントロールですくい上げ、貴重な追加点を生み出すなど、勝負を決める一打もある。西部ガスとの初戦では三塁打を放つなど長打力もあるという極め付きだ。

「初戦と2回戦はヒット出たんですが準々、準決勝はノーヒット。9番の自分はノーマークみたいな感じだったので、決勝は頑張らないといけないなと思ってました。(五回1死一、二塁の場面は、1番の)矢幡さんに四球でも何でもいいから回そうと思ってました。結果的に(ヒットで)満塁になって良かったです」
脅威のラストバッター
本来は5番を任されるような好打者。日本選手権直前のJABA伊勢・松阪大会で11打数無安打に沈み、今大会は9番に打順を下げた。
「下がった悔しさはあるけれど、この打線で考えたら、すごいバッターばかりなので僕の場所は9番かなと思う」と謙遜するが、永浜選手が9番に座るヤマハ打線は、相手にとって厄介なことこの上ない。
流れつくり、若手を援護
「展開的に初球で終わってはいけない場面もありますが、若手にはそういうことを考えずに初球からどんどん行ってほしいんで、僕ら中堅が流れとか、そういうところは考えればいい。それに9番バッターは上位に比べるとマークは甘くなると思っているので、そこで僕が打てば相手にプレッシャーがかかるかなとも思ってました」
脅威のラストバッターは、相手投手に一息つく間を与えなかった。
(編集局ニュースセンター・結城啓子)





































































