(聞き手=論説委員・橋爪充、写真=教育文化部・宮城徹)

-中学生、高校生のころから小説を書いていたとうかがいましたが。
水沢:私、オタクなんですよ。インターネット上に可愛いペットを飼育するゲームがあって、そのゲームの掲示板、絵を載せたり小説を載せたりして交流する掲示板があって、最初はそこで交流がしたくて小説を書いていました。表現したいことがあるというより「みんなとワイワイやるのが楽しい」ぐらいの感覚でした。
-幼少期に影響受けたり、記憶に残っている作品あるいは作家を教えてください。
水沢:幼稚園の頃に絵本の「おしいれのぼうけん」(ふるたたるひ、たばたせいいち作)を読んだことを覚えています。(自宅の)押し入れが別の世界に繋がっていて、といった話。読んだ時に、なんだかめっちゃ偉そうですけれど、物語って面白いと思ったんですよ。こういう感情になる物語っていうものがこの世界にあるんだっていうことを初めて知りました。
-現在でも過去でも構いませんが、水沢さんの好きな本を挙げてください。
水沢:ちょっと王道ですけど、寺山修司の「少女詩集」が好きですね。
-寺山修司さんは第1詩集収録の「沼津」にも出てきますね。いつ頃から接しているのですか。
水沢:恐らく中学3年か、高校生ぐらい。お母さんに「私はなんだか海が好きなんだよね」みたいな話をしたら「じゃあ、寺山修司が好きだと思う」って言われて。自分が持っていた寺山の本を貸してくれたんです。それを読んだら、すごく好き(な内容)だった。特に「少女詩集」の最初に入ってる海の詩が、めっちゃフィットしました。私のルーツには寺山修司があると思います。

-水沢さんは先ほど「オタク」という言葉もありましたが、アニメやゲーム、お笑いがお好きで、作品にもそのへんが見え隠れしていますね。こういったカルチャーはいつ頃から摂取しているんですか。
水沢:小学生の頃に(ゲームソフトの)「ポケットモンスター 銀」を買ってもらって。ゲームの楽しさに目覚めたのはそこですね。それからずっとポケモンが大好きです。マンガについてはずっと「りぼん」とか読んでいたんですが、お姉ちゃんが突然(少年漫画誌の)「ジャンプ」を私に薦めてきて。「家庭教師ヒットマンREBORN! 」「BLEACH」とかですね。小学生の頃から「ジャンプっ子」になっていました。
-ポケモンもお姉さん経由ですか。
水沢:多分そうですね。お姉ちゃんが流行ってるのを仕入れてきて、「私もやりたい」となったんだと思います。私はアニメかマンガかで言ったらやっぱり「マンガ派」で。アニメも見るんですが、(映像の)スピード感についていけなくなる時があります。マンガだと一人で1ページずつ楽しめるのがいい。
 
2023年発刊の水沢さんの初小説集「うみみたい」
-しずおか連詩の会についてうかがいます。2021年、浜松市開催の時に初参加でした。この時は詩人の四元康祐さん、野村喜和夫さん、俳人の高柳克弘さん(浜松市出身)、歌人の東直子さん、そして水沢さんという顔ぶれでした。創作時の心境はいかがでしたか。
水沢:憧れの場所だったんです。静岡で生まれ育った詩人としては、静岡で行われる詩のイベントに参加できるようになりたいなってずっと思っていたので。本当に感動しましたね。
-開催後の手記に「ひりひりとした緊張感を抱えて、浜松駅に降り立ちました」とあるんですが、かなり気持ちが張り詰めていたんですか。
水沢:1人で黙々と詩を書いていたので、みんなと書くというのでまず緊張しました。尊敬する詩人の方々がずらっと並んでいて、さらに緊張が高まりました。すごいプレッシャーでしたね。夢の中でも詩を書いていた。それぐらい追い詰められました。ただ、疲弊しましたが、やっぱり詩作は魅力的だなと実感して。今後を書き続けていく上で、素晴らしい経験をさせてもらったと思っています。
-今回、4年ぶり2回目の参加となりますが、抱負を聞かせてください。
水沢:2021年は自分の詩、自分の言葉にこだわり過ぎてしまいました。今回はいい意味で自分を解放して、参加者の皆さんと一つになれるような言葉を書いていきたい。溶け合って一つになりたいです。
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■2025年しずおか連詩の会
会場: グランシップ 11階会議ホール・風
住所:静岡市駿河区東静岡2-3-1
入場料:一般1500円、子ども・学生1000円(28歳以下の学生)※未就学児入場不可
日時:11月9日(日)午後2時開演
問い合わせ:054-289-9000(グランシップチケットセンター)
 
                    




































































