【マイナカードの更新】交付開始から約10年。更新しないと使えないって知ってた!?

静岡トピックスを勉強する時間「3時のドリル」。今回のテーマは「マイナカードの更新」。先生役は静岡新聞の山本淳樹生活報道部長が務めます。(SBSラジオ・ゴゴボラケのコーナー「3時のドリル」 2025年6月26日放送)
 (山本)本人確認や健康保険証として利用されているマイナンバーカードですが、10年の有効期限を迎える人が増え、25年度から更新が本格化します。

(山田)マイナンバーカードの交付開始から、もう10年たつんですか。

(山本)改めて調べてみると、2016年の1月からマイナンバーカードの交付が始まりました。これは市町村から住民に対して交付される仕組みで、始まってから10年弱がたったということになります。

(山田)2016年にすぐ交付を受けた人はもうすぐ更新を迎えるということですね。僕は本当に恥ずかしながら、このニュースを見るまで「更新しなきゃいけないものなんだ」って知りませんでした。

(山本)そう。私も全然意識してなかったんですよ。生活報道部の記者がこのニュースを取材したんですが、更新のためには市町の役所や役場で手続きをする必要があり、窓口の数を増やしたりいろいろな対応をしているようです。取材した記者はこれに気付いて、調べてみたということです。

私は、実はマイナンバーカードをたんすの奥底にしまってありまして(笑)。それを引っ張り出してきたところ、取得したのが2021年で、まだ更新の時期ではないのですが、人によって時期が違うと思います。政府がカードの普及を進めたいということで、「マイナポイント」という事業を展開し、交付を受けた人に対してポイントを付与するキャンペーンをやっていましたね。

(山田)もらいましたよ。

(山本)そのような流れの中でたくさんの方が交付を受けましたが、おそらく2016年の段階では普及はあまり進んでなかったんじゃないかなと思います。

県内では8割を超える保有率

(山本)実際、今どれぐらい保有枚数があるのかというと、全国平均でおよそ9816万人の方がマイナンバーカードの交付を受けたということです。保有率は全国平均でおよそ78.6%で、静岡県の場合も大体350万人の人口の中で292万枚出ているので、8割を超える保有率という形になっています。これは、赤ちゃんからお年寄りまでの全住民が対象になりますので、そうした数になります。

(山田)この数字を見ると、普及が進んでるなって感じはしますね。

(山本)そうですね。8割の方が今までに交付を受けたと。でも結構私の周りでも、「実はマイナンバーカード持ってないんだよ」っていう方もいたり、実際交付を受けても私のように特に必要性を感じず、あまり使わずにたんすの奥にしまっているという人もいます。門努さんのように、「頻繁に使うので持っている」という人もいますね。

カードの表面には、マイナンバーと個人番号が書かれています。それとともに、ICチップの中にいろんな情報が登録されているということで、それを使っていろいろなサービスが受けられるというメリットがあります。私のようにしまい込んだままでも特に何か困ることはなく今に至っているんですが、一番皆さんが使う機会が多いのはおそらく、健康保険証としての利用だと思います。

(山田)そうですね。

(山本)「マイナ保険証」っていう言い方をしたりしますね。最初の登録が必要かと思いますが、健康保険証の情報をこのマイナ保険証の方にひも付けて使えるというものです。そういう形で今使ってる方が多いんじゃないかなと思います。

(山田)うん。他にも使い道があるんですか?

(山本)運転免許証としても使えます。ただ、これもおそらく、今持っている運転免許証から更新するタイミングで、希望した人が「マイナ免許証」にすることになると思います。それからパスポートの申請にこのマイナンバーカードが使えるということです。また、マイナンバーカード自体をスマホの中に取り込むということが、iPhoneでできるようになったという報道も、ここ数日の間にありました。

実は期限があった!

(山本)カードをよく見ると、実は期限が書いてあるんですよね。

(山田)これ、期限が手書きで書いてあるんだ。

(山本)そうですね。これは発行から10年後の誕生日までという形になっているので、私の場合は、まだ先ですね。18歳未満の場合は5回目の誕生日までということです。

(山田)更新する必要があるのは、やっぱり顔写真がついているから…?

(山本)はい。写真が古いものになってしまうため、顔写真を改めて撮影する必要があります。更新の3カ月ぐらい前に郵送で、「有効期限が近いです」というような通知が届くそうです。その上で、すぐ役所や役場へ行かなくても、郵送や、スマホ、パソコンから申請をすることができます。ただ実際に交付してもらうときには、郵送で送り返してもらうのではなくて、実際に市町村の窓口に行かなければいけないということです。

(山田)大事な個人情報だから、ということですかね。

(山本)そうですね。本人に対して交付できたかは、窓口に行った時に確認をされるということですね。

電子証明書の期限は5年!

(山本)実は、もっと更新までの間隔が短いのが電子証明書というもので、マイナンバーカードの中のICチップに情報が記録されているんですよ。

(山田)えーっ。

(山本)よく見ると、有効期限が二つ書いてあって、電子証明書は5年間最初の発行日から5回目の誕生日までとなっています。中に入っている電子証明書の有効期限っていうのは、カードより短い5年なんですね。

(山田)ややこしい!カードの有効期限は10年、電子証明書の有効期限は5年。

(山本)これも、期限の3カ月ぐらい前に郵送で「電子証明書の有効期限はいつまでです」っていうような通知書が届きます。来たらカード本体を持って市町村の窓口に行ってください。行った先で更新の手続きをすると、その場で返してもらえるということです。内容の確認をして、更新したものを受け取って帰るというようなことで、いずれにせよ一度は行かないといけないシステムになっています。

(山田)なんか、便利なのか便利じゃないのか…わかんないなぁ。

(山本)役所に行くってのはなかなかハードルが高くて。私の息子は高校生で、18歳未満は5年で更新ということで、本人がスマホでいろいろ手続きしたものの、できあがってもなかなか取りに行けないという状況でした。平日は学校に行くので。

(山田)本人が行かなきゃいけないんですか?

(山本)原則としてはそうですね。他の人が行く場合には、おそらく代理人として確認できるようにするなどまた別の書類が必要になってしまうと思います。

(山田)これ、何とかなんないですかね(笑)

(山本)これは仕方がないようです。やはり本人がきちんと手続きをするというのが基本の動作だということで、今のところこういう形になってますね。

普及には課題も


(山本)そもそもなぜ、こういうカードを配るシステムを作ったかというと、やはり一番大きいのは行政機関側の効率化だと思います。

今まで、例えば社会保障なら社会保障、税金なら税金というようにそれぞれに番号のようなものがあったのを、一つの個人番号に統一する。そして、その番号をカードとして発行することによって、国民の方でも、その番号を自分の番号として持ち、その番号を使いながら何か行政サービスを受けることができるメリットがあります。

今では個人を証明する書類が運転免許証や保険証だったのが、デジタル化の流れの中で、公的な一つにまとまったものになった。そういう意味では、仕組みが整ったといえるかなと思います。

(山田)僕らの便利さよりも、多分行政側の便利さの方が上回っていて、僕らはまだ使いこなせてないところがあるんじゃないかなと。リスナーの方からも、「電子証明書の更新は結局窓口に行かなければならず平日しか手続きはできません。そのためにわざわざ休みを取らないといけないのはふに落ちません。学生は学校を休まないといけないということで授業に支障が出ます」というメッセージも来ています。まだまだ不満を抱えている方も多いですね。

(山本)私も、息子のカードの更新のときにはやっぱりそのように思いました。そういった課題もまだまだあります。実際、医療機関を訪れる方の中でどれぐらいの方がマイナ保険証を使っているかというと、厚生労働省のまとめだと3月の数字で27.3%と、まだ3割ぐらいの人しか使っていないと分かります。

(山田)マイナ保険証だと、セットしてカメラを見て、それでOKなんですよ。あれ、結構早い気がするんですけどね。

(山本)マイナポータルというところで、自分が支払った医療費や、どこの医療機関を受診したか、どんな薬の処方を受けたかなどの情報も自分で見られるので、便利だとは思うんですが、実際のところはこれだけ進んでいないということのようです。

当初は、個人情報をカードにまとめて持ち歩くことが不安だとか、目の届かないところで情報を誰かが見るんじゃないかといった懸念があったようです。マイナ保険証が機器の不具合で使えず、結局自費で建て替えなければいけなかったということが報じられたりしていました。そういったことも普及に影響してるんじゃないかなとは思います。さらに、医療機関側の負担もかなり重いということを、今回の取材でも医師の方が話していました。

(山田)どういうことですか?

(山本)今後は、電子カルテのようなものを簡単に読み取れるようにしていくことも技術的には可能らしいのですが、それをするには医療機関側で設備投資をしなければいけないということです。このカード1枚で医療の情報を最大限に活用するための体制を整えるには、医療機関側の負担も相当大きいので、このままだと、医療の分野に限ってもフルに使える状態にははなかなか進まないんじゃないかというご意見でした。

一方で、別の識者の方は、e-Taxという確定申告のシステムも当初はなかなかやり方が難しく普及しなかったが、それもかなり今は普及が進んでいることを例に挙げ、「同じようにだんだん社会がそちらの方に進んでいくんじゃないか」とみていました。

ただ、現状だと、80代以上のインターネットなどをあまり使わない方がカードを作らないままになっていて、逆に10代や20代の方は、「スマホの中に入っていてスマホだけで完結できるんだったらもっと使うのに」と感じていてあまり使わないという傾向があるそうです。ちょっと、今は過渡期にあるのかなと思いました。

(山田)リスナーの方からは、「いまだに作っていない」「すごく便利です」などといろんな意見が来ています。

(山本)人によって全然違うんだなっていうのも感じましたね。

(山田)まずは、「カードの更新は10年で、電子証明書の有効期限が5年」というのを皆さんに押さえていただいて。未だに役所に取りに行かないといけないなど、いろいろまだハードルはありますので、個人情報を守りつつもっと便利になってもらいたいですね。今日の勉強はこれでおしまい!

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